単にカウルがついたバリエーションモデルではない。XSR900GPの走りは、ベースとなったXSR900とは異なる魅力を備えた、違うキャラクターに仕上げられている。ここでは両車を乗り比べながら、それぞれの個性と魅力の違いに触れてみよう。
文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:赤松 孝、南 孝幸

ヤマハ「XSR900 GP」VS「XSR900」比較インプレ(宮崎敬一郎)

画像: YAMAHA XSR900 GP ABS 2024年モデル 総排気量:888cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒 シート高:835mm 車両重量:200kg 発売日:2024年5月20日 税込価格:143万円


YAMAHA XSR900 GP ABS
2024年モデル

総排気量:888cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒
シート高:835mm
車両重量:200kg

発売日:2024年5月20日
税込価格:143万円

画像: YAMAHA XSR900 ABS 2024年モデル 総排気量:888cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒 シート高:810mm 車両重量:193kg 発売日:2024年5月20日 税込価格:125万4000円


YAMAHA XSR900 ABS
2024年モデル 

総排気量:888cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒
シート高:810mm
車両重量:193kg

発売日:2024年5月20日 
税込価格:125万4000円

俊敏なスタンダードに、奥の深い走りをするGP

XSR900GPの上質な身のこなしには感激した。この記事では、スタンダードのXSRと比べた際の優秀さを紹介しよう。XSRにも独自の魅力がしっかり備わっている。

最初にXSR900に乗ったのは2年前。ベースとなったMT-09やその派生モデルのSPよりずっとナチュラルな足まわりが魅力で、とくに快適ですばらしい接地感を生むフロントサスに感激した。身軽で敏捷なフットワークが魅力だ。

今回、GPとともにスタンダードの2024年モデルにも試乗できたのだが、GPに比べるとサスグレードの違いは明確で、攻め込むとリアまわりから破綻が起きるのだが、個体差なのか、2024モデルはその破綻のし始めがずっと深くなったように感じた。

画像: ヤマハ「XSR900 GP」VS「XSR900」比較インプレ(宮崎敬一郎)

ただし、上にある並走写真のバイクを入れ替えて、アウト側にスタンダードのXSRをポジショニングするのはちょっと怖かった。見てのとおり、2台ともステップが当るような深いリーンアングル。ここは路面が荒れている場所で滑るのだ。

でも、今回試乗したスタンダードはしっかり走ってくれた。旧モデルやMT-09なら、おそらく同じ走りをするのは難しいだろう。スタンダードのXSRも高い完成度を誇るバイクなのだ。今回GPとともに用意したスタンダードのXSRはただの比較用ではなく、実際よくできたスポーツバイクなのだ。

スタンダードのXSRは気楽なライポジと振動を伝えにくいハンドル、それに80km/hぐらいまでフワッと滑るように走れる足まわりを備えていて、コミューター的な使い方からツーリングまで、どこでも重宝する。及第点以上の車体まわりと、強力なパワーが魅力のバイクだ。

GPとの違いは足まわりのグレードとレトロレプリカテイストの外観。GPが走ってもなかなか奥の深い愉しみ方ができることを魅力にしているのに対し、スタンダードのXSRはツブシの効く万能性が魅力。気楽に振り回せる、軽快で応答がダイレクトなハンドリングがそんな走りのキャラクターを支えている。ともにエンジンの扱いやすさなど、ベースのMTより上質なのも魅力だ。

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