ライダーの意思に対する反応を掘り下げて作り込む
角型Z=Mk.IIのルックスをベースとしてまとめられた車両。元になったのはゼファー1100で、手がけたのはアラブル。
同店・笹賀さんは「久々にバイクに乗るというオーナーさんが入手されたカスタム車を、リセットする感じで仕立て直したものです。ハードとしては操縦性にストレスが出ないことを重視しています」と概要を言う。
これまで紹介したアラブル製車両でもそうだったが、作られたバイクがどう動くかについて、同店では興味深い対応をしているようだ。
「この車両だと、オーナーさんは峠をガンガンと攻めたり、ひらひら軽快さを狙ったりという使い方はしない。落ち着いてスムーズに走る。でも、どしっとゆったりでもない。そこに合わせて、ライダーが積極的に動いて操縦したり、視線をやるだけで方向が変わるというのでなく、車体がバンクする時のロール軸を地面に水平に取るイメージで、自然な形ですっと走れることを考えました。具体的にはセパレートハンドルだけど荷重や体重が前にかかり過ぎないように、リヤ車高も上げ過ぎないという方向にしています」
もっと掘り下げると、オーナーの乗り方や走る場所、さらに性格も聞くことができれば、そこに合わせるのだという。車両の反応(エンジンも、車体も)が過敏で、怖さが先に立ってスロットルが開けられないなど乗れないこともあるから、ライダー側に余裕を作る方向から入り、車両になじんでから反応を良くする方向に進めるというケースもあるのだという。逆に少しの操作しかしない、できないからその操作できちんと動いてほしい(スマートに走るためにある意味での過敏さがほしい)というケースもあるだろう。こうした合わせ込みは、まさに自分仕様=カスタムへの好適な筋立てとなる。
「同じスポーティでも、ブレーキをきつく効かせずに回り込むジムカーナ的なものを好む方、ブレーキを効かせてフロントを沈めてといういわゆる攻める系を好む方とでは車両作りのポイントが違います。なのでオーナーの性格を知りたいということなんです」とも笹賀さん。カスタムを楽しむとひと口に言っても、こんな違いがある。オーナー主体のこの手法、もっと知りたくもなる。
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Detailed Description 詳細説明
Z1000Mk.IIスタイルの外装はメーカー不詳。ハンドルバーエンドなど各部差し色で赤いパーツを使っているが、当初の入手時にもっと多かったものを減らし、現状で好バランスを得ている。
スカルプチャーType3ステム(オフセットは40から35mmに)の下側にセパレートハンドルをセット、エンジン回転計は純正ケースにスタックST200を組む。
ステップはアグラス。車体各パーツに合わせたブラック&ゴールド(BK;GP)を選択したドライブチェーンはナローボディのEK530RCMだ。
エンジンはゼファー1100ノーマルの1062cc仕様でニッシンクラッチレリーズが載るクラッチレリーズプレートはナイトロレーシング。オイルクーラーはアクティブの11インチ13段ラウンドタイプを使う。
キャブレターはTMR-MJNφ38mmをヨシムラ・デュアルスタックファンネル仕様で装着。これに組み合わせられる排気系はナイトロレーシング・4in1機械曲げスチールメガホンEX。
フロントフォークはオーリンズRWUでフロントブレーキはブレンボ484カフェレーサーキャリパー+サンスター・プレミアムレーシングディスクφ320mmの組み合わせとされる。
リヤブレーキはがブレンボGP2-CRキャリパー+サンスター・プレミアムレーシングディスク。リヤサスはペンスキー8987ピギーバックタイプショックをOVERスイングアーム・タイプ7にセットした。
ホイールはアルミ鍛造のPMCソード・ヘリテイジでゼファー1100純正3.00-18/4.50-17から2.75-18/4.75-18にサイズを変更している。