ほぼフルノーマルの奇跡のGSX750Sは、横田も若かりし頃に乗っていた思い出深いモデル。久しぶりに乗った横田はどのような印象を受けたのだろうか。新橋モーター商会の店主・マルの深掘り装備チェックもあわせてお届け!
以下、文:横田和彦、丸山淳大/写真:南 孝幸、関野 温

スズキ「GSX750S」(1982年)|各部をチェック(横田&マル)

▶横田が選ぶ車両の極品ポイント

1.ハンドルまわり

画像1: ▶横田が選ぶ車両の極品ポイント

GSX750Sの注目ポイントはココにもある!

左のスイッチボックスは中央にあるレバーを左右に倒すとウインカーに、上下に動かすとヘッドライトのハイ/ローが切り替わる。実に秀逸だ。そして750カタナ独自の装備が通称「耕運機ハンドル」だ。

オリジナルは低いセパハンなのだが、当時の日本の法規制にあわせた結果、大アップハンドルに! これが不評でボクもすぐに交換したが、今あらためて乗るとメッチャ楽だね。しかも新型KATANAに通じてるっぽい!?

画像2: ▶横田が選ぶ車両の極品ポイント

2.足まわり

画像3: ▶横田が選ぶ車両の極品ポイント

GPマシンにも装備されていたANDFを採用

ANDF(アンチ・ノーズ・ダイブ・フォーク)とは、高速域でブレーキをかけた時にフォークが急に沈み込むことを抑え安定した減速を実現する装備。スズキの開発者が庭を走る犬からヒントを得て開発し、各社が似たシステムを導入していたが、フォークの進化とともに消えていった。


▶新橋モーター商会 店主・マルの全方位チェック

1.デザイン

画像1: ▶新橋モーター商会 店主・マルの全方位チェック

先代のバイクのクセが強すぎて世襲バイクはつらいよ

新型KATANAは、偉大すぎる先祖を持つ世襲バイクであり、その顔も当然GSX1100S&GSX750Sがデザインソースになっている。750刀と並んでワタシも刀の切っ先をイメージして顎を鋭く突き出してみることにしました。意味不明ですが。

GSX750Sを改めてまじまじ見てみると珍奇な造りのタンデムステップステーや色分けされたシートなど、専用部品のオンパレードで、コストに日和った痕跡が見られずスズキの気概が感じられる。外装カウル類は社外品が潤沢に存在しており、そこは人気車種の強み。

しかし、社外のFRP品とかだと当時の純正色でプロにペイントしてもらっても、違いのわかるマニアにウザ絡みされることにもなりかねないし、なるべく当時の貴重な純正外装は維持しておきたいものだ。


2.エンジンまわり

画像2: ▶新橋モーター商会 店主・マルの全方位チェック

オイルフィルター交換時は気をつけなはれや!

車体は流麗スリムながら、エンジンが大きく左右にはみ出している無骨さに気分がアガる。クランクシャフトの両端に発電のコイルと点火進角を行うガバナが付いているので幅広になってしまっているのが理由だ。ただ、今回の取材でこれと同時に試乗したFZR750の発電系は一体型オルタネーターとしてシリンダー背面に移動し、エンジンがスリム化されていることにバイクの進化を感じた。

画像3: ▶新橋モーター商会 店主・マルの全方位チェック

ちなみに、このエンジンのオイルフィルターは、エンジン側からスタッドボルトが伸びていて、カバーをナットで固定する構造となっており、フィルター交換時にだいたい外したナットを廃油受けの中に落とすのだ。

それにイライラしてナットを締めると意外と簡単にスタッドボルトが折れてしまうという地獄があるので要注意だ。

画像4: ▶新橋モーター商会 店主・マルの全方位チェック

3.ディテール

画像: 触媒を通らない排気ガスの香り~♪

触媒を通らない排気ガスの香り~♪

ミイラや化石じゃないけれどなるべく当時の姿を残してほしい

国内仕様こだわりのディテールとしては、速度警告灯である。ひと昔前はダサいなんて風潮で取り外されるケースも多かったが、今ではこれがあるとないでは大違い。

さらに、80~90年代車特有のブラッククロームのマフラーも良い。環境問題からクロームメッキを行うメッキ槽でさえ減少の一途の中、ブラッククロームの量産などは絶望的。なので、腐食のないものは超貴重だ。

さらに、スプロケカバーのシフトパターンも良い。70年代車はこれがなくて車検に通らず、検査場で油性マジックで手書きを強制される辱めを受けることもあったそうだ。しかし、カタナではステッカーでもなく鋳出し文字なので絶対に消えない。デザイン的に凝りすぎていて、パッと見分かりづらくなっている点も含めて愛らしい。

文:横田和彦、丸山淳大/写真:南 孝幸、関野 温

This article is a sponsored article by
''.