以下、文:ノア セレン/写真:南 孝幸、関野 温
国産BIGストリートファイターの魅力とは?
もしかして初代ストファイってホーネット? いつの間にかスタンダードになったカテゴリーだ
スーパースポーツモデルからカウルを剥ぎ取ってバーハンドルにしたカスタムがストリートファイターの起源。といった通説があるようだけれど、市販車としてストリートファイター的な成り立ちをしていたのは01年登場のFZS1000フェーザーか、もしくは03年登場のZ1000か、同年のホーネット900が最初かもしれない。
ストリートファイターと呼ばれるようになったこのカテゴリーがビッグネイキッドに取って代わっていったのは、エンジンなどの部品をSSと共用できるから商売的にやりやすいという所もあっただろうけれど、本格的に市民権を得たのはアドベンチャーモデルが台頭してきたことにもよると思う。走りの楽しさや、長距離ツーリングの両方をカバーしていたビッグネイキッドが、ストリートファイターとアドベンという二つのカテゴリーに細分化したのだ。
そうなるとストリートファイターはますますエキサィティングさを追求するようになり、今や150PSオーバーと充実の電子制御は当たり前。最先端の高性能を公道でもサーキットでも楽しみやすいカテゴリーになっているし、さらには流行りのネオクラシックですら、今やストファイベースのバリエーションモデルなのだ。
そんなストリートファイターにホンダがホーネットブランドで帰ってきた。落ち着いた雰囲気のCB1000Rからモデルチェンジする形で、アクティブで若々しい、王道ストファイスタイルにスイッチ。新設計の鉄フレームに150PSオーバーのエンジン。本気のホンダストファイとはこれ如何に? 楽しみな一台だ。
国産BIGストリートファイターを一挙紹介
(リッタークラスまとめ)
ホンダ「CB1000 HORNET」「CB1000R」|各部を比較・考察
1.スタイリング
独自路線も良かったが今度は王道へ
シャキシャキン! としてアクティブなスタイリングが多いストリートファイターカテゴリーにおいて、現行CB1000Rは落ち着いた雰囲気を持っていて独自の魅力を放っている。細部のクオリティや美しさにこだわった部分もあるからだろう、価格も170万円ほどとプレミアム路線だ。対するホーネットはもっとストファイらしいヤンチャなイメージ。性格もヤンチャとなるのかな?
2.ヘッドライト
睨みつけるLEDプロジェクター
現行型CBシリーズの125~1000は丸型ヘッドライトを採用。ストファイとネオクラのスタイリングの違いはライト形状によるところもあるだろう。しかし、ホーネットは真正ストファイとして、定番の睨みつけるヘッドライト&フロントカウル。しかし実物を見るとその中にもどこか上品さがあるのはさすがホンダ。攻撃的な印象は少ない。
3.エンジン
192PSのポテンシャルをどう料理するのか
超ショートストローク化している現代のSSよりも、まだストロークが長めだった以前のモデルのエンジンを使うのはストファイの定番。ホーネットもひとつ前のSC77型CBRエンジンがベースなのだが、これでも192PSの実力を持つわけだから、ストファイ向けに改良されても150PS以上は確実だろう。ここはあえて海外勢をも驚かす190PSとかで登場して欲しいぜ!
【 ルーツの伝承 】
ボアストローク76.0×55.1mm、究極のSC77CBRのパワーユニット
このボアストロークになったのはひとつ前のSC59型から。様々の規制が国際基準になる前夜で、SC59は118PSだったのに対し、SC77は初のフルパワーCBRとして192PSを誇った。今のSC82は218PSだけど超高回転型エンジン。ストファイならSC77を選ぶのは当然だろう。
4.フロント足まわり
コストパフォーマンスにも期待したい
フロントフォークは現行型と同様のショーワ製SFF-BPのアジャスタブルタイプ。ブレーキキャリパーはニッシンに変更。リアタイヤはワンサイズ細くなり、スイングアームも片持ちから一般的な両持ちになったことなどから、車両価格を抑えて発売するのではないかと期待してしまう。とはいえ「アグレッシブ&ピュア」のコンセプトなのだから走りはアツいはずだ!
5.シート
カウルに幅があるのは良いことだが…
ホーネットのライダー側のシートは一般的なタイプのようだが、タンデムシートはお尻にめり込みそうなコンパクトサイズ。テールカウル自体に幅があるため荷物はある程度くくりつけられそうではあるものの、このシートでタンデムは厳しいかも。個人的にはRの方が良かった気がする。ナンバーステーは一般的なテールカウル付きとなったのは軽快感があるね!
ホンダ「CB1000 HORNET」「CB1000R」|スペック・価格・製造国
価格・スペック | CB1000 HORNET | CB1000R |
全長×全幅×全高 | NA | 2120×790×1090mm |
ホイールベース | NA | 1455mm |
シート高 | NA | 830mm |
車両重量 | NA | 213kg |
エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 | 水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 |
総排気量 | 999cc | 998cc |
ボア×ストローク | NA | 75.0×56.5mm |
圧縮比 | NA | 11.6 |
最高出力 | 110kW(150PS) | 107kW(145PS)/10500rpm |
最大トルク | 100Nm(10.2kgf・m) | 104Nm(10.6kgf・m)/8250rpm |
燃料タンク容量 | NA | 16L |
変速機形式 | 6速リターン | 6速リターン |
キャスター角 | NA | 25° |
トレール | NA | 100mm |
タイヤサイズ(前・後) | 120/70ZR17・180/55ZR17 | 120/70ZR17・190/55ZR17 |
ブレーキ形式(前・後) | ダブルディスク・ディスク | ダブルディスク・ディスク |
燃料消費率 WMTCモード値 | NA | 17.2(クラス3 クラス3-2)1名乗車時 |
製造国 | 日本 | 日本 |
メーカー希望小売価格 | NA | 167万900円/171万6000円(消費税込み) |
文:ノア セレン/写真:南 孝幸、関野 温