空冷Zシリーズの中でも強い存在感を放っているZ1000R、通称ローソンレプリカだ。AMAスーパーバイク選手権でのタイトル獲得を記念したこのモデルが、いわゆる「レーサーレプリカ」の最初のモデルだった。

カワサキ「Z1000R」特徴

画像: Kawasaki Z1000R 1982年~1983年 総排気量:998.6cc エンジン形式:空冷4ストDOHC2バルブ並列4気筒 シート高:775mm 乾燥重量:222kg

Kawasaki
Z1000R 
1982年~1983年

総排気量:998.6cc
エンジン形式:空冷4ストDOHC2バルブ並列4気筒
シート高:775mm
乾燥重量:222kg

ワークスレーサー風のスタイルを持つ限定車

アメリカが生んだ偉大なライダーのひとりであるエディ・ローソン。1984年、1986年、1988年はヤマハのYZR500で世界GPの年間タイトルを獲得。1989年にはホンダに移籍してNSR500で王座を手にして、最高峰のGP500ccクラスで大活躍した。

そんなローソンだが、GPに行く前はAMAスーパーバイク選手権にカワサキから参戦していた。1980年にはZ1000MkIIをベースとしたレーサーでランキング2位を獲得。翌1981年にはベースモデルをZ1000Jに変更、CB-Fに乗るフレディ・スペンサーやヨシムラGSを駆るウェス・クーリーらと激しい戦いを繰り広げ、チャンピオンを獲得、Z1000Jの登場に華を添えた。

画像: カワサキ「Z1000R」特徴

この勝利を記念して、USカワサキが中心となって2種類のモデルが企画された。1台は、市販レーサーのZ1000-S1で、ツインプラグやクロスミッションなど、ワークスレーサーで培った多くの技術が盛り込まれた。そしてもう1台が、公道向けのZ1000Rである。

ベースとなったのはZ1000のJ2だが、ワークスレーサーと同様のライムグリーンに外装をペイント。ビキニカウルや段付きシート、リザーバータンクを備える専用のリアショックユニットが標準装備された。同時にエキゾーストシステムはカーカーの4 into 1へと変更され、当時としては非常にレーシーな雰囲気の、強烈な存在感を放つモデルに仕立てられている。

このZ1000Rはいわゆる「レーサーレプリカ」の嚆矢となったモデルで、北米やカナダ、南アフリカの各仕様が約900台限定で販売されたと言われている。南アフリカ向けのモデルはZ1000R、北米/カナダ向けモデルは名前の先頭にKをつけたKZ1000Rが正式な車名だったが、ユーザーからは「ローソンレプリカ」の愛称で親しまれた。塗色はライムグリーンのみ。

カワサキ「Z1000R」スタイリング解説

画像: ワークスレーサー同様のカラーグラフィックでイメージを一新。

ワークスレーサー同様のカラーグラフィックでイメージを一新。

画像: 翌1983年には2型となるR2が発売されたが、そちらはストライプのデザインが変更されている。

翌1983年には2型となるR2が発売されたが、そちらはストライプのデザインが変更されている。

カワサキ「Z1000R」各部装備・ディテール解説

画像: 独特な表情を醸し出すビキニカウルはZ1100GPの2型と同じタイプ。このスタイルは後のZRXシリーズに受け継がれていく。

独特な表情を醸し出すビキニカウルはZ1100GPの2型と同じタイプ。このスタイルは後のZRXシリーズに受け継がれていく。

画像: メーターはZ1000Jと共通。撮影車はアメリカ仕様で、スピードメーターの外側がマイル、内側がキロ表示。当時の規制で速度計の表示は85mph(140km/h)までとされている。

メーターはZ1000Jと共通。撮影車はアメリカ仕様で、スピードメーターの外側がマイル、内側がキロ表示。当時の規制で速度計の表示は85mph(140km/h)までとされている。

画像: 21.4L容量のタンク上面には、AMAタイトル獲得を記念した専用ステッカーが貼られた。初代(Z1000-R1)のみローソンのサイン入り。

21.4L容量のタンク上面には、AMAタイトル獲得を記念した専用ステッカーが貼られた。初代(Z1000-R1)のみローソンのサイン入り。

画像: 空冷DOHC2バルブの4気筒エンジンはカバー類を含め全体をブラックに変更。諸元はベースのZ1000Jと共通で、最高出力は102HP。オイルクーラーはZ1100GPからの流用。

空冷DOHC2バルブの4気筒エンジンはカバー類を含め全体をブラックに変更。諸元はベースのZ1000Jと共通で、最高出力は102HP。オイルクーラーはZ1100GPからの流用。

画像: Φ38mmの正立フォークはKYB製で、上端にエアバルブを持つ。ブレーキディスク径はZ1000Jより10mm大径なΦ280mmとされた。

Φ38mmの正立フォークはKYB製で、上端にエアバルブを持つ。ブレーキディスク径はZ1000Jより10mm大径なΦ280mmとされた。

画像: リザーバータンク付きのリアショックはプリロード無段階調整式のショーワ製。マフラーはローソンのスポンサーだったカーカーの4into1メガホンが装着された。

リザーバータンク付きのリアショックはプリロード無段階調整式のショーワ製。マフラーはローソンのスポンサーだったカーカーの4into1メガホンが装着された。

画像: シートは専用品で、Z1000Jより大きな段差がつけられ、座面もメッシュタイプとして滑りにくくしている。スチールパイプ製の大型グラブバーも装備。

シートは専用品で、Z1000Jより大きな段差がつけられ、座面もメッシュタイプとして滑りにくくしている。スチールパイプ製の大型グラブバーも装備。

カワサキ「Z1000R」主なスペック

全長×全幅×全高2240×820×1230mm
ホイールベース1525mm
最低地上高120mm
シート高775mm
乾燥重量222kg
エンジン形式空冷4ストロークDOHC2バルブ並列4気筒
総排気量998.6cc
ボア×ストローク69.4×66mm
圧縮比9.2
最高出力102HP/8500rpm
最大トルク9.3kg-m/7000rpm
燃料供給方式BS34キャブレター
燃料タンク容量21.4L
変速機形式5速リターン
キャスター角29゜
トレール量115mm
ブレーキ形式(前・後)Φ280mmダブルディスク・Φ270mmシングルディスク
タイヤサイズ(前・後)100/90V19・120/90V18

まとめ:オートバイ編集部

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