文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
ファンティック「キャバレロ スクランブラー 700」インプレ(宮崎敬一郎)
パワフルで機敏に走りダートも結構楽しい!
スクランブラー700は、エンジンにはヤマハMT-07などが搭載するCP2ユニットを使用するが、それ以外のパートはすべてオリジナルというミドルスクランブラーだ。パワースペックは発表されていないが、感触としてはおそらくMT-07シリーズの73馬力あたりだろう。
ただ、排気系のストレスが少なそうな弾けるような排気音をしており、さらに減速比も少し大きめになっているようで、そのお陰か低中域からのピックアップがMT-07シリーズよりかなり鋭く感じる。
もともとピックアップのいいCP2エンジンにパンチ力を増強したことで、色々なクセもあるが、積極的に力を駆使するような走りにおいてはとても面白い。
スクランブラーと銘打つだけあって、車体が暴れても抑えやすい大型のハンドルと軽くてスリムな車体は十分な機能を持っている。サストラベルはスタンダードスポーツを少し伸ばした程度の前後150mmだから、足つき性にも無理がなく、悪路での取り回しも楽。
ピックアップの良さを活かしてリアを流して走るのも意のままだ。ライディングモードを「オフロード」にすれば、ABSやトラコンの介入を少なくしたり、オフにできたりする。なかなか本格的なオフロード対応力だ。
サスはちょっと強めのバネと滑らかに動く減衰を組み合わせたもので、作動感としては少し硬め。試乗車が新車だったので、これはサスのアタリが出ていなかったからかもしれないが……。とはいえ、ちょっとゆとりのあるストローク量の威力は十分。ダートで不意に乗り越える凸凹くらいでは簡単には突き上げられない。ゆとりを持って楽しめるのだ。
また、試乗時に気づいたのだが、タンデムをすると前後サスの硬い作動感がウソのように消えた。しっとりとしていて、乗り心地も格段に快適になる。これはダートで走ってみても同じで、簡単に底突きしないだけのコシの強さも残しつつ快適に走る。
フレームはかなり高剛性で、カッチリとしたストリートでの軽快な機動が出来る節度がしっかりある。アッパーミドルらしい動力性能とこの車体が生む安定性で、高速道路などでも乗り手を疲れさせない。街中では普通に使いやすい……いや、軽くて大きなハンドルで小手先操作のライディングまでできるから、かなり気楽に使いこなせる。
強いバネの特性などから、荷物をしっかり積んでダートを踏破した先にあるキャンプ場までツーリングする……というような楽しみ方が、このバイクの魅力を最大限引き出せる使い方だろう。加えて、この軽さとシンプルな構造にも注目したい。
豪華なアドベンチャーモデルより立ちごけのコストも少なく済みそうだし、何より軽くてこけにくい。実用的な冒険バイクの資質もあるのだ。キャリアやバッグなど、積載系のオプションパーツも充実しているから、いろいろな夢を抱いてみるのも悪くないと思う。
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