2024年6月11日、ヤマハ モーター ヨーロッパはドイツの電動モビリティおよび交換式バッテリーシステム開発企業である「Swobbee(スウォビ)」とパートナーシップを結び、ベルリンでのNEO’s(ネオス)レンタル事業を展開することを公表しました。
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)
※この記事は「ロレンス」で2024年6月12日に公開されたものを一部編集し転載しています。
電動スクーターサブスクリプションを利用できる都市は、ベルリンに限定
ヤマハのNEO'sは、2022年3月に発表されたバッテリー交換式電動スクーターです。ICE(内燃機関)50cc相当の欧州AMライセンスで運転できるモデルであり、欧州の電動スクーター需要に応えるモデルとして誕生しました。
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lrnc.ccNEO'sのシェアリング事業は、すでにフランス国内にて「トルーピー」と組んで行われていますが、この度のスウォビとのコラボによるレンタル事業は、ドイツでは初の試みということになります。なおこのサブスクリプションを利用できるのはベルリンのみ、となっています。
クレマン ヴィレ(ヤマハ モーター ヨーロッパ・ランド モビリティ ディレクター)
「スウォビと提携して、電動2輪車市場をさらに高めることに興奮しています。電気自動車と柔軟な所有権ソリューションの需要は増加し続けています。このニーズを認識し、スウォビとヤマハは両方の強みを組み合わせて、革新的な技術とより持続可能なモビリティに向けて取り組み、顧客に利便性、簡単な充電ソリューション、NEO'sの全体的なライディング体験の強化を提供します。この交換可能なバッテリープロジェクトは、将来のカーボンニュートラルになるためのヤマハの長期計画の一部でもあります」
トーマス ドュシャ(スウォビ CEO)
「今回のヤマハとの協業は、都市モビリティを手頃な価格で、クリーンかつ安全なものにするという私たちの使命における重要なマイルストーンとなります。私たちは共に、電気自動車ユーザーの進化するニーズに応える最先端の充電インフラを提供することを約束します」
気になる料金は、月額129ユーロ≒2万1,815円から
ヤマハとスウォビはともに、交換式バッテリーの欧州コンソーシアムであるSBMC(スワッパブル バッテリーズ モーターサイクル コンソーシアム)のメンバーですが、今現在SBMCの交換式バッテリーが製品として世の中に流通していないこともあって、NEO'sはヤマハ独自企画の「BFM-00」という交換式リチウムイオンバッテリーを使っています。
気になるサブスクリプション内容ですが、レジャー用途向けの「ライト」と配達などのビジネス用途向けの「プロ」が設定されており、それぞれに「シルバー」と「ゴールド」というグレードが用意されています。
「ライト」の「シルバー」は年間8,000kmという走行距離制限があるのに対し、「プロ」のシルバーは無制限となっています。そして「シルバー」は「ライト」も「プロ」も、日常使用での損傷の修理代が料金に含まれておりますが、車両が盗難されたときは最大1,000ユーロの支払いを求められます。
上級グレードの「ゴールド」も、距離制限については「ライト」が年間8,000kmで「プロ」は無制限となっています。そして日常使用での損傷の修理代は料金に含まれているのは「シルバー」と同じですが、「ゴールド」は車両損傷や盗難の費用はかからず、それぞれレクリエーション用およびビジネス用の、保険も料金に含まれているのが特徴です。
サブスクリプション料金は「ライト」の「シルバー」が月額129ユーロ≒2万1,815円、「ゴールド」が月額144ユーロ≒2万4,353円。「プロ」の「シルバー」が月額159ユーロ≒2万6,882円、「ゴールド」が184ユーロ≒3万1,108円・・・となっております。さらにオプションとして、ヘルメットとトップボックスがそれぞれ月額10ユーロ、スマホホルダーが月額5ユーロで追加することができます。
現在日本円は世界中の通貨に対して全面安という悲しい状況なので、ユーロを円換算するとサブスクリプション料金月額2万円以上は高いかも・・・と思ってしまうかもしれません。ただ名目GDPで世界3位、1人当たりGDPでも日本をはるかに上回るドイツの平均年収は5万3,118ユーロ!!(※ステップ ストーン社調べ)であり、それに加え大都市ベルリンで働く人たちにとっては、そんなに高くない料金設定に思えるのかもしれませんね・・・。
ヤマハとスウォビの新しい試みが、ベルリンの人たちにどのように評価されることになるのか・・・。今後のこのビジネスの動向に注目していきたいです。
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)