量産世界初のアルミフレームを採用したRG250Γに続き、400ccクラスにもアルミフレームを投入したのが初期型1984年2月に発売されたGSX-R。59馬力まで高められた高性能エンジンを搭載しながらも、250クラスのコンパクトなボディで、四気筒マシンのレベルを一気に引き上げたGSX-Rを見ていこう。

80年代を駆け抜けたレーサーレプリカの定番

CBX400Fの発売と同時にRSC(現在のHRC)からレース用のキットパーツを発売し、本拠地鈴鹿サーキットでSS400なる新クラスを立ち上げるなど、ロードレース参戦へのプロモーションを展開したホンダ。

これが功を奏して、鈴鹿4時間耐久レースを頂点とするアマチュアレースのブームが到来。

画像1: 80年代を駆け抜けたレーサーレプリカの定番

全国のサーキットへと波及していく。

市販車をベースに改造範囲を厳しく制限したプロダクションレースでは、ベースマシンの性能がレース結果を大きく左右。

さらにロードレースが盛んになるほど、レース結果が販売台数に大きく影響するようになり、メーカーも高性能なマシンを次々に投入し始める。

画像2: 80年代を駆け抜けたレーサーレプリカの定番

83年3月。量産世界初のアルミフレームを採用したRG250Γで世界を驚かせたスズキは、その1年後に400ccクラスにもアルミフレームのGSX-Rを投入。

GSX-R 1984年2月
単体重量7.6kgという驚異的な軽さを誇るアルミフレームMR-ALBOXに、フリクションロスの低減や吸排気バルブの大径化と徹底的なチューンアップを施したインライン4エンジンを搭載しながら、車重152kgと250クラス並みのコンパクトなボディを実現させている。
●水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
●398cc
●59PS/11000rpm
●4.0kg-m/9000rpm
●152kg
●100/90-16・110/90-18
●62万9000円

GSX400FWをベースにチューニングを進めたエンジンは59PSまでパワーアップされ、アルミフレームの採用を始めとして徹底的な軽量化が進められた車体は、乾燥152kgという当時の250ccモデルをしのぐ軽さを実現。

ホンダCBR400FにVF400F、ヤマハFZ400Rとの三つ巴、四つ巴の闘いが全国各地の峠道やサーキットで繰り広げられた。

このように、圧倒的な軽さとパワフルなエンジンで、400cc4気筒マシンの性能レベルを一気に引き上げたGSX-R。

84年に当時世界GPのスポンサーだったHBタバコカラーを追加し、85年のカラーグラフィックチェンジを経て、86年にはツインスパー風のアルミフレームに水油空冷のニューエンジンを搭載したII型にフルモデルチェンジ。

画像: GSX-R 1986年3月 より効率的な冷却方法を追求したSATCSの採用でコンパクト化に成功。 アルミフレームは2室構造のDC-ALBOXとなり、より強度を増した。 ●水・油・空冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 ●398cc ●59PS/12000rpm ●3.8㎏-m/10500rpm ●153㎏ ●110/80-16・140/80-17 ●66万9000円

GSX-R 1986年3月
より効率的な冷却方法を追求したSATCSの採用でコンパクト化に成功。
アルミフレームは2室構造のDC-ALBOXとなり、より強度を増した。
●水・油・空冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
●398cc
●59PS/12000rpm
●3.8㎏-m/10500rpm
●153㎏
●110/80-16・140/80-17
●66万9000円

このGSX-Rに限らず、80年代中盤から90年代初めにかけてのレーサーレプリカモデルは、デビュー1年目でマイナーチェンジ、2年目でフルモデルチェンジという、現在のレベルからは異常とも言えるサイクルでモデルチェンジが繰り返されていた。

画像: GSX-R400 1987年6月 新冷却方式のSATCSやキャブに新気を送るSCAI、サブチャンバーを設けて中低速のトルクアップを狙うSPESなどの新機構を多数搭載した。 ●水・油・空冷4ストDOCH4バルブ並列4気筒 ●398cc ●59PS/12000rpm ●3.8kg-m/10500rpm ●153kg ●110/70R17・140/60R18 ●69万9000円

GSX-R400 1987年6月
新冷却方式のSATCSやキャブに新気を送るSCAI、サブチャンバーを設けて中低速のトルクアップを狙うSPESなどの新機構を多数搭載した。
●水・油・空冷4ストDOCH4バルブ並列4気筒
●398cc
●59PS/12000rpm
●3.8kg-m/10500rpm
●153kg
●110/70R17・140/60R18
●69万9000円

また、プロダクションレースの規則では交換が認められていない、サスペンションやミッション、キャブレター、クラッチ、ホイールなどをあらかじめレース用に換装した、いわゆる「SP仕様」がラインアップされていたのもこの時代のレーサーレプリカの特徴。

GSX-Rの場合、88年モデルにクロスミッション、シングルシート、フルアジャスタブルの高性能前後サスを標準装備したGSX-R400 SPが初登場。

GSX-R400SP 1988年3月
当時国内で激しく戦われていた、400cc市販車を使用したSP400クラスのレースでの戦闘力向上を目指したレース用ベースモデル。クロスミッション、シングルシートカウル、フルアジャスタブルの前後サスなど、改造範囲の狭いSPレース参戦を前提に、レース用の装備を標準装備する。
●水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
●398cc
●59PS/12000rpm
●3.9kg-m/10500rpm
●160kg
●110/70-17・140/60-18
●73万9000円

89年モデルからはSP仕様のミッションだけをスタンダードレシオに戻して一般走行適性を高めたSPIIも市販された。

関連記事

This article is a sponsored article by
''.