車体のあらゆる動きを素早く精密に把握する!
【主な機能・効果】
1.バイクの動きを正確に検出
2.すべての制御の基盤情報を提供
例えば「トラクションコントロール」の場合、単に前後ホイールの回転差からリアホイールの空転を検出し、点火時期を調整してリアタイヤのスリップを止めるものから、現在では走行状況に応じて効き具合をリニアに変化させるシステムへと進化している。
この進化の過程で必要となったのが、走行中のバイクの姿勢を正確に把握するセンシング技術だった。
バイクの動きには左右方向の軸を中心に回転する「ピッチ」、前後方向の軸を中心に回転する「ロール」、上下方向の軸を中心に回転する「ヨー」があり、この3つが絡み合うように動いている。
例えばフロントブレーキを引きずりながら右コーナーに入っていくシーンでは、ピッチが前方向に回転し、ロールは右方向に回転していることになる。
こういった車両の動きを検出するシステムは古くからあり、カーナビの自律航法システムや盗難防止装置のセンサーもそのひとつだが、バイクの動きに対応するには、それらよりはるかに高い精度とスピードが必要になる。
それにいち早く答えたのがドイツのボッシュだった。
2011年のアプリリアRSV4ファクトリーAPRC向けに世界初の二輪車用IMUを開発。以降性能を高めながらBMW、KTM、ドゥカティ、カワサキ、ホンダへと供給を拡大していく。
一方ヤマハは、2015年のYZF-R1用に内製IMU(センサーは村田製作所製)を開発し、現在に至っている。
YZF-R1のデビュー当時、ロールとヨーの角度、ピッチ、ロール、ヨーの加速度を検出し、ピッチ角度はその数値から演算するボッシュの5軸タイプに対して、ヤマハは3つすべての角度と加速度を検出する6軸IMUを開発。
大きな話題となったが、ボッシュ製も各メーカーの2017年モデルに供給するユニットから6軸に進化。
いずれにしても、バンク角に応じたABSやトラクションコントロール、ウイリーコントロール、セミアクティブサスなどの制御はこのIMUなしにできない。