文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
BMW「R 1300 GS アドベンチャー」インプレ(宮崎敬一郎)
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BMW
R 1300 GS Adventure
総排気量:1300cc
エンジン形式:空水冷4ストDOHC4バルブ水平対向2気筒
シート高:820/840-850/870mm(アダプティブ車高制御 comfort 装備車両)
車両重量:284kg
受注開始日:2024年9月7日
税込価格:333万5000円〜368万4000円
試乗車はASAに加えアクティブクルーズコントロールを装備した「ツーリング」グレード
巨大な車格とは思えない扱いやすさとイージーさ
R1300GSアドベンチャーは、言わずと知れたこのカテゴリーの王様。巨大な30リットルタンクをはじめ、スタンダードのGSよりトラベルを増やした前後の電制サス、重積載を考慮した頑丈なアルミサブフレームなどを装備したヘビーデューティー仕様だ。しかも今回はBMW初の自動クラッチ・変速システム「ASA(オートメイテッド・シフト・アシスタント)」仕様も登場した。
試乗したのはそのASAモデル。このASAを大雑把にいうと、既存のクラッチやミッションをアクチュエーターで動かし、発進の半クラッチから自動変速まで行うシステムで、ATモードやマニュアルシフトモードも備える。DCTよりも通常のミッションに構造が近いのも特徴だ。
ホンダのDCTやヤマハのY-AMTと同じくクラッチレバーはなく、半クラや急発進はスロットル開度で自動調整する。まず、それが非常に滑らか。駆動系ダンパーラグの多いシャフトドライブなのでショックを警戒したが、一度走り出してしまえば、シフトアップ/ダウンともにシフトラグ、ショックはDCTやY-AMTと変わらず、しかも素早い。
ATモードには学習機能があり、街中、クルーズ、スポーツと驚くほどライダーの操作に共鳴し、シフトタイミングを臨機応変に変えてくれ、気がつくとATのまま、必要な時だけシフトダウンし、立ち上がりはすぐに復帰するATに任せる……といった気楽なライディングをすっかり満喫してしまっていた。
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そもそもこの新型、前モデルよりやや小柄な車格でハンドリングも軽快。このボクシーなフォルムも、積載や取り回しに配慮したもので、さらには自動車高調整機能も搭載されており、足つき性も格段に良好だ。
満タン時での取り回しや、低速走行での安心感は以前とは比べ物にならない。フロントが重いので、サンドやざくざくの溶岩礫などは埋まりやすく苦手だが、優秀な電子制御サスの威力で、ゴロ石が転がっているような林道なら快適に走ってしまう。この巨大なサイズからは信じられない適応力だ。
オンロードでのスポーティな走りでもその懐の深さが光る。荒れ気味の路面でも抜群のスタビリティで、スポーティな走りもハイペースでこなす。ライディングモードを「ロード」にするとどこでも快適な乗り心地を手に入れられる。
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パワーレスポンスがリニアな「ダイナミック」では少し乗り心地が硬いが、リア上がりの姿勢になり旋回性が向上。キビキビ走りたいならこのモードだが、サスやエンジンレスポンスなどは独自調整もでき、かなりワガママを聞いてくれる。こうした幅広い対応力も大きな魅力だ。
ASAの新採用を含め、このR1300GSアドベンチャーの完成度は一層高まった。大きいから扱いにくそうだ……という心配は無用。想像以上の使い勝手の良さとイージーさが加わった頼もしい1台だ。
BMW「R 1300 GS アドベンチャー」カラー・人気投票
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レーシング・レッド
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レーシング・ブルー・メタリック
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ブラック・ストーム・メタリック
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アウレリウス・グリーン・メタリック・マット
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