ヨーロッパからの要望に応えて1984年型として発売されたZ1100R。この年、GPz900Rがデビューするなど節目となる年代であったがRモデルの系統はしっかりと受け継がれた。
文:バイカーズステーション編集部/写真:金上 学、平野輝幸
※この記事はモーターマガジンムック『空冷Z伝 完全版』に掲載した記事を一部編集し転載しています。

カワサキ「Z1100R(Z1100-R1)」特徴

画像: Kawasaki Z1100R (Z1100-R1) 1984年-1985年 総排気量:1089.9cc エンジン形式:空冷4ストDOHC2バルブ並列4気筒 シート高:785mm 乾燥重量:238kg

Kawasaki Z1100R (Z1100-R1)
1984年-1985年

総排気量:1089.9cc
エンジン形式:空冷4ストDOHC2バルブ並列4気筒
シート高:785mm
乾燥重量:238kg

フロントホイールは18インチへと小径化

エディ.ローソンは1983年にヤマハに移籍し、世界GP500ccクラスへの参戦を開始した。翌1984年、公道向けRモデルは途絶えるかに思えたが、ヨーロッパからの要望に応えるかたちで、フロントホイールを19→18インチに小径化したシャシーに、ボアを3.1mm広げて排気量を998.6→1089.9ccに拡大した並列4気筒を搭載するZ1100Rが発売された。

1984年のラインアップには、水冷4バルブ4気筒のGPz900RやリアがモノショックのGPz1100が存在。Z1100Rはオーソドックスなツインショック車だが、心臓部はZ1000-S1の技術を導入したGPz用と基本は同じという高性能車だった。

カワサキ「Z1100R(Z1100-R1)」スタイリング解説

カワサキ「Z1100R(Z1100-R1)」各部装備・ディテール解説

画像: メーターは基本的にR2と同じで、速度計は240km/hスケール、回転計は12000rpmが上限でレッドゾーンは9000rpmからに変わっている。 KYBのエア加圧式Φ38mm正立式フロントフォークは基本的にR2用と同じ部品を使用、フロントフォークオフセット/ピッチ:50/185mmは3台のRモデルに共通(J系は185mmのフォークピッチは共通だが、オフセットはJ1:60mm、J2/J3:50mmと異なる)。 トップブリッジやハンドルなどをエンジンやステップまわりと同様に黒仕上げとするのもRの特徴。

メーターは基本的にR2と同じで、速度計は240km/hスケール、回転計は12000rpmが上限でレッドゾーンは9000rpmからに変わっている。

KYBのエア加圧式Φ38mm正立式フロントフォークは基本的にR2用と同じ部品を使用、フロントフォークオフセット/ピッチ:50/185mmは3台のRモデルに共通(J系は185mmのフォークピッチは共通だが、オフセットはJ1:60mm、J2/J3:50mmと異なる)。

トップブリッジやハンドルなどをエンジンやステップまわりと同様に黒仕上げとするのもRの特徴。

画像: 1984年に登場したZ1100Rでは、車名のとおり排気量を増大させた。クランク右側のパルサーローター、左側にあるACGの各カバーにシルバーのラベルを付けるのが外観上の目立つ相違点で、本体は1983年にデビューしたGPz1100(ZX1100-A1)から流用する。 ただし、GPzは気化器を燃料噴射:DFIとするが、Z1100Rではキャブレターに換装される。66mmのストロークは不変だが、ボアを1000より3.1mm大きな72.5mmとして、排気量を998.6→1089.9ccに拡大。圧縮比は0.3高い9.5:1に引き上げられた。シリンダーヘッドまわりはGPz1100と同様で、多球形の燃焼室やバルブタペットのインナーシム化、バルブアングルを狭角化、吸排気バルブを大径にするなどの変更を受けており、市販レーサーZ1000-S1の開発で培った技術はGPz1100とこのZ1100Rに生かされている。カムシャフトもZ1000R用とは別物で、作用角は吸排気とも300度、タイミングは、IN:40°BTDC~80°ABTC、EX:80°BBDC~40°ATDCと異なる。クランクシャフトやコンロッドも別パーツに置き換えている。 最高出力は、GPz1100の120HPより6HP小さな114HPを250rpm低い8500rpmで発生。トルクは、10.2kgf・mのピーク値は不変だが、発生回転数は1000rpm低い7000rpmに変化。排気系は、4-2構造のエキパイに左右2本のサイレンサーを組み合わせており、これは各国仕様に共通。フレームヘッドパイプ下のオイルクーラーは、これまでの3段からGPz1100と同様な4段へと変化。撮影車は外しているが、センタースタンドを標準装備する。

