同じエンジンの派生車祭りで、見た目だけちゃちゃっと中年ライダー好みにしてハイ終了かと思ったら、XSR900とGPとではかなり造りが異なるので驚き! GPにハートを鷲掴みにされたが、比べてみるとXSR900 の良さも見えてきて……? 新橋モーター商会の店主・丸山淳大が各部を徹底分析!
以下、文:丸山淳大/写真:南 孝幸

ヤマハ「XSR900 GP ABS」VS ヤマハ「XSR900 ABS」|各部チェック

画像: YAMAHA XSR900 GP ABS 総排気量:888cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒 シート高:835mm 車両重量:200kg 税込価格:143万円

YAMAHA XSR900 GP ABS

総排気量:888cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒
シート高:835mm
車両重量:200kg

税込価格:143万円

画像: YAMAHA XSR900 ABS 総排気量:888cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒 シート高:810mm 車両重量:193kg 税込価格:125万4000円

YAMAHA XSR900 ABS

総排気量:888cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒
シート高:810mm
車両重量:193kg

税込価格:125万4000円

1.電装部品の配置

画像1: XSR900 GP ABS

XSR900 GP ABS

画像1: XSR900 ABS

XSR900 ABS

電装部品搭載位置の試行錯誤が見え隠れ、絶対に大丈夫だろうけどやや気になる

ジェネレーターで発電した電気を交流から直流に変換し、電圧を12Vに制御するレギュレートレクチファイヤー。昔はシート下とかサイドカバー内とか雨の当たらないとこに設置されていたものだが、最近はノーガードで結構攻めたとこに付いていることも。

放熱性と雨などによる影響とを天秤にかけて放熱性を優先した結果かと思うが、特にGPの方はリアタイヤが巻き上げた水や砂利が直撃しそうなとこに付いていて、オジサンなのに老婆の心でやや心配。

だって、私でも価格的射程圏内に入りそうな中古車が出てくる10年後には防水カプラーのカバーとかパッキンとかが変形してそうじゃない? で、防水カバー単品部品出ないとかアリそうじゃない?(妄想です)


2.キャスター・トレール、燃費

画像2: XSR900 GP ABS

XSR900 GP ABS

画像3: XSR900 GP ABS

XSR900 GP ABS

同じに見えるが実は違う部品! コストより優先されたこだわりに感服

XSR900にカウルを付けて、セパハンにして、とりあえずそれっぽくしたのがGPであるかと思われるかもしれないが、実は見た目でわからない部分の相違点も多いのだ。

フロントのキャスター角は約0.3度GPの方が寝ていて、トレール量は2mm大きく取られている。フロント荷重増大に対する補正なのか、ハンドリングの味付けのためか? 狙いがあるのは間違いない。

また、車重はGPの方が7kg重いものの、GPの方が定地燃費では0.5km/L、WMTCモード値で0.7km/L燃費が良いのだ。カウリングの空力が功を奏しているのではないだろうか。

その他、一緒でも良さそうなシート、燃料タンク形状も微妙に異なるし、フレームも微妙に違う。コストよりもクオリティを優先した造り込みに萌えるのだ!


3.ライディングポジション

画像4: XSR900 GP ABS

XSR900 GP ABS

画像2: XSR900 ABS

XSR900 ABS

中年が狙われたが、狙われた中年はポジションに耐えられないおそれアリ!

中年ライダーを狙い撃ちする激エモネオクラレプリカ XSR900 GPだが、私を含め40~50歳代にとっての最大の懸念は、遠出をしても前傾姿勢をキープできるか否かだ。

180cm、85kgの太め体型だと、前傾はそんなにキツくないので腹肉をちょっと折り畳めばOKだが、長時間だと首の後ろと手首が辛そう。ハンドルの垂れ角がかなりキツいので、ハンドル1本分くらい上がると理想的。でも角度を上げ過ぎればGPらしさが削がれていき、GPを選ぶ意義が消えていく。

また、このスタイリングに便利だからとキャリアを付けたり、リアボックスを付けたりはややはばかられる気はする。

XSR900はツーリングもスポーツも気軽に楽しめるニュートラルなポジション。キャリアなどの装着もそれはそれで良さそうだ。目の前に2台並べられ、これからどっちかで300km走ってこいと言われたら、気持ちはGPだが、体がXSR900を選んでしまうだろう。

