文:バイカーズステーション編集部/写真:金上 学、平野輝幸
※この記事はモーターマガジンムック『空冷Z伝 完全版』に掲載した記事を一部編集し転載しています。
カワサキ「Z1000R (Z1000-R1)」特徴

Kawasaki Z1000R(Z1000-R1)
1982年
総排気量:998.6cc
エンジン形式:空冷4ストDOHC2バルブ並列4気筒
シート高:775mm
乾燥重量:222kg
J系のレースでの勝利が生み出した特別仕様"R"
1958年3月生まれだから2024年で66歳となったエディ・ローソン。カジバに乗った1991年を最後にWGPから身を引くまで、このアメリカンライダーは多くの勝利を手にした。1984年、1986年、1988年はヤマハYZR500で年間タイトルを獲得。ホンダに移籍した1989年にはNSR500を駆り王座を手にするなど、GP500ccクラスでの強さが際立っていた。
500ccに乗る前、彼はAMAスーパーバイクを戦っていた。1980年にはZ1000MkIIがベースのレーサーでランキング2位を獲得。翌1981年にはベースモデルがZ1000-J1に変更され、CB-Fに乗るフレディ・スペンサーやヨシムラGSを駆るウェス・クーリーらと激しい戦いを繰り広げ、チャンピオンを獲得することに成功。J系の登場に華を添えた。
この勝利を記念して、USカワサキを中心として2種類のモデルが考案された。1台はZ1000-S1で、市販レーサーである同車にはツインプラグやクロスミッションなどワークスレーサーで培った多くの技術が盛り込まれた。
もう1台は、公道向けのZ1000R(Z1000-R1)である。ベースはZ1000-J2だが、ワークスマシンと同様なライムグリーンに外装をペイント。ビキニカウルや段付きシート、リザーバータンクを備えるリアショックユニットを装着。エグゾーストシステムはカーカーの4into1へと変更される。
このZ1000Rは北米やカナダ、南アフリカの各仕様が約900台限定で販売されたと言われ、南ア向けのモデルはZ1000R、北米/カナダモデルは名前の先頭にKをつけたKZ1000Rが正式な車名となる。塗色はライムグリーンのみ。
カワサキ「Z1000R (Z1000-R1)」スタイリング解説

Rモデルのシャシーは基本は大きく変わらず、J系を由来とするダブルクレードルフレームに、Φ38mm正立式フロントフォークとツインショック+スチール製スイングアームを組み合わせる。フロント:1.85×19、リア:2.50×18の前後キャストホイールは、ハブやスポーク、リムの中央部がゴールドとされ、高級なイメージを与えている。写真のR1は北米仕様。

Z1100GPの2型と同様なビキニカウルや段付きシート、排気系をカーカーの4into1に替えるとともに、外装をライムグリーンとしたことで大きくイメージが変化。第2世代のZを代表する一台だ

ライムグリーンに青×白のストライプを組み合わせるのはZ1000R2やZ1100Rといったシリーズ各車ともに同じだが、R1は白が上、青が下で、サイドカバーにストライプがない。

1981年にエディ・ローソンがZ1000Jを駆り、AMAスーパーバイクでチャンピオンを獲得。それを記念して翌年に発売されたのがZ1000R、通称ローソンレプリカだ。

カーカー製の4into1マフラーやビキニカウル、専用のリアショック、段付きシートなど、強烈な個性を放っていた。