文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
ホンダ「CBR250RR」インプレ(太田安治)
パワーとハンドリングの好バランスは円熟の域!
ホンダが誇るスーパースポーツ「RR」シリーズの一員であるCBR250RRは、当然ながらスポーツ性能の高さがセールスポイントだが、熟成を重ね、2023年にモデルチェンジした現行型は前後の足まわりのバランスが格段に進化。スポーツライディングだけでなく、街乗りや高速クルージングも快適にこなせる高い完成度を誇っている。
スポーツライディングで感心するのは旋回中の安定感。フレームとスイングアームの絶妙な剛性バランスは初代から変わらないが、フロントに採用されたショーワ製のSFF-BPフォークがしなやかに動いて高い接地性を発揮し、タイヤのグリップ状態を把握しやすい。
ブレーキを残したままの寝かし込みにも不安がないし、クイックな切り返しでサスが大きく伸び縮みして姿勢が乱れることもないから、スポーツライディングを安全に楽しめる。2~3速までしか使えないタイトターンが連続し、上り下りもある峠道などで、この乗りやすさ、ヒラヒラ感が強力な武器になる。間違いなくクラストップのハンドリングだと言えるだろう。
42PSの最高出力を発揮する2気筒エンジンは中回転域でのレスポンスが前モデルより一層高まっていて「開けて、閉めて、また開けて」というスロットル操作に力強く反応し、コーナーの立ち上がり加速が速くなっている。これはサーキットに限ったことではなく、曲がりくねった舗装林道のような峠道でも体感できる進化。
高回転域での加速感は実にエキサイティング。常識的には「速さと扱いやすさは相反するもの」だが、どちらかに片寄るのではなく、両方がバランス良く底上げされているのが魅力。結果的にサーキットのラップタイムも上がるだろうし、レースシーンを席巻し続けているのもうなずける。
スーパースポーツではあるが、CBRは街乗りもソツなくこなす。基本的に高回転/高出力型のエンジン特性で、初代は低回転トルクが細く、ゼロ発進ではやや丁寧なクラッチミートが必要だったが、2020年のマイナーチェンジ以降はこれが改善され、気を使わずに発進できるようになった。ストリート志向のライバル車に比べれば低回転域のトルク感が薄めだが、5000回転程度で無造作にシフトアップしてもスムーズに速度が乗るので、街乗りも苦にならない。
ライディングポジションが前傾なので腕や肩への負担はネイキッドよりは大きいが、高速道路走行では走行風圧が体を支えてくれるから、ツーリングは見た目よりもはるかに楽。前モデルよりエンジンの振動も減り、4気筒エンジンにひけを取らないほど滑らかに回るし、ストレスフリーだ。
日帰りか一泊で峠道を存分に走れるツーリングをメインに、ときにはサーキット……という楽しみ方がCBR250RRには最高にマッチする。スーパースポーツとして完成の域に達したという印象だ。
ホンダ「CBR250RR」カラーバリエーション
ボディカラーは全3色。パールグレアホワイトとマットバリスティックブラックメタリックは税込86万9000円。グランプリレッドのみ税込90万7500円。
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