文:太田安治、オートバイ編集部/写真:赤松 孝
マットモーターサイクルズ「DRK-01 250」インプレ(太田安治)
水冷エンジンの力強さと乗り心地の良さに感心!
マットモーターサイクルズが本拠を置くバーミンガムは産業革命時の工業で栄えたイギリス第二の都市。トライアンフやBSAといった名門ブランドを生み、部品のサプライヤーも多く存在する。もともとは高価なカスタムモデルを手がけるビルダーだったマットがこの地に拠点を置いたのは必然と言えよう。
同社の最新モデル、DRK-01は1960~1970年代のオートバイを想わせるルックスが眼を惹くが、エンジンは新設計の水冷DOHC。冷却フィンを持たないシリンダーだが、ラジエターの処理、エンジンマウントの造形も含めて実に美しくシンプルにまとまっている。
外観上の特徴はソウトゥース(鋸歯)と呼ばれるリム部に立てたリブにスポークをジョイントする独自のホイールと、120/90-18という前後同サイズのブロックタイヤ。これは走行特性にひとクセあるかな…と想像したが、それは杞憂に終わった。
フロントタイヤの太さによるステアリング操作の重さ、ブロックパターン特有のゴロ付き感などはあるが、すぐに慣れる。ブレーキングやコーナリング中のブロックのよじれ、ロードノイズもほぼ感じない。むしろ扁平率の高さとエアボリュームの多さがもたらす乗り心地の良さに好印象を持った。
サスペンションはフロントがΦ51mmの太い倒立フォーク、リアがリザーバータンク付き2本ショック。マットの車両は総じて前後とも硬めの設定、というイメージだったが、DRK-01のフロントはしなやかに動いて突き上げが少ない。リアはやや硬めでダイレクト感があり、タンデムでも車体姿勢が後ろ下がりになりにくい設定となっている。
操縦性のまとまり以上に感心したのはエンジン特性。低回転域から充分に力強く、歯切れのいい排気音を響かせながらトップエンドまでストレスなく回る爽快さも併せ持っている。
クロスレシオ気味に設定されている6速ミッションでシフトアップ/ダウンも小気味よく決まるから、ストリートライディングでも退屈知らず。二次減速比がショート(加速型)でゼロ発進がしやすいこともストリートモデルとして見逃せないポイントだ。
ただ、高速道路では高回転を常用することになり、120km/h制限区間だと気ぜわしいし、直進安定性も下がるから、快適に走れる速度レンジは80km/hぐらいまで、と思っておいた方がいい。逆に言えば市街地走行用として割り切っているわけで、これもカスタムビルダーらしい発想と言えるだろう。
足まわりやエンジンの吸排気系を変更したカスタム車はハンドリングやパワー特性のバランスを崩しがちだが、DRK-01は完成車ゆえの好バランスで、手を加える必要を感じない。日本ブランド車にはない個性は指名買いの大きな理由になるはずだ。
マットモーターサイクルズ「DRK-01 250」カラーバリエーション
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