渇望されていた市場に、熱狂的に受け入れられた4気筒

Z400FXは、日本で「限定解除」に多くのライダーが苦しめられるようになってから、初めて作られたカワサキ製4気筒400㏄モデルだ。その母体となったのは、輸出市場向けのZ500で、そのDOHC4気筒エンジンのボア・ストローク(55x52・4㎜)をともに変更し、中型免許に合わせた399㏄に変更。43馬力という最高出力は、クラス最高値であった。

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クランクシャフトのビッグエンド支持は、既存のZ650系と同様にプレーンベアリングを採用。カムシャフト駆動はハイボチェーンを使用。自動式のチェーンテンショナーはローラーの類を使わず、すべてスリッパー型を用いており、このあたりはメンテナンスフリーと静粛性の向上に配慮した構成であった。駆動系はクランクシャフトの2/3番の間とアイドルシャフトをハイボチェーンで連結。アイドルシャフトとクラッチは、スパーギアで繋げられている。2本のカムシャフトのシムは、Z650系と同じくリフターの下に配置していた。

フレームは、上位のZ系4気筒同様にダブルクレードル型を採用しているが、Z400FX用はタンクレールがなく、トップチューブが主要ストレスメンバーの役を担っている。その骨格の上に載る外装のデザインは、上位機種のZ750FXに似た角ばった意匠で、ナナハンに乗ることのできないコンプレックスを払拭するに充分な、堂々としたスタイリングが与えられていた。

俗に言う、中型免許しか持っていないライダーが新車の4気筒車に乗りたいとき、当時唯一の選択肢となったZ400FXはデビュー間もなくして大人気のモデルとなった。そして後継のZ400GP発売後も、Z400FX[E4B]が販売されたことが示すとおり、その人気には根強いものがあった。Z400FXは「中型免許」時代を代表する、人気車のひとつと言っていいだろう。

画像2: 渇望されていた市場に、熱狂的に受け入れられた4気筒
画像3: 渇望されていた市場に、熱狂的に受け入れられた4気筒
画像4: 渇望されていた市場に、熱狂的に受け入れられた4気筒
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画像: 当時専門誌に、同門の750や650よりも完成度が高い、と評されたZ400FX。初代E1初期型にはメタリッククリスタルシルバーのほか、ファイアクラッカーレッド、そしてエボニーのカラーリングが用意されていた。

当時専門誌に、同門の750や650よりも完成度が高い、と評されたZ400FX。初代E1初期型にはメタリッククリスタルシルバーのほか、ファイアクラッカーレッド、そしてエボニーのカラーリングが用意されていた。

DETAIL

画像: その堂々たるエンジンの外観も、Z400FXの人気の秘密のひとつであった。4連キャブレターはTK製を採用。なお始動方式はセルのみで、キックスターターは採用していない。

その堂々たるエンジンの外観も、Z400FXの人気の秘密のひとつであった。4連キャブレターはTK製を採用。なお始動方式はセルのみで、キックスターターは採用していない。

画像: ドライブチェーンは、グリス封入式の530サイズを標準装備していた。7本スポークのキャストホイールは、リム断面のセンターにリブを持たないデザインが特徴だ。

ドライブチェーンは、グリス封入式の530サイズを標準装備していた。7本スポークのキャストホイールは、リム断面のセンターにリブを持たないデザインが特徴だ。

画像: シングル式のフロントディスクブレーキは、シングルピストン式キャリパーの組み合わせ。フォークのストローク量は180㎜。当時の純正タイヤはダンロップF7を採用。

シングル式のフロントディスクブレーキは、シングルピストン式キャリパーの組み合わせ。フォークのストローク量は180㎜。当時の純正タイヤはダンロップF7を採用。

画像: リアのブレーキキャリパーには、対向ピストン式を採用。リアサスペンションは、100㎜のストローク量を確保。なおタイヤはダンロップK87MkⅡが当時の純正だった。

リアのブレーキキャリパーには、対向ピストン式を採用。リアサスペンションは、100㎜のストローク量を確保。なおタイヤはダンロップK87MkⅡが当時の純正だった。

画像: 当時の大型のZ系と異なり、Z400FXはタンクレールをフレームに持たないため、燃料タンク裏のえぐりは小さく、そのため15Lもの燃料タンク容量を確保している。

当時の大型のZ系と異なり、Z400FXはタンクレールをフレームに持たないため、燃料タンク裏のえぐりは小さく、そのため15Lもの燃料タンク容量を確保している。

画像: 速度計、回転計の間に、上からウインカー、ハイビーム、ニュートラルの各インジケーターを配置。なおクラッチレバーを握らないと、セル始動しないようになっている。

速度計、回転計の間に、上からウインカー、ハイビーム、ニュートラルの各インジケーターを配置。なおクラッチレバーを握らないと、セル始動しないようになっている。

SPECIFICATIONS
エンジン型式 空冷4ストロークDOHC2バルブ並列4気筒
総排気量 399㏄
内径╳行程 52.0╳47.0㎜
圧縮比 9.5
最高出力 43PS/7500rpm
最大トルク 3.5㎏-m/7500rpm
燃料供給方式 キャブレター[K21P]
変速機型式 常時噛み合い式6速リターン
全長 2100㎜
全幅 785㎜
全高 1125㎜
軸間距離 1380㎜
車両重量 189㎏
キャスター/トレール 26°/98㎜
燃料タンク容量 15L
タイヤサイズ(前) 3.25H19
タイヤサイズ(後) 3.75H18
当時価格 38万5000円

文/宮崎健太郎

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