取材協力:松田賢一郎さん ※協力:モトショップ パーティー 塗装:ペイントアート ジャム
カスタム前提で入手したカタナに次々と手を加えていく
「このカタナは12〜13年前に、カスタム途中の状態で出会いました。でも自分でもカスタムするつもりでしたから、入手したんです」こう、元々の状態を教えてくれるのはオーナーの松田さん。
「ベースは’86年式で、フレームは10カ所に補強が入っています。足まわりは前後17インチで、フロントまわりはGSF1200、リヤはGSX-R1100のスイングアームなどを使っています。エンジンは1135cc仕様でキャブレターはGSX-R用のヨシムラTMR。ラウンドオイルクーラーも付けています」
しっかりしたフルカスタムの内容。松田さんはこの車両で長距離も走るし普段も使う。スズキ主催のカタナミーティングにも片道数百kmを自走で行くほどだ。ところでこの内容、どうやって作り込むのだろう。
「基本的には丸投げ(笑)です」と松田さん。そうだとしても、何らかの方向性は要りそうだ。
「こういうことをしたいという、元になる考えはあります。17インチ化などはそうで、お店に言うと“じゃあこうしましょう”って作ってくれる。私は口を出すくらいですけど、お金も出します(笑)」
外装ペイントもそんなひとつで、イエローラインを入れたいと考えて原案を知人に見せたところ、「合わないよ」という意見が多数返ってきたという。それでも実行に移そうと作業をプロの友人に依頼すると「これ(イエローライン)はこのマシンに合う」と、見ての通りの仕立てにしてくれた。カタナではなかなか出会わない(’82年ケルンショーに展示されたHBカラーくらいだろうか)斬新な色使い、ヘッドライトベースもイエローにした分も効いている。テールカウルもカーボン地を上に残しつつ下側をブラックにするグラデーション仕上げがされて、このカラーを引き立てる。
松田さんの提案がトライしたくなる魅力あるものだから、それに応えたくなるのかもしれない。カタナでガンガン走るライダーはしっかりと手を入れ、より良く走る、楽しむためのアイデアを考える。そして受ける側のプロはそのアイデアを実際の形にする。この車両はそれが理想的に回って仕上がった1台と言っていいだろう。
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Detailed Description 詳細説明
アッパーブラケットはNプロジェクトでセパレートハンドルはデイトナ、フロントマスターはゲイルスピードVRC。エースウェルCA080-502を軸とするメーターは、以前付けていた純正メーターの針が折れてしまい、乗れない時間を補うために置き換えたもの。その後このメーターパネルを製作し、ヨシムラPRO-GRESS2、デイトナ。モトGPSレーサーを追加している。純正メーターは修理されていて、いつでもノーマルに戻せるという。
燃料タンクはビーター・アルミで他の外装とともにオリジナルペイントされる。イエローのラインは幅と感覚を変えた2本のストライプを両脇に置き、SUZUKIロゴはブラック仕上げされているが、こうした細かい配慮が全体を高めていることに気がつく。
シートも貼り替えて前後ブラックカラーに。ライダー側とタンデム側で表皮も変えている。前後カウルとフェンダーレスキットはオオノスピード製(フェンダーレスキットも)で、テールカウルは上がカーボン地を露出し、下がブラックに変わるようにグラデーション仕上げされる。
ステップはisa製。ドライブチェーンはEKの520ZVX3にコンバートした。
エンジンは'86年式をベースに1135cc化し、ヨシムラST-1カムシャフトやアドバンテージ・クラッチキットを組みラウンドオイルクーラーを追加。フレームは10カ所に補強が入る。
キャブレターはGSX-R1100用のヨシムラTMRφ41mm。排気系はアサヒナレーシング・チタン+オリジナルサイレンサーの組み合わせだ。
φ43mmのフロントフォークとニッシン4ピストンキャリパーはGSF1200純正でフォークインナースプリングはオーリンズ、フロントディスクにはモトマスターをチョイス。
スイングアームとリヤキャリパーはGSX-R1100純正で、リヤディスクもモトマスターだ。
リヤのレジェンドツインショックはオーリンズ。ブロンズカラーのホイールはゲイルスピードTYPE-Cで3.50-17/5.50-17サイズを履く。タイヤはミシュランROAD6でサイズは120/70ZR17・180/55ZR17を履く。