ホンダ「ドリームCB400FOUR」歴史・特徴
免許制度に翻弄された、数奇な運命の4気筒モデル
ホンダは750と500に続き、1972年に初の350㏄4気筒車となるCB350FOURを発売した。しかし、同クラスの2ストロークツインのライバルはもちろん、同門の4ストローク2気筒のCB350よりも走りのポテンシャルで劣るCB350FOURは、多くの支持を集めることなく廃盤となってしまった。
CB400FOURは、そんな不遇のCB350FOURの後継車として登場。上位機種と統一の4本マフラースタイルを廃し、流麗なデザインの4in1マフラーを採用。低いハンドル位置やソリッドなデザインの外装パーツからなるスタイリングは、当時流行していたカフェレーサー・ルックを取り入れたもので、旧作よりもはるかに若々しいデザインに仕上がっていた。
最初に登場したCB400FOURは、旧作から動力性能をアップするために408㏄に排気量が拡大されていたわけだが、奇しくも登場後の国内免許制度改定が行なわれ、大型・中型の枠組みが400㏄を境に区切られてしまうことになる。
この結果、中型ユーザーに向けて、法的に400㏄以下であることを満たした国内仕様のCB400FOURを用意しなければならなくなり、1976年3月から398㏄版を発売している。これは、セミフラットハンドルを備え、スポーツ走行が楽しめるCB400FOUR‐Ⅰ(1型)と、スタンダードハンドルを装着し、ロングツーリングや市街地走行で使いやすいCB400FOUR‐Ⅱ(2型)の2タイプが用意されていた。
また、燃料タンクと同一色だったサイドカバーの塗色が、398㏄版は黒となっていた。1977年でCB400FOURは廃盤となったが、その後限定解除試験の難しさもあって、中型免許で乗れる4気筒としてのCB400FOURの人気が再燃することになった。
中古車市場ではタマ不足という現象まで起こり、その相場が高騰したのである。国内市場において、CB400FOURは最も免許制度の変更に翻弄されたモデルであった。
ホンダ「ドリームCB400FOUR」各部装備・ディテール解説
文:宮﨑健太郎