従来の直打式有利説を技術の進歩で覆した「フィンガーフォロワー」
【主な機能・効果】
1.バルブの運動質量の軽量化
2.高回転化に有利

フィンガーフォロワーロッカーアームを採用する、カワサキ「Ninja ZX-10R KRT EDITION」
カムシャフトの回転をバルブに伝えるロッカーアームには、回転軸がアームの中間にあるシーソー式と、アームの端にあるスイングアーム式の2種類あり、スイングアーム式は「フィンガーフォロワー」とも呼ばれる。
1本のカムで吸排気両方のバルブを開くOHCではロッカーアームが必要不可欠で、そのほとんどがシーソー式を採用。
一方、DOHCでは、カムが直接バルブを押す直打式とロッカーアーム式が混在。部品配置の関係から、使われているロッカーアームはフィンガーフォロワーだ。
これまでDOHCでは、部品点数が少なく、軽く、高回転化に有利という理由から、少なくともスーパースポーツには直打式が最適とされてきたが、近年そんな定説に変化が表れ、直打式からフィンガーフォロワー式に変更するモデルも増えている。

スズキ GSX-R1000R ABS
最新型のスズキ「GSX-R1000R ABS」もそんな1台だ。直打式の場合、バルブの頭にバケットと呼ばれる金属製のキャップを被せる必要があるが、バケットの重さが1バルブあたり16gだったのに対して、フィンガーフォロワーは10g。
しかも、片側がシャフトに取り付けられているため、運動質量はわずか3gとなり、高回転化に圧倒的に有利になった。
すでに「ロッカーアームは重いからダメ」という時代ではなくなっているのだ。
ちなみにローラーロッカーアームは、カムシャフトが触れる部分にローラーベアリングを組み込んだロッカーアームのこと。重量は増えるものの摩擦抵抗が大幅に減るため、燃費を重視するモデルに多く使われている。

スズキ「GSX-R1000R ABS」のバルブ駆動模式図。
カムシャフトの下でバルブを駆動するパーツがフィンガーフォロワー。人の指のような形に見えることからその名が来ている。

カムシャフトが回転すると、その山がフィンガーフォロワーを押し、バルブが動く仕組み。従来主流だった直打式は、バルブにキャップを被せ、直接カムが押す方式。

スズキ「GSX-R1000R ABS」に採用されているフィンガーフォロワーは、摺動抵抗低減のためDLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティングが施されている。