XSR900シリーズに共通する駆け抜ける楽しさは同じでも、走りの質が大きく異なるのはスポーツ走行だろう。それぞれのマシンが、あらゆるシーンで完璧なドライビリティを感じられる刺激的なヤマハのノスタルジーを探ってみよう。
文:ノア セレン/写真:南 孝幸
画像: 中野真矢(右) 1997年にヤマハファクトリーライダーとなり、1998年に全日本GP250cc クラスを制覇。1999年から世界GP フル参戦を開始。引退後はアパレルショップ、56design を主宰し、56RACING でレース活動もしている。 山下晃和(中) タイクーンモデルエージェンシー所属。広告、カタログ、WEB等のモデルの他にトラベルライターとして各メディアに寄稿。20代のときにTW225で日本一周し、WEB記事を書いた経験も。現愛車はセロー250。 ノア セレン(左) 新旧・大小・オンオフ、あらゆるカテゴリーのバイクに乗り、等しく愛する博愛系ジャーナリスト。ヤマハ3気筒は激しかった初期のMT-09からここまで熟成してきたのか! と感激。愛車は山下さんのセローと兄弟車のトリッカー。

中野真矢(右)
1997年にヤマハファクトリーライダーとなり、1998年に全日本GP250cc クラスを制覇。1999年から世界GP フル参戦を開始。引退後はアパレルショップ、56design を主宰し、56RACING でレース活動もしている。

山下晃和(中)
タイクーンモデルエージェンシー所属。広告、カタログ、WEB等のモデルの他にトラベルライターとして各メディアに寄稿。20代のときにTW225で日本一周し、WEB記事を書いた経験も。現愛車はセロー250。

ノア セレン(左)

新旧・大小・オンオフ、あらゆるカテゴリーのバイクに乗り、等しく愛する博愛系ジャーナリスト。ヤマハ3気筒は激しかった初期のMT-09からここまで熟成してきたのか! と感激。愛車は山下さんのセローと兄弟車のトリッカー。

コーナーが待ち遠しくなる、GPの称号が示すパフォーマンス

画像1: コーナーが待ち遠しくなる、GPの称号が示すパフォーマンス

柔らかいアクセルレスポンスと極上のサスペンションの快楽

さて、いよいよワインディングの走行である。ツーリングシーンでは距離が進むにつれ3人の中でバーハンドルのXSRが人気となっていったのだが、コーナリングを楽しむ場面ではやはりGPなのか?

GPはポジションがよりスポーティなだけでなく、サスペンションの調整幅がXSRよりも幅広く、前後サスのバネレートも変更されている。タイヤはXSRのブリジストンS22に対してGPはS23という最新タイヤを履いていることなど、複合的によりスポーティな設定であると共に、価格面を含めてXSRの上級版という位置づけで間違いないだろう。

画像2: コーナーが待ち遠しくなる、GPの称号が示すパフォーマンス

ステップ位置が低く着座位置もシート後方という構成のXSRは、そのライディングポジションからも「ヘリテージらしい個性」を追求していると感じる。それに対し、GPはルックスとは相反するようだが、よりモダンでナチュラルなスポーツライディングへと誘う。

「サスがとてもいいですよね。ダンピングが効いていて、もう走り始めた瞬間に気に入りました。コーナリング中にチョットだけブレーキを効かせるような場面でも、ダンパーが効いてるから無駄な動きをせず、車体の動きが乱れません」とベタ褒めの中野さん。

画像3: コーナーが待ち遠しくなる、GPの称号が示すパフォーマンス

XSRでは左右のフォークがそれぞれ圧/伸びのダンピング調整を担うのに対し、GPの方はアクスル近くにも調整機能を持ち、左右のフォーク共にフルアジャスタブル。しかもカウルやライディングポジションによって増加したフロント荷重に対応するために、バネレートは若干固められている。そのおかげか前後のバランスが素晴らしく、ワインディングでは登りでも下りでも素直にフロントがターンインしていき、オンザレール感が高い。

「ここまでの道のりでもその素直さは気に入っていましたが、ワインディングでもやはりアクセルの開け始めのじんわり感がとても好きです。もちろん、開け始めからドンと出る特性が好きな人もいますし、そんな特性が流行っている感もありますが、僕はこのじんわりが好き。レースシーンで育ったせいもあるかもしれませんが、車体が早い動きをしている中で、アクセルをジワッと開けられるのが良いですね」

スポーツという観点だけではなくツーリングシーンにおいても優しいアクセルの開け口は疲れないしやっぱりいいでしょう? と中野さんは熱弁していた。

「優しくて、かつ入力に対して正確なレスポンスのおかげでより楽しくアクセルを開けられる。怖がることなくそのパワーや実力を引き出しやすいし、それは自在のハンドリングにも影響していると思うんです。このおかげで楽しめる場面は増えてると思います!」

フロント荷重も高く、タイヤのグリップ感も良好、クイックシフターの作動性も良く、中野さんは「これはそうとうテストを重ねて作ったと思いますよ!」と太鼓判を押した。

対するXSRはどうだろう。ニューモデルのGPに対してはカラーチェンジのみであるため、GPに譲るように感じてしまうのかというと、そうでもなく別の魅力を持っていた。

「XSRは特にフロントのサスが良く動きますね。よく動くサスはそのピッチングを使い細かな峠道ではリズムを作り出しやすい特性もあって、GPとはまた違った楽しさがあると思います」としながらも、中野さんは「でもそれって実はけっこう上級テクニックですけどね!」と笑いながら語っていた。

画像4: コーナーが待ち遠しくなる、GPの称号が示すパフォーマンス

確かに、XSRは全体的により気軽に接しやすい設定ではありつつも、ワインディングでペースを上げていくと、むしろマニアックな一面も見せる。腰を引いた一種独特なライディングポジションもGP以上にクラシックさを感じさせてくれる部分であり、そういった雰囲気の部分を味わうという意味では贅沢だ。

すっかり夢中になって走り回ったワインディングだが、いずれのバイクもどんな速度域でも楽しさが損なわれず、120PSもあるのに「パワーがありすぎて怖い」と思わせる場面がなかったのは嬉しい。

中野さんが特に気に入っていたアクセルレスポンスの素直さと、熟成された3気筒エンジン、そしてGPではアップグレードされたサスペンションによるところも大きいだろう。GPシーンを連想させるスタイリングは伊達ではなく、ワインディングでの実力も高いのだ。

GPはワンランク上のセッティングが可能

画像1: ヤマハ「XSR900 GP」&「XSR900」でツーリング!  中野真矢・山下晃和・ノア セレンの3人が乗り比べ【後編】

XSRも調整機能は持つものの、GPでは圧側を高速と低速に分けて調整でき、さらにその調整幅もXSRより多く設定。なおリアもプリロードはリモートアジャスターが付く、XSRには備えていない圧側の調整機能も追加されている。

意外やモダンなGPとクラシカルなXSR

画像2: ヤマハ「XSR900 GP」&「XSR900」でツーリング!  中野真矢・山下晃和・ノア セレンの3人が乗り比べ【後編】

シート形状はそっくりだが、実はタンクと接合するあたりが大きく異なる2台。XSRは腰を引いて乗るような設定となっているのに対して、GPはより自由度が高く、モダンなライディングスタイルにも対応しやすい。

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