文:太田安治/写真:赤松 孝、南 孝幸/モデル:平嶋夏海
ジータ「フライトパーチ RD」テスト&レポート
クラッチ操作のタッチと操作力を好みに調整
クラッチの役割は「エンジンパワーを後輪に伝達する量を可変させる機構」と表現すれば判りやすいだろうか。クラッチレバーを握ると伝達量はゼロに近づき、レバーを離すに連れて伝達量は増える。
実際の操作で重要なのはレバー操作に必要な力と、操作量に対する伝達量がライダーの感覚に合っていることだ。
クラッチ操作が重いと繊細なコントロールがしにくいし、頻繁に操作する市街地では左手が疲れてしまうし、クラッチの繋がりはじめから完全に繋がるまでの、いわゆる半クラッチ状態の範囲が狭いとエンストや急発進を起こしやすく、範囲が広すぎると素早いシフト操作が難しくなる。操作力と操作量のバランスは設計上も難しいところだ。
ジータのフライトパーチRDは、クラッチワイヤー先端にあるタイコの固定位置を2段階に変えられ、テコの原理の「支点」を移動させられることが特徴。操作力を軽減するセッティングでは半クラッチの範囲が増え、切れ重視のセッティングにすると半クラッチの幅が狭くなる。
どちらを重視するかは用途とライダーの好み次第なのだが、クラッチの重さに悩む旧車オーナー、握力の弱い女性ライダーなら操作力が軽くなることに大きな魅力を感じるはず。レバーレシオの変更に加え、精度の高い仕上がりで機械的な抵抗とガタ付きをなくしていることも操作力の低減に貢献している。
ワイヤーの遊び調整も簡単に行え、レバーも転倒時の折損を防ぐ可倒式を採用。ドレスアップ効果はもちろんだが、機能性の高さが光るカスタムパーツだ。
テスター太田安治の欲張りリクエスト
ブラック仕上げは精悍だが、カスタムパーツっぽさが強めなので好みが分かれる。アルミ地を出したシルバー仕上げがあれば、往時の雰囲気を大事にする旧車オーナーが喜びそうだし、外車にはタイコ径10mmの車種も多いので、これに対応できる仕様も欲しい。
文:太田安治/写真:赤松 孝、南 孝幸/モデル:平嶋夏海