AMAスーパーバイクチャンピオンを記念して発売されたZ1000R。そのチャンピオンのエディ・ローソンがヤマハに移籍したが1983年型も引き続き発売された。
文:バイカーズステーション編集部/写真:金上 学、平野輝幸
※この記事はモーターマガジンムック『空冷Z伝 完全版』に掲載した記事を一部編集し転載しています。

カワサキ「Z1000R (Z1000-R2)」特徴

画像: Kawasaki Z1000R(Z1000-R2) 1983年 総排気量:998.6cc エンジン形式:空冷4ストDOHC2バルブ並列4気筒 シート高:775mm 乾燥重量:222kg

Kawasaki Z1000R(Z1000-R2)
1983年

総排気量:998.6cc
エンジン形式:空冷4ストDOHC2バルブ並列4気筒
シート高:775mm
乾燥重量:222kg

2年連続チャンピオン獲得を記念して発売された2型

AMAスーパーバイクにおけるE.ローソンとカワサキの活躍は翌1982年も続き、マシーンの焼失や転倒によるケガなどの不運に見舞われながらもシリーズ連覇を果たす。前年と同様にローソンレプリカの1983年モデルが発売されたが、Z1000-R2の型式名を持つこの車両は、Z1100GPの2型(B2)のシャシーにJ系の最終モデルとなったJ3の並列4気筒を組み合わせたと考えてよく、メーターは一体型へと変化、リアショックの仕様も異なる。

ヨーロッパ各国やオーストラリアなどでも販売され、欧州では排気系を左右2本出しとし、リアフェンダーは長いものへと変更されている。

カワサキ「Z1000R (Z1000-R2)」スタイリング解説

画像: 1981年に続いて1982年もE.ローソンはAMAスーパーバイクを制し、公道用Rモデルも2型が登場。撮影車は欧州仕様だが排気系を変更、リアフェンダーを加工して北米向けの外観に。

1981年に続いて1982年もE.ローソンはAMAスーパーバイクを制し、公道用Rモデルも2型が登場。撮影車は欧州仕様だが排気系を変更、リアフェンダーを加工して北米向けの外観に。

カワサキ「Z1000R (Z1000-R2)」各部装備・ディテール解説

画像: 1983年にデビューしたZ1000R2では、同年に登場したZ1000-J3と同様な台形の一体式メーターを装着。写真の欧州仕様は250km/hスケールの速度計を持つが、アメリカ/カナダモデルは85mphと140km/hを組み合わせた表示とされていた。 右側の回転計は、レッドゾーンの開始が1000rpm高い9500rpm、上限は+1000rpmの12000rpmに変化。中央はガソリン残量計で、その上に、左ターン、ニュートラル、ハイビーム、右ターンのインジケーターランプを配置している。キーシリンダーはトップブリッジ中央に移動され、ハンドルクランプとその固定用ボルトが外部に露出したものとなっている。

1983年にデビューしたZ1000R2では、同年に登場したZ1000-J3と同様な台形の一体式メーターを装着。写真の欧州仕様は250km/hスケールの速度計を持つが、アメリカ/カナダモデルは85mphと140km/hを組み合わせた表示とされていた。

右側の回転計は、レッドゾーンの開始が1000rpm高い9500rpm、上限は+1000rpmの12000rpmに変化。中央はガソリン残量計で、その上に、左ターン、ニュートラル、ハイビーム、右ターンのインジケーターランプを配置している。キーシリンダーはトップブリッジ中央に移動され、ハンドルクランプとその固定用ボルトが外部に露出したものとなっている。

画像: 2型となるZ1000-R2は、エンジンの基本こそR1と共通だが一部の仕様が変更された。R1は、J系と同じ作用角280度(IN:35°BTDC~65°ABTC EX:68°BBDC~32°ATDC)のカムを装着するのに対し、R2は228度(IN:34°BTDC~74°ABTC EX:74°BBDC~34°ATDC)でリフト量8.8mmのカムを採用。 なお、吸気側のカムはZ1100GPの2型(Z1100-B2)と同諸元だが、排気側はR2専用設計だ(Z1100-B2用は、作用角288度は同じでも、72°BBDC~36°ATDCとバルタイが異なる)最高出力は、発生回転数の8500rpmはそのままに102→104HPに増加。最大トルクは9.3→9.1kgf・mに減少するが、発生回転数は7000→7500rpmに上がった。 写真の欧州モデルは排気系をカーカーに交換しているが、本来はブラッククロームメッキが施された4into2のエグゾーストシステムとメインスタンドを備える(乾燥重量は14kg増加となる236kgに変化)。

