究極を意味する文字『Z』、さらにそのナンバー1としてのネーミングが与えられた900Z1。考えてみればなんとも途方もない型式である。しかし量産4ストロークエンジンを持たなかったカワサキがメグロから学んだ技術と綿密なライバル分析から生み出した究極のZ1は、その型式どおりに、いやそれ以上にインパクトを与えるモデルとして、生誕51年を超えてなお輝きを放つ存在となってる。
文:バイカーズステーション編集部/写真:平野輝幸
※この記事はモーターマガジンムック『空冷Z伝 完全版』に掲載した記事を一部編集し転載しています。

カワサキ「900Super4(Z1)」特徴

画像: Kawasaki 900Super4(Z1) 1973年 総排気量:903.2cc エンジン形式:空冷4ストDOHC2バルブ並列4気筒 シート高:813mm 乾燥重量:230kg

Kawasaki
900Super4(Z1)
1973年

総排気量:903.2cc
エンジン形式:空冷4ストDOHC2バルブ並列4気筒
シート高:813mm
乾燥重量:230kg

永久なる名車“Z1”が誕生したのは1972年のモーターショー

1972年秋の東京モーターショーでは、2台の市販型Z1がフロアに置かれ、だれもが触れ、またがることができた。同じころには海外の多くの専門誌が試乗を行い、たくさんのテスト記事が掲載されていた。こうして、日本で、世界で、カワサキ製の900cc DOHC4気筒車は『購入できる夢のバイク』になっていった。

Z1は、ティアドロップタンクやダブルクレードルフレームにオーソドックスなオートバイらしさをみせながら、まったく新しい強力なエンジンにより、ゼロヨン12秒台、最高速度200km/hの圧倒的な高性能を持つことで王者(キング)の称号を与えられ、爆発的な人気を世界中で得た。DOHCフォアの先駆という本物の姿は、今日みても圧倒的な存在感である。

画像1: カワサキ「900Super4(Z1)」特徴

空冷DOHC4バルブ並列4気筒を採用した名機“Z1E”型エンジン

Z1エンジンの外寸は、全長534/全幅568/全高550mm、重量94.8kg。ボアとストロークが66mmと同値のスクエアは、ボアアップをも考慮した設計。903.2cc、圧縮比8.5にて82HP/8500rpmと7.5kgf・m/7000rpm。クロモリ製のクランクやカムシャフト、ミッションはすべて明石工場による内製。当時は素材の塊が工場に積まれて壮観だったという。

セルモーター機構はCB750フォアを参考にしたとみられ、モーターは三つ葉製で形式も同じ。キャブレターはミクニのVM28強制開閉式で、初期型はフロート室側面と上部のキャップがバフがけされ、カワサキがいかに質感にこだわったかがわかる。プラグキャップは欧州仕様がボッシュタイプのシールド型、上写真の北米仕様はプラスチック製。

画像2: カワサキ「900Super4(Z1)」特徴

エンジン着脱等整備性にも配慮されたフレームワーク

キャスター角26度は、W1系の29、H1/H2系の27〜29度に対し、当時としては立ち気味でトレールも90mmと少ない。こうした設定で安定を得るため軸間距離は1490mmと長い(CB750フォアは1455mm)。さらにZ1000-A1では1505mmに伸びる。チェーンの駒数が同じままなのは、ドリブンスプロケットを35→32歯としたため。公称乾燥重量は230kg(F:105kg/R:125kg)だが、バイカーズステーション編集部の実測では約240kg。

カワサキ「900Super4(Z1)」スタイリング解説

画像: 1970年代のカワサキはヘッドランプを高く配置してフロントフォークを長く見せる設計を好んだ。それがよくわかる一枚。大型のヘッドランプは750のH2と同じレンズで170mmながらセミシールド方式を採用した耐震設計である。マウント方式はウィンカーランプステー貫通型だ。Z独自の砲弾型メーターケースはかつてない新しいデザインだった。

1970年代のカワサキはヘッドランプを高く配置してフロントフォークを長く見せる設計を好んだ。それがよくわかる一枚。大型のヘッドランプは750のH2と同じレンズで170mmながらセミシールド方式を採用した耐震設計である。マウント方式はウィンカーランプステー貫通型だ。Z独自の砲弾型メーターケースはかつてない新しいデザインだった。

画像: 後方の造形も曲面主体。テールランプなどはZ1Bまで共通。取材車の4本マフラーはドレミコレクションの無番リプロ。車台番号からすると、本来は後出のZ2と同じものが純正だ。

後方の造形も曲面主体。テールランプなどはZ1Bまで共通。取材車の4本マフラーはドレミコレクションの無番リプロ。車台番号からすると、本来は後出のZ2と同じものが純正だ。

This article is a sponsored article by
''.