1980年にドイツのケルンモーターショーで発表され、世界中に衝撃を与えたスズキのGSX1100Sカタナ。他にはない強烈な個性と乗り手を選ぶ走りで、登場から45年が経った今でもライダーを惹きつける名車だ。

スズキ「GSX1100S カタナ」特徴

画像: SUZUKI GSX1100S KATANA 1981年~2000年 総排気量:1074cc エンジン形式:空冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 シート高:775mm 乾燥重量:232kg

SUZUKI
GSX1100S KATANA 
1981年~2000年

総排気量:1074cc
エンジン形式:空冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:775mm
乾燥重量:232kg

ライダーを今なお惹きつける圧倒的な個性

1979年、スズキは空冷DOHC4バルブユニットでトップレベルのパフォーマンスを実現したGSX1100Eを投入したが、スタイリングがオーソドックス過ぎて市場の反応は今ひとつだった。

そんな折、ドイツの『モトラッド』誌が主催したバイクのデザインコンテストに、工業デザイナーのハンス・ムート率いるドイツのターゲットデザイン社が出品した1台のマシン「レッドラプター」がスズキの目に留まる。ユニークなそのデザインに衝撃を受けたスズキは、早速ターゲットデザインに新型車のデザインを依頼。こうして誕生したのがGSX1100S「刀」だった。

1980年、ドイツ・ケルンで開催されたIFMAショーでプロトタイプが初公開され、カタナは世界中に衝撃を与える。その名の通り日本刀をイメージしてデザインした、未来的、先鋭的なスタイルは会場で大きな話題となった。だが、来場者の反応は賛否両論で、この時、誰もがこのバイクを単なるデザインスタディだと考えていた。

しかし翌年の1981年、スズキは世界を再び仰天させる。なんと、そのカタナをほぼコンセプトモデルそのままの形で市販してしまったのである。

独創的なフォルムで、低く構えたライディングポジションは独特なもの。111PSというパワーは当時としては申し分のないものだったが、ハンドリングは直進性重視の傾向があり、正直言ってコーナーをヒラヒラと駆け抜けるようなスポーツライディング向きのオートバイではなかった。

しかし、この圧倒的な個性と、乗りこなすのにテクニックを乗り手に要求する手強さが世界中のライダーを強く惹きつけ、カタナは長年にわたって愛される。国内では1982年からGSX750Sが販売され、1984年からはGSX1100Sの国内仕様が登場。最終的には2000年まで続くロングセラーとなった。

スズキ「GSX1100S カタナ」各部装備・ディテール解説

画像: フロントカウルからタンクにかけてつながるラインは、日本刀の刀身をイメージしたもの。基本的にスタイリングは1980年のプロトタイプのものをそのまま踏襲する。

フロントカウルからタンクにかけてつながるラインは、日本刀の刀身をイメージしたもの。基本的にスタイリングは1980年のプロトタイプのものをそのまま踏襲する。

画像1: リアのサスペンションはサイドのノブを引き上げてイニシャル調整を行なう。初期型はスプリングがシルバー仕上げだった。

リアのサスペンションはサイドのノブを引き上げてイニシャル調整を行なう。初期型はスプリングがシルバー仕上げだった。

画像: ターゲットデザイン社によるデザインスケッチのひとつ。煮詰めの作業はスタッフが直接来日して、浜松に泊まり込んで行われた。

ターゲットデザイン社によるデザインスケッチのひとつ。煮詰めの作業はスタッフが直接来日して、浜松に泊まり込んで行われた。

画像: フロントカウルはフレームマウント。プロトタイプにはなかったスクリーンは、ピニンファリーナでの風洞実験を経て装着されたもの。

フロントカウルはフレームマウント。プロトタイプにはなかったスクリーンは、ピニンファリーナでの風洞実験を経て装着されたもの。

画像: スピードとタコをひとつのケース内に収めたユニークなレイアウトのアナログメーター。スピードは240km/hフルスケール。

スピードとタコをひとつのケース内に収めたユニークなレイアウトのアナログメーター。スピードは240km/hフルスケール。

画像: 日本刀の刃を思わせるエッジが印象的。タンク容量は22リットルで、給油口はデザインの関係で右側にオフセットされている。

日本刀の刃を思わせるエッジが印象的。タンク容量は22リットルで、給油口はデザインの関係で右側にオフセットされている。

画像: GSX1100E用の空冷DOHC4バルブユニットをベースに、クランクシャフトやバルブまわりを変更。最高出力は111PSを発揮。

GSX1100E用の空冷DOHC4バルブユニットをベースに、クランクシャフトやバルブまわりを変更。最高出力は111PSを発揮。

画像: アンチノーズダイブ機構の「ANDF」をフロントフォークに装備。ホイールは星形キャスト、ブレーキキャリパーは対向2ピストン。

アンチノーズダイブ機構の「ANDF」をフロントフォークに装備。ホイールは星形キャスト、ブレーキキャリパーは対向2ピストン。

画像2: リアのサスペンションはサイドのノブを引き上げてイニシャル調整を行なう。初期型はスプリングがシルバー仕上げだった。

リアのサスペンションはサイドのノブを引き上げてイニシャル調整を行なう。初期型はスプリングがシルバー仕上げだった。

スズキ「GSX1100S カタナ」主なスペック

全長×全幅×全高2260×715×1205mm
ホイールベース1520mm
最低地上高175mm
シート高775mm
乾燥重量232kg
エンジン形式空冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量1074cc
ボア×ストローク72×66mm
圧縮比9.5
最高出力111PS/8500rpm
最大トルク9.8kg-m/6500rpm
燃料タンク容量22L
変速機形式5速リターン
キャスター角30°
トレール量118mm
ブレーキ形式(前・後)ダブルディスク・シングルディスク
タイヤサイズ(前・後)3.50-19 57V・4.50-17 67V
※諸元は初期型

まとめ:オートバイ編集部

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