2型となるZ1000-R2は、エンジンの基本こそR1と共通だが一部の仕様が変更された。R1は、J系と同じ作用角280度(IN:35°BTDC~65°ABTC EX:68°BBDC~32°ATDC)のカムを装着するのに対し、R2は228度(IN:34°BTDC~74°ABTC EX:74°BBDC~34°ATDC)でリフト量8.8mmのカムを採用。

なお、吸気側のカムはZ1100GPの2型(Z1100-B2)と同諸元だが、排気側はR2専用設計だ(Z1100-B2用は、作用角288度は同じでも、72°BBDC~36°ATDCとバルタイが異なる)最高出力は、発生回転数の8500rpmはそのままに102→104HPに増加。最大トルクは9.3→9.1kgf・mに減少するが、発生回転数は7000→7500rpmに上がった。

写真の欧州モデルは排気系をカーカーに交換しているが、本来はブラッククロームメッキが施された4into2のエグゾーストシステムとメインスタンドを備える(乾燥重量は14kg増加となる236kgに変化)。

画像: キャブレターはR1と同じミクニBS34だが、スロットルボディは別パーツに置き換えられる。ダイアフラム式のコースティングエンリッチャーが消滅しているのがわかるだろう。

キャブレターはR1と同じミクニBS34だが、スロットルボディは別パーツに置き換えられる。ダイアフラム式のコースティングエンリッチャーが消滅しているのがわかるだろう。

画像: キャブレターセッティングも異なり、メインジェット:127.5Rとパイロットジェット:#37.5 は共通だが、ニードルジェットはY-6→Y-4、ジェットニードルは5FLZ49→5C50-1(北米)/5C48-3(その他の地域)に変化している

キャブレターセッティングも異なり、メインジェット:127.5Rとパイロットジェット:#37.5 は共通だが、ニードルジェットはY-6→Y-4、ジェットニードルは5FLZ49→5C50-1(北米)/5C48-3(その他の地域)に変化している

画像: リアショックは、ショーワの銘柄はR1と変わらず、上端部にリザーバータンクを置くのも同じだが、プリロードに加えて伸び側減衰力を5段階に調整できるよう高機能化、スプリングレートも見直された。撮影車では短く切られているが、ヨーロッパモデルはロングタイプのリアフェンダーが本来の姿となる。

リアショックは、ショーワの銘柄はR1と変わらず、上端部にリザーバータンクを置くのも同じだが、プリロードに加えて伸び側減衰力を5段階に調整できるよう高機能化、スプリングレートも見直された。撮影車では短く切られているが、ヨーロッパモデルはロングタイプのリアフェンダーが本来の姿となる。

画像: 初期型のR1ではRの文字が青だったが、2型では赤に変化。R1の青×白に対し、R2は白×青にストライプの配色を逆転させたものとなっている。

初期型のR1ではRの文字が青だったが、2型では赤に変化。R1の青×白に対し、R2は白×青にストライプの配色を逆転させたものとなっている。

カワサキ「Z1000R (Z1000-R2)」主なスペック

全長×全幅×全高2240×820×1230mm
ホイールベース1525mm
最低地上高120mm
シート高775mm
乾燥重量222kg
エンジン形式空冷4ストDOHC2バルブ並列4気筒
総排気量998.6cc
ボア×ストローク69.4×66mm
圧縮比9.2
最高出力104HP/8500rpm
最大トルク9.1kg-m/7500rpm
燃料供給方式BS34キャブレター
燃料タンク容量21.4L
変速機形式5速リターン
キャスター角29゜
トレール量115mm
ブレーキ形式(前・後)Φ280mmダブルディスク・Φ270mmシングルディスク
タイヤサイズ(前・後)100/90V19・120/90V18

※この記事はモーターマガジンムック『空冷Z伝 完全版』に掲載した記事を一部編集し転載しています。

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