カワサキを代表するブランド・Zの始祖であるZ1は、登場から50年以上が過ぎても魅力は色褪せず、いまなお世界中のライダーを虜にしている、美しさと高性能を兼ね備えた、1970年代を代表する名車のひとつだ。
まとめ:オートバイ編集部

カワサキ「900 SUPER4(Z1)」特徴

画像: Kawasaki 900 SUPER4 1972年~1975年 総排気量:903.2cc エンジン形式:空冷4ストDOHC2バルブ並列4気筒 シート高:813mm 乾燥重量:230kg

Kawasaki
900 SUPER4 
1972年~1975年

総排気量:903.2cc
エンジン形式:空冷4ストDOHC2バルブ並列4気筒
シート高:813mm
乾燥重量:230kg

今も神々しさを失わない圧倒的な美しさ

1960年代終盤から北米市場ではWシリーズ、マッハシリーズが一定の人気を得ていたカワサキだったが、排出ガス対策を織り込んだ世界戦略車として開発されたのがZ1こと900スーパー4。スタイリング、メカニズム、動力性能、いずれも当時のオートバイの水準を大きく超えるもので、長年にわたりライバルメーカーから目標とされた名車だ。

開発当時、カワサキはそれぞれのニューモデルの開発コード名に「ステーキ」の名をつけており、このZ1は「ニューヨークステーキ」と呼ばれていた。もともとは750cc・4気筒エンジンを積むスーパースポーツとして開発がスタートし、実走テストの段階まで進んでいたが、1969年にホンダのドリームCB750フォアが先に登場し、大ヒットした影響を受けて開発計画の見直しを余儀なくされ、最終的に排気量を903ccに拡大したのは有名な話だ。

画像: カワサキ「900 SUPER4(Z1)」特徴

DOHCヘッドを採用した空冷4気筒エンジンは、カムシャフトやクランクにクロモリ素材を採用するなど、過剰なほどに高品質な設計で、パワーはCB750フォアの67馬力を大きく超える82馬力を発揮。当時の海外メディアはこぞってこのZ1の動力性能テストを実施し、ゼロヨン加速は12秒台、最高速も200km/hオーバーをマークして世界最強のパフォーマンスを実証した。

群を抜く高性能、美しいスタイリングもさることながら、排気量アップを視野に入れて開発され、ハードなチューンにも耐える耐久性の高いエンジンにより、欧米やオセアニアのレースでも大活躍。

生産が終了した後もカスタム需要は衰えず、多種多様なパーツが市場に流通したこともあり、1973年に国内向けとして排気量を縮小して登場した750RS(Z2)ともども、長年にわたって市場の主役であり続けたことも人気を支えた要因のひとつだった。今でも愛される、日本のバイク史に輝く金字塔だ。

画像: 当時最高峰のパワースペックを誇り、パフォーマンスも群を抜いたもの。マフラーから響く独特のサウンドも個性のひとつだった。

当時最高峰のパワースペックを誇り、パフォーマンスも群を抜いたもの。マフラーから響く独特のサウンドも個性のひとつだった。

カワサキ「900 SUPER4(Z1)」注目ポイント

画像: メーターは左がマイル表示160mphスケールの速度計(欧州向けは240km/h)、右は1万2000回転スケールの回転計。中央の穴はキーホルダー入れ。

メーターは左がマイル表示160mphスケールの速度計(欧州向けは240km/h)、右は1万2000回転スケールの回転計。中央の穴はキーホルダー入れ。

画像: 初代は「オレンジボール」や「火の玉」と呼ばれるカラーを採用、このカラーは今でも継承されている。タンク形状は美しいティアドロップ型。

初代は「オレンジボール」や「火の玉」と呼ばれるカラーを採用、このカラーは今でも継承されている。タンク形状は美しいティアドロップ型。

画像: 空冷直4DOHCエンジンの排気量は903.2cc。後の排気量拡大を想定して、ボア×ストロークは66.0mm×66.0mmのスクエアとされた。

空冷直4DOHCエンジンの排気量は903.2cc。後の排気量拡大を想定して、ボア×ストロークは66.0mm×66.0mmのスクエアとされた。

画像: 左右2本出しレイアウトで大きく後方に跳ね上げられた、メッキ仕上げの4本マフラーを採用。4気筒を強烈にアピールする。

左右2本出しレイアウトで大きく後方に跳ね上げられた、メッキ仕上げの4本マフラーを採用。4気筒を強烈にアピールする。

画像: フロントブレーキはΦ296mmディスクに片押し式のシングルポッドキャリパーをフロントフォーク前側上方にマウント。ホイールはワイヤースポーク。

フロントブレーキはΦ296mmディスクに片押し式のシングルポッドキャリパーをフロントフォーク前側上方にマウント。ホイールはワイヤースポーク。

画像: シートは分厚いクッションでタンデムも余裕の大きなサイズ。撮影車は北米仕様のため、タンデムベルトは備えていない。

シートは分厚いクッションでタンデムも余裕の大きなサイズ。撮影車は北米仕様のため、タンデムベルトは備えていない。

カワサキ「900 SUPER4(Z1)」歴史雑学

開発当初はナナハンだった

画像1: カワサキ「900 SUPER4(Z1)」1972年|世界の度肝を抜く高性能と美しさ! 今もライダーを惹きつける永遠のZ【昭和の名車解説】

写真は開発中のZ1のクレイモデルのひとつ。デザインスタディと推測されるが、Z1の市販車と比べても外観上の差異はほとんどなく、おそらくは最終段階のものと思われる。燃料タンク上には「749」の表記があり、開発当初は750ccであったことをしのばせる。

画像: Kawasaki 750RS(Z2) カワサキは当初Z1をそのまま国内市販する予定だったが、国内販売できる排気量の上限が設定されたことで750RSを投入。Z2の名で長年愛されてきた。

Kawasaki 
750RS(Z2)

カワサキは当初Z1をそのまま国内市販する予定だったが、国内販売できる排気量の上限が設定されたことで750RSを投入。Z2の名で長年愛されてきた。

カワサキ「900 SUPER4(Z1)」主なスペック

全長×全幅×全高2200×865×1170mm
ホイールベース1490mm
シート高813mm
車両重量(乾燥)230kg
エンジン形式空冷4ストロークDOHC2バルブ並列4気筒
総排気量903.2cc
ボア×ストローク66.0×66.0mm
圧縮比8.5
最高出力82HP/8500rpm
最大トルク7.5kg-m/7000rpm
燃料供給方式VM28キャブレター
燃料タンク容量18L
変速機形式5速リターン
キャスター角26゜
トレール量90mm
ブレーキ形式(前・後)Φ296mmシングルディスク・Φ200mmドラム
タイヤサイズ(前・後)3.25-H19・4.00-H18

まとめ:オートバイ編集部

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