1984年に登場したZ1100Rでは、車名のとおり排気量を増大させた。クランク右側のパルサーローター、左側にあるACGの各カバーにシルバーのラベルを付けるのが外観上の目立つ相違点で、本体は1983年にデビューしたGPz1100(ZX1100-A1)から流用する。

ただし、GPzは気化器を燃料噴射:DFIとするが、Z1100Rではキャブレターに換装される。66mmのストロークは不変だが、ボアを1000より3.1mm大きな72.5mmとして、排気量を998.6→1089.9ccに拡大。圧縮比は0.3高い9.5:1に引き上げられた。シリンダーヘッドまわりはGPz1100と同様で、多球形の燃焼室やバルブタペットのインナーシム化、バルブアングルを狭角化、吸排気バルブを大径にするなどの変更を受けており、市販レーサーZ1000-S1の開発で培った技術はGPz1100とこのZ1100Rに生かされている。カムシャフトもZ1000R用とは別物で、作用角は吸排気とも300度、タイミングは、IN:40°BTDC~80°ABTC、EX:80°BBDC~40°ATDCと異なる。クランクシャフトやコンロッドも別パーツに置き換えている。

最高出力は、GPz1100の120HPより6HP小さな114HPを250rpm低い8500rpmで発生。トルクは、10.2kgf・mのピーク値は不変だが、発生回転数は1000rpm低い7000rpmに変化。排気系は、4-2構造のエキパイに左右2本のサイレンサーを組み合わせており、これは各国仕様に共通。フレームヘッドパイプ下のオイルクーラーは、これまでの3段からGPz1100と同様な4段へと変化。撮影車は外しているが、センタースタンドを標準装備する。

画像: 燃料噴射から置き換えられたキャブレターはZ1000Rと同じミクニBS34で、排気量アップやバルブタイミングの変更を受けてセッティングを変更。メインジェットは、冷却性が良好な1/4番気筒は#130、熱がこもる内側の2/3番気筒は#135とされ、ニードルジェットはY-8、ジェットニードルは5B5-3、パイロットジェットは37.5が標準。 Z1000-R2用と同様にコースティングエンリッチャーは持たない。ガソリンタンク後端部の真下にエアクリーナーボックスを配置、ボックス状のろ紙式エアクリーナーを装着するのはZ1000RやZ1000Jなどと同構造だ。

燃料噴射から置き換えられたキャブレターはZ1000Rと同じミクニBS34で、排気量アップやバルブタイミングの変更を受けてセッティングを変更。メインジェットは、冷却性が良好な1/4番気筒は#130、熱がこもる内側の2/3番気筒は#135とされ、ニードルジェットはY-8、ジェットニードルは5B5-3、パイロットジェットは37.5が標準。

Z1000-R2用と同様にコースティングエンリッチャーは持たない。ガソリンタンク後端部の真下にエアクリーナーボックスを配置、ボックス状のろ紙式エアクリーナーを装着するのはZ1000RやZ1000Jなどと同構造だ。

画像: リアショックはメーカーがショーワからKYBに変化、デザインも一新された。プリロードの調整部はカム式となり、伸縮両減衰力を調整できるフルアジャスタブルに機能が高められた。

リアショックはメーカーがショーワからKYBに変化、デザインも一新された。プリロードの調整部はカム式となり、伸縮両減衰力を調整できるフルアジャスタブルに機能が高められた。

画像: 1100RのサイドカバーのエンブレムはR2のデザインを基に1100へと書き換えている。

1100RのサイドカバーのエンブレムはR2のデザインを基に1100へと書き換えている。

カワサキ「Z1100R(Z1100-R1)」主なスペック

全長×全幅×全高2265×785×1240mm
ホイールベース1540mm
最低地上高140mm
シート高785mm
乾燥重量238kg
エンジン形式空冷4ストDOHC2バルブ並列4気筒
総排気量1089.9cc
ボア×ストローク72.5×66mm
圧縮比9.5
最高出力114HP/8500rpm
最大トルク10.2kg-m/7000rpm
燃料供給方式BS34キャブレター
燃料タンク容量21.4L
変速機形式5速リターン
キャスター角28゜
トレール量114mm
ブレーキ形式(前・後)Φ280mmダブルディスク・Φ270mmシングルディスク
タイヤサイズ(前・後)110/90V18・130/80V18

文:バイカーズステーション編集部/写真:金上 学、平野輝幸
※この記事はモーターマガジンムック『空冷Z伝 完全版』に掲載した記事を一部編集し転載しています。

This article is a sponsored article by
''.