以下、文:丸山淳大/写真:南 孝幸、関野 温
ホンダ「CB650R」VS カワサキ「Z650RS」|各部チェック
1.メーターまわり
30年慣れ親しんだアナログメーター、おじさんのアップデート進まず
どこに何が表示されていて、どれを押したらどの表示になるのか、非デジタルオジサンをまごつかせるCBR650Rの多機能表示のTFT液晶メーター。デザインも真四角で味気がない。でも、ちゃんと覚えて使いこなせれば便利だし、見やすいのは間違いないのかも。
Z650RSはアナログ表示なので私も平常心で表示を確認できるし、2眼の砲弾フォルムもバイクのキャラクターに似合っている。
いずれも電気式メーターなので、昔ながらのぜんまいばね式メーターのように修理ができないが、メーターより先に寿命を迎えるのは私かも。
2.スロットルフィールとオイル交換のしやすさ
Z650RSはサイトグラスでオイル量確認可、CB650Rはディップスティック式
CB650Rはスロットルを全閉にしたときの急なエンブレが気になる。スロットルを戻した時にECUの方で勝手にゆっくりスロットルバルブを閉じてくれるような制御がほしいところ。
Z650RSはセミドライサンプの潤滑方式を採用。クランクケースのオイルを回収するスカベジポンプによってケース内が減圧されることに加え、デュアルスロットルバルブの働きによって負圧キャブのようなスロットルフィールが好印象。
CB650Rは、オイルフィルターがエンジン真下に付いていて、交換時に手がオイルまみれになりそう。Z650RSは作業性も良さそうだし、オイル量もフィルター交換時1.8リットルで済むのでコスト的にも優れる。
3.足まわりと整備性
性能的に間違いなく優位なCB650R、いじる楽しみがあるZ650RS
どんなバイクを見ても自分でメンテできるか否かが真っ先に気になってしまう面倒な特殊癖を持つワタクシ。Z650RSは減衰調整機構を持たない正立フォーク&片押しピンスライドキャリパーのベーシックな構成なので、メンテナンス性の良さ一点のみで推せる。
私のような肥えた大柄男性が乗ると足まわりに心もとなさを感じるため、フォークオイルを硬めにして油面を上げてみたり、ブレーキホースをメッシュにしてみたりと、気軽に自分色にチューニングできるのも楽しみ。
CB650Rの足まわりに特に不満はないが、サスペンションにもう少ししなやかさがほしいかも。一方、リアまわりを見るとZ650RSはスイングアームにフックボルトの取り付け座が設けられており、メンテナンススタンドも使いやすそう。
CB650Rはスイングアームの傾斜が強く見えるし、フックボルトを取り付けるネジ山もなし。慣れるまでスタンド掛けに気を使うことになりそうだ。
ホンダ「CB650R」VS カワサキ「Z650RS」|総合評価
あまり興味が向かなかったロッパンクラス、乗ってわかった一般オジサンライダーにベストマッチな気配あり
定食屋でご飯大盛りができれば迷わず大盛りにするし、竜宮城では秒で大きい方の玉手箱を選ぶあさましい系男子の私は、扱い切れないリッターバイクばかりに目を奪われがち。
でも、ライディングスキルを持ち合わせない上に重量車の取り回しも年々しんどくなり、やはりミドルクラスのマシンでバイクを堪能するのが賢い選択なのかもと今回考えを新たにした。
しなやかな足まわりと自然なスロットルフィールのZ650RSは、キャブ車からの乗り換えでも一定の満足を得られるはず。でもやっぱりこの車体で4気筒エンジンのやつに乗ってみたい。ザッパーエンジン有終の美を飾ったゼファー750みたいなキラメキを今一度!
対照的に非常に現代的なCB650Rは高い完成度にある。しかし、もっと突き抜けるエンジンと、もっとコケる気がしないと思わせる無敵の足まわりへと熟成が進めば、さらにホンダ「CB」らしい味が出てきそうだ。
エンジン音は我が青春のCB400SF(非VTEC)を想起させるものだったが、もう少し高回転のシャープ感が欲しいところ。4本揃って弧を描くヨンフォアイメージのエキパイは、やっぱり丸目1灯&2眼メーター&ティアドロップタンクのスタイリングに合わせて見てみたい!
エンジンにドラマチックな展開はなく、ひたすらフラットにパワーが出てくるが、それがきっと乗りやすさやツーリングでの疲れにくさにつながるのだろう。キャンディレッドのペイントの艶っぽさはちょいワル感もあり。昔より丸くなってもやっぱりカワサキ。
ホンダ「CB650R」VS カワサキ「Z650RS」|スペック・価格・燃費・製造国
スペック | Honda CB650R | Kawasaki Z650RS |
全長×全幅×全高 | 2120×780×1075mm | 2065×800×1115mm |
ホイールベース | 1450mm | 1405mm |
シート高 | 810mm | 800mm |
車両重量 | 205kg | 188kg |
エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 | 水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒 |
総排気量 | 648cc | 649cc |
ボア×ストローク | 67.0×46.0 | 83.0×60.0mm |
圧縮比 | 11.6 | 10.8 |
最高出力 | 70kW(95PS)/12000rpm | 50kW(68PS)/8000rpm |
最大トルク | 63N・m(6.4kgf・m)/9500rpm | 63N・m(6.4kgf・m)/6700rpm |
燃料タンク容量 | 15L | 12L |
変速機形式 | 6速リターン | 6速リターン |
キャスター角 | 25°30' | 24° |
トレール | 101mm | 100mm |
タイヤサイズ(前・後) | 120/70ZR17・180/55ZR17 | 120/70ZR17・160/60ZR17 |
ブレーキ形式(前・後) | ダブルディスク・ディスク | ダブルディスク・ディスク |
燃料消費率 WMTCモード値 | 21.5km/L(クラス3-2)〈1名乗車時〉 | 23.6km/L(クラス3-2)〈1名乗車時〉 |
製造国 | 日本 | タイ |
メーカー希望小売価格 | 103万4000円(消費税込み) | 105万6000円(消費税込み) |
文:丸山淳大/写真:南 孝幸、関野 温