電装と機関、制動系をまず見直すという提案的車両

画像1: 電装と機関、制動系をまず見直すという提案的車両

’24年春の東京モーターサイクルショーでは、続々展開中の自社製スズキ油冷モデル用リプロパーツを、また持てるレストア技術を全身に反映して仕上げた初代GSX-R750を展示したm-tech。そんな同店では珍しいと思えるCB900Fだ。ブーメランコムスターホイールをはじめ、大筋は純正状態と分かる。「当店らしくない提案的な車両ですね」と同店・松本さん。

「自分用のセカンドバイクなんです。気が向いたらその辺を走るというような散歩的な使い方の。元々若い頃にCB750Fに乗ってた時期があって、900Fもほしいなと思っていたんです。それを去年見つけて手に入れました。ヨーロッパの一部で展開していた’83年型FD。状態は割と良かったですが、それでも40年もの。乗ってみてダメなところは見直しています。電装に機関、ブレーキ。これらがしっかりしていれば出先で止まってしまうような不安もないですし」

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機関=エンジンは腰上をオーバーホール。CB-Fで気になるカムチェーンまわりのパーツがない点は、“いつかなくなる日が来るから”と自らストックしていたものを使った。このあたりは冒頭のような“なくて困る”を油冷エンジン車に反映しているからこその対応。機種こそ違っても困るポイントは変わらないのをよく知るから。

同じく形は保たれていても使えない純正リヤショックや、CB-Fの弱点となるフロントブレーキまわりは現代のものに交換。リヤショックはWP製に換装した上でその存在感を浮かせないように、スプリングをブラックにパウダー塗装、ほかアルマイト仕上げの部分も改めてブラックアルマイトを施してブラックアウトし、車両全体とのなじみにも配慮している。

電装はメインハーネス交換やウオタニ製点火ユニットの使用、当然だがタイヤも現代のバイアスとする。ほかにもステムのフォーククランプなどは締結剛性を高めるためにチタンボルトを使ってある。

こうして仕上がった900F、松本さんの言うように散歩的に使うには十分な状態になっている。要は使い方と、それに合わせた作り。ただどんな仕様でも前提となるのは車両が良好な状態にあることで、それはCB-Fも、m-techが力を入れる油冷各車も同じ。今の感覚で乗れる旧車を仕立てる第一歩的な意味合いで、最低限止まる・曲がるを具現化したこの車両、CB-F本来の姿を味わうにも、この提案は参考にしたい。

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CB900FDオリジナル状態を保つ外観。特徴的なホーンやウインカーもきれいな状態だ。

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ステムは純正だが締結剛性を高めるためにクランプにはチタンボルトを使っている。メーターはリビルドされ、速度計前側とと回転計前側の谷間にETC車載器アンテナも設置する。ハンドルは純正の鍛造セパレートアップ、フロントマスターは現代モデル用に換装済み。

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長めの鋳造ベースプレート(ブロック)を持つステップも純正。アルミ部分も樹脂部分もきれいな状態にされている。

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シートやテールカウル、フェンダーまわりも純正で構成。リヤショックはこの角度から見ても違和感なしだ。

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901.8ccのエンジンはストックしていたパーツも使いながら腰上をオーバーホールしている。電装はメインハーネスを引き直して点火系をASウオタニのユニットに換装するなど、ノーマル然としながら要所要所に必要な手が入れられる。m-techではスズキ油冷の良質な中古車両も仕立てて販売するが、それをCB-Fに応用したと考えればこの車両の仕立ての良さも分かる。

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キャブレターも純正で、エンジン同様に分解清掃等を施してある。

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純正フロントフォークはφ39mmのインナーチューブを再めっきし、フロントブレーキはブレンボ・アキシャルキャリパー+サンスターディスクで確実な制動性を得た。

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片押し2ピストンキャリパー+φ276mmディスクのリヤブレーキは純正。2.50-18/3.00-18サイズの純正ブーメランコムスターホイールはチェック&清掃されている。

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スイングアームは現状では純正のスチール丸パイプで、リヤショックをはWP製としつつ存在感を主張しないように、スプリングをパウダーで黒へ、アルマイト部分はすべてブラックアルマイト再処理しブラックアウト化して他のパートとのなじみを良くした。タイヤは現代バイアスのブリヂストン BT46で100/80-18・130/80-18サイズを履く。

取材協力:M-tech

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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