独自の鋼管トラスフレーム採用の250ネイキッド

バンディットは、今はバンディット1250にその名を残すのみだが、そのルーツは250ccモデルにある。初代バンディット250が、兄弟モデルの400と共にデビューしたのは1989年。

当時ネイキッドの先駆けとして注目を集めたゼファーが、70年代風デザインと空冷エンジンという古典的スタイルだったのに対し、バンディットは独特なダイヤモンド構造のフレームが目立つスポーティでスタイリッシュなボディに、GSX-R250譲りの水冷エンジンを搭載。

美しいスタイルと洗練された走りに加え、セパハン仕様とアップハン仕様を選択でき、しかもゼファーには存在しなかった250ccモデルということもあって、多くのライダーから支持を受けロングセラーに。ロケットカウル装備のリミテッドモデルの追加や、最高出力規制への対応など細かな改良を施されていく。

今回撮影した97年式の車両は、95年にフルモデルチェンジされた2代目モデルの後期型スタンダード仕様。スタイリングの基本イメージや、エンジンの基本設計は初代モデルから引き継ぎながら、全体に完成度を高めたモデルだ。

この2代目バンディット250では、それまで400にのみ採用されていたエンジンの可変バルブタイミング機構を搭載したバンディット250Vも追加。エンジン回転数に応じてカムプロフィールを高速用に切り替えることで、低中速での扱いやすさと直4らしい爽快なフィーリングを両立。また250Vをベースに、ビキニカウルを標準装備しスポーティなイメージとした250VZも存在した。

その後バンディット250シリーズは00年頃に生産を終了。その後継として02年、カワサキからバリオスIIのOEM供給を受けたGSX250FXが登場することになる。

画像: 独自の鋼管トラスフレーム採用の250ネイキッド

Impression
スタイリッシュ&スポーティな元祖250ネイキッド

80年代後半はレーサーレプリカブームが収束し、代わってネイキッドの人気が盛り上がりを見せた。各メーカーはレプリカ系のエンジンユニットを流用したネイキッドモデルを