※本企画はHeritage&Legends 2023年10月号に掲載された記事を再編集したものです。
この先もやっぱりZ! そんなライダーを応援する
’80年代車向けリプレイス&カスタムパーツの供給元として、特にZオーナーならその名を知らぬ者などいない、淡路島のPMC。その起源は国産ビッグバイクの輸入にあった。ブーム初頭からカスタムシーンを眺める正本代表に、同社変遷に映る当時の様子を聞こう。
「PMCの前身、プロダクトMカンパニーの創業が1988年。子供の頃からバイクが好きで、会社を興す前から入手したバイクを修理して販売する、ブローカーみたいな仕事をしていたんです。
会社を立ち上げてからは本格的にアメリカからZを中心とする国産中古バイクを輸入販売するようになりました。当時は1台、20〜30万円で仕入れたバイクを綺麗に仕立てれば倍以上の値段で売れた時代。そんなショップは当時、10社もあったでしょうか。
やがて’90年代に入るとカスタムブームがスタート。まだ明石海峡大橋もない時代でした。広い敷地で商売できたものでバイクもズラリと並べられて、関西はもちろん、中部や関東からもタコフェリー(2010年まで兵庫県の明石港と淡路島・岩屋港を結んだフェリー。船体にはタコのイラストが描かれ、タコフェリーとして親しまれた)に乗ってバイクを見に来る。世はバブルが崩壊して不景気と言われましたが、バイクの輸入販売は絶好調。この頃は年間400〜500台のビッグバイクを神戸港に水揚げしました。
でも、そんな商売も’95年の阪神淡路大震災で一変しました。神戸港が使えなくなって阪神高速も壊滅。フェリーも長期間、減便になり、バイクの授受が困難になったんです。
そんな危機を打開するために取り組んだのがパーツ販売でした。もともと、修理やカスタム用にパーツは製作販売していたし、バイクを輸入する際に仕立てた40tコンテナの空きスペースにはパーツも詰め込んで輸入していたのですが、ここを本格化。通販も開始しました。付加価値の高い海外ブランドパーツを販売したくて、ワイセコやアールズ、ピンゲルやダイナテックといった各メーカーに乗り込んで、代理店契約を結んだのもこの時期でした。
’98年にはピーエムシーを設立し、今はオリジナルパーツの開発・販売に力を入れているんです。やはりバイク好きの自分たちが「これ!」と思う理想のパーツをお届けしたい。Z900RS用を軸として’20年に立ち上げた『ARCHI(アーキ)』ブランドも同様です。
あの頃、50〜60万円の価格で販売されたZ1はコロナ前の’19年頃までは100万円前後、コロナ禍の巣ごもり需要が高まった’21年には200〜300万円、現在は良い状態のものなら最低で400〜500万円と相場は急騰しました。これからZを買おうというのは大変なことですが、それでもというのは本気で愛している証だろうと思います。
今、Zはリプレイスパーツで1台が仕上げられるほど製品は潤沢です。でも、それは永遠に続くものでもない。良いコンディションが作れるうちに手を入れて、長く楽しんでほしい。私たちもできる限りのバックアップと製品開発に取り組んでいきますから」
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すでにPMCで代理権を取得することになるアメリカ製人気パーツを装着していた
1996・ Z1
プロダクトMカンパニー後期、1996年に製作したZ1カスタム。すでにピストンはワイセコφ76mmによる1197cc仕様。シリンダーブロックもワイセコ、オイルクーラーまわりはアールズを装着。マフラーやドリブンスプロケのアウトボード、バックステップ、S1タイプスイングアームはオリジナル。ドライブチェーンの530コンバートキットは同社の定番人気品だった。各部の詳細はこちらのザ・グッドルッキンバイクページをチェック!
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時代や流行の変化に合わせてさまざまなスタイルのZ1カスタムを提案し続ける
2000・Z1
ストリート・ドラッグスタイルのZ1は2000年に製作。エンジンは1260cc。リヤには8.50-18サイズのソード2ホイールと240/40R18タイヤを履き、実走もしてみせた。
2010・Z1
2010年のZ1は当時扱いを始めたYSSショックを装着していた。
2019・Z1
自社製リプレイスパーツを存分に使用してレストアしたZ1A。2019年の東京モーターサイクルショーで初お披露目したのデモ車だった。
SWORD(FIRST MODEL)
1999年に発売した国産初のアルミ鍛造ホイール『SWOAD』。現在もほぼ同デザインでSWOAD EVOLUTIONとして継続販売中だ。