文:横田和彦、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
ヤマハ「MT-07 ABS」インプレ(横田和彦)
フレンドリーなミドルスポーツが装備を充実
コンパクトなスチール製ダイヤモンドフレームに、270度位相クランク採用の並列2気筒エンジンを搭載したMT-07は日常域での扱いやすさを追求した、MTシリーズの中でもフレンドリーさに定評があるモデル。そのMT-07がマイナーチェンジを行った。
ひと目でわかる進化が5インチTFTメーターの採用。右側に新装備されたホイールスイッチを使い、表示デザインが2種類から選べたり、スマホと連携して電話の着信やメール受信通知などができる機能が備わった。
またハンドルバーが新形状となり、グリップの位置が10mmアップ。そのためライディングポジションはややモタードに似た雰囲気になる。ボディがスリムなため余計にそう感じるというのもあるだろう。
軽くアクセルを開けながらクラッチをつなぐとグンッ! と車体が押し出される。排気音が絞られているため感じにくいが、実はこの並列2気筒エンジンは低回転域からかなりトルクフル。車体が軽量なこともあって押し出し感はかなり強い。そして中回転域からスムーズに吹け上がっていくので、市街地でもクリアな加速フィーリングが味わえる。さらに高回転域まで長く・ストレスなく伸びていくので、高速道路では爽快なクルージングを楽しむこともできるマルチな特性だ。
ブレーキは握り始めから強く効くタイプ。立ち上がりが少し早い気もするが、クセはなくすぐに慣れる。ただ、減速時にポジションの関係もあって前方に荷重が移りやすいため、リアブレーキにABSが介入しやすいように感じた。幹線道路などでリアブレーキを多用する場合はタイミングに注意したい。
ハンドリングは非常にニュートラル。オーソドックスだがしっかりと作り込まれた正立フォークやリアショックはしなやかに動き、峠道のタイトコーナーもスムーズに抜けていく。切り返しも安定していて不安は感じない。速度域が高くなるとギャップで一瞬ハネるようなシーンもあったが、ワインディングレベルであれば不具合は感じないだろう。
デビューから10年が経過している並列2気筒エンジンは熟成が進んでいる。そのためアクセルワークによって意のままに車体をコントロールできる楽しみがさらに高まっている。ワインディングでの走りがあまりに楽しいので、これでクイックシフターがあれば最高なのに、と思ったらシフトアップのみではあるが追加できるキットがオプション設定されているというではないか。これは興味深い装備だと言えよう。
市街地走行のペースでも体感できるスムーズな加速フィーリングや、ライダーの意思から逸脱しない素直なコントロール特性など、MT-07が持つ魅力は現行モデルにもしっかりと継承されている。さまざまなシーンで“操る面白さ”を体感させてくれるバイクとして、今後も多くのライダーの支持を受けることだろう。
ヤマハ「MT-07 ABS」カラーバリエーション
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