文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)
※この記事はウェブサイト「ロレンス」で2024年10月15日に公開されたものを一部編集し転載しています。
2014年の設立から、10年目での終焉となるのでしょうか?
英国を代表するメディアであるMCNの報道によると、2014年設立のイタリアの電動車メーカーであるエネルジカが、破産申請の手続きに入ったそうです・・・。
「常に債権者の最善の利益のために継続的な懸念を維持することを目的として、新しい投資家の検索を積極的に広範囲に追求する経営陣の努力にもかかわらず、これらの代替オプションがこれ以上実行可能ではないことがここ数時間で明らかになりました。したがって、破産司法清算の開始を解決する以外に選択肢はありません。したがって、清算の収益から可能な限り債権者の返済が可能になります」
同社の財務が破綻した主な理由は、市場とサプライチェーンの低迷、そして投資の減少が理由としてあげられています。2022年3月にはグローバル企業「アイデアノミクス」に買収され、その傘下に入ることで資金的なバックアップを得ていたと思われていたエネルジカですが、「成長」というビジョンは具現化することなくついえることになってしまったようです。
2022年には世界的に流行しているアドベンチャーモデルの「エクスペリア」を電動車としては初めて発売したエネルジカは、同年に同社過去最高の売り上げ(13,000万ユーロ≒21億1,506万円)を記録しているのですが、事業を継続するにはそれくらいでは足りなかったということなのでしょう。
エネルジカのブランドが、今後存続するかどうかは不明です
モータースポーツファンにとって、エネルジカの名はかつてのMotoE用ワンメイク競技車の提供ブランドとして著名でしょう。2019年からエネルジカは、MotoEに「エゴ コルサ」を供給。FIM(国際モーターサイクリズム連盟)とドルナ、そしてエネルジカの間で結ばれた、ワンメイク車両供給メーカーとしての契約は2022年まででしたが2023年以降に契約が延長されることはなく、ドゥカティのV21Lがその座をとって代わることになったのは周知のとおりです。
高性能で魅力的な電動モデルを市場に送り続け、新たな投資を得る努力に邁進したにもかかわらず、残念ながらエネルジカの運命は清算への道をたどることになってしまいました。社を救う救世主=投資家が登場すれば、イタリアで最も著名な電動車ブランドの名は残ることになるのでしょうが、今のところその行方は不透明です・・・。
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)