XSR900、GP共にステップ位置が2段階に調整できる(説明書に記載されている)のは好ポイント。XSR900は下側、GPは上側がデフォルトのようだ。また、GPはステップラバーありで、XSR900のはラバーなし。

画像5: XSR900 GP ABS

XSR900 GP ABS

ヤマハ「XSR900 GP ABS」VS ヤマハ「XSR900 ABS」|総合評価

画像: 好みを取るべきか、日和って楽さを取るべきか、それが問題だ。

好みを取るべきか、日和って楽さを取るべきか、それが問題だ。

ネオクラに求められるのは「あの頃のバイク感」ではなく「あの頃のバイクが進化した感」だ

流行のネオクラはいばらの道。安易に手を出すと和食ファミレスで流れる「J-POP お琴バージョン」みたいな違和感が出てしまい、モノ申したい系の中年が湧いてくる。

だが、XSR900 GPはなんだかやけに腑に落ちる。むか~し誰もが一度は妄想したRZV500Rに倒立入れて、17インチホイール履かせて、外装もモダナイズして…みたいな理想像に近いような気がするのだ。それが単なる好みと言われればそれまでだが……。

加えて、パッと見気づかないような細かな造り込みも多々見られ、ヤマハの本気度が伝わってくる完成度。これはうるさ型の老害グレーゾーンライダーも大喜びなのでは?

ネックはポジションによるハードルだ。一方で今回はXSR900の派生としてGPという流れだが、GPのネイキッドバージョンとしてのXSR900としてみると、これは非常にアリ。楽なポジションでツーリングメインで乗りたい層は無理せずXSR900が良いかも。

画像: YAMAHA XSR900 GP ABS

YAMAHA XSR900 GP ABS

パーキングに停めておくと、誘蛾灯のように中年を引き寄せてしまうので、ダル絡みされるリスクあり。若者は心して乗っていただきたい。メンテの邪魔になるカウルだが、灯火類はLEDだし、USB電源付いているし、いじる必要はほとんどないかも。ただ、コケたら高い!


画像: YAMAHA XSR900 ABS

YAMAHA XSR900 ABS

カラーやグラフィックに頼るのではなく、しっかりフォルムや各部の造形で魅せるヤマハのセンスが光る。ネオクラの中でも“ネオ”増しの“クラ”少なめで、懐古に全振りしてないのが好印象。このままロングセラーになればSRのような風格が出てきそうだ。

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  • 画像1: ヤマハ「XSR900 GP」とヤマハ「XSR900」のユーティリティやメンテナンス性をチェック!〈目利きのマル〉
    XSR900 GP ABS
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    XSR900 ABS
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    XSR900 GP ABS
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    93
  • 画像4: ヤマハ「XSR900 GP」とヤマハ「XSR900」のユーティリティやメンテナンス性をチェック!〈目利きのマル〉
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ヤマハ「XSR900 GP ABS」VS ヤマハ「XSR900 ABS」|スペック・価格・燃費・製造国

XSR900 GP ABSXSR900 ABS
全長×全幅×全高2160×690×1180mm2155×790×1155mm
ホイールベース1500mm1495mm
最低地上高145mm140mm
シート高835mm810mm
車両重量200kg193kg
エンジン形式水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒
総排気量888cc888cc
ボア×ストローク78.0×62.0mm78.0×62.0mm
圧縮比11.511.5
最高出力88kW(120PS)/10000rpm88kW(120PS)/10000rpm
最大トルク93N・m(9.5kgf・m)/7000rpm93N・m(9.5kgf・m)/7000rpm
燃料タンク容量14L(無鉛プレミアムガソリン指定)14L(無鉛プレミアムガソリン指定)
変速機形式6速リターン6速リターン
キャスター角25°20'25°00′
トレール110mm108mm
タイヤサイズ(前・後)120/70ZR17M/C(58W)・180/55ZR17M/C(73W)120/70ZR17M/C(58W)・180/55ZR17M/C(73W)
ブレーキ形式(前・後)ダブルディスク・シングルディスクダブルディスク・シングルディスク
燃料消費率 WMTCモード値21.1km/L(クラス3, サブクラス3-2) 1名乗車時20.4km/L(クラス3, サブクラス3-2) 1名乗車時
製造国日本日本
メーカー希望小売価格143万円(消費税10%込み)125万4000円(消費税10%込み)

文:丸山淳大/写真:南 孝幸

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