スズキファンからの根強い支持で
一度は生産終了となりながらも復活
1980年代末にゼファー400登場をきっかけに起こったネイキッドブーム。
当時特に注目度の高かった400ccクラス、スズキはモダンでスタイリッシュなスタイルに、GSXーR系の水冷4気筒エンジンを組み合わせたバンディッド400や、オリジナルのGSX1100Sの個性的なスタイルをそのまま縮小して再現したGSX400Sカタナを投入して注目されていた。
しかし、それ以上に根強い人気を集めていたゼファーやCB400SFのような、オーソドックスなスタイルのネイキッドたちへの対抗馬として、1994年にデビューしたニューモデルがGSX400インパルスだ。
インパルスの名を冠されたモデルとしては3代目となるこのGSX400インパルス、未来的スタイルが特徴だった先代のGSX400Xインパルスから一転、ライバルたちと同様の70年代後半風の硬派なイメージのスタイルに、スチール製のダブルクレードルフレーム、リアサスもツインショックという、初代インパルスを想わせる古典的なネイキッドスタイルに変身。
ただし高剛性なアルミスイングアームや、別体タンクつきカヤバ製のリアサスペンションを装着するなどハイグレードな造り。
水冷直4エンジンはGSXーR400やバンディッド400のものとは異なる、ロングストローク設定を採用して力強いパワー特性を備えていたカタナ400ベースのものを搭載。
トータルバランスに優れたネイキッドスポーツとして高く評価されることになる。
さらにバリエーションモデルとして設定されていたタイプSは、ホワイト×ブルーのスズキワークスカラーにビキニカウルという、スーパーバイクレースでも活躍したスズキ往年の名車、GS1000Sのレーシーなスタイルを再現して人気となった。
そして1999年のマイナーチェンジでフロントブレーキにブレンボ製キャリパーを採用し、ヘッドライトをマルチリフレクター化したモデルを最後に、GSX400インパルスは販売終了となる。
しかし2004年、再びGSX400インパルスが復活。
フレームやカタナ400譲りのエンジンといった基本的なメカニズムは受け継がれているが、一見すると変わっていないように思える外装デザインは各部がリファインされているし、エンジンもスペックはそのままに環境性能を向上するための改良が加えられている。
また、フロントブレーキは先代最終型と同じブレンボ製ながら対向4ポットキャリパーに変更。
マフラーも別体式アルミサイレンサーとされ、センタースタンドも標準装備となるなど、各部に改良を加えてスポーティさと完成度が高められた。
先代に設定されていたタイプSは復活しなかったものの、2008年に車名をインパルス400に改めた最終モデルでは、初代GSX400FSインパルスに採用されていた、ブラック×レッドのヨシムラカラーにゴールドホイールを組み合わせ、専用エンブレムを各部に装着したスペシャルエディションを限定300台で販売。
このモデルを最後に、四半世紀におよぶインパルスの歴史は終わりを告げた。