この全てが見事に融合して誕生したXSR900 GP。そしてこのマシンの付加価値をさらに高めるために誕生した外装セットの舞台裏が、いま明かされる。
まとめ:オートバイ編集部/写真:関野 温、南 孝幸
往年の名車が蘇る2種類の外装セット
2024年4月19日~5月10日に、期間限定で販売されたXSR900 GPの外装セット。カラーはホワイト/レッドとホワイト/ディープブルーの2種類で、価格は税込33万円だった。セット内容には市販車ではオプション設定のアンダーカウルも含まれている。
ワイズギア「XSR900 GP」外装セット 開発者インタビュー
昔懐かしのヤマハの歴史を外装セットで呼び覚ます
私がヤマハ発動機に入社した1990年はバブル経済の真っ只中で、二輪業界も好景気の恩恵を受けて毎年多くのニューモデルが登場した時代でした。初めて配属されたのは部品関係を担当する部署で、それから今日まで部品関連一筋です。
車種別の外装セットを企画したのはワイズギアへ出向中の2008年に発売したFIATカラーのYZF-R1とYZF-R6の『Moto GP レプリカ外装セット』が最初ですね。この成功があったからこそ、これまでさまざまなモデルの専用外装セットシリーズが誕生したと言っても過言ではありません。
初期型XSR900が登場したのは2016年ですが、実はその前年にヤマハ発動機は創立60周年を迎えました。それを記念して2016年にイエローのストロボパターンを採用した『XSR900 60thアニバーサリー』モデルが発売されました。それに合わせてワイズギアでは『XSR900 オーセンティック外装セット』をリリースしました。
これは1980年に登場した白赤カラーのRZ250をモチーフにした外装セットでした。そして2022年にフルモデルチェンジした現行型XSR900用の外装セットでは、1975年代のレーサー YZR500をオマージュした『オーセンティック スポーツ ブラッドライン外装セット』を2023年に発売しました。
そしてXSR900 GPですが、これは1980年代のGPファクトリーマシンYZR500を彷彿とさせるデザインになっていますので、ワイズギアで発売する外装セットも1980年代という流れを崩すことはできませんでした。そうなるとあのマシンしかありません。1984年に登場したRZV500Rです。このモデルは1983年に登場したWGPマシンOW70型YZR500と同時開発されたことは有名な話ですから、迷いはなかったですね。
これまでの外装セットと同じくグラフィックデザインはGKダイナミックスが監修しています。担当デザイナーも私と同年代で1980年代のバイクブームを熟知しており、私が頭の中で描いているイメージをすぐに理解してくれました。そのおかげでとんとん拍子に開発は進んで行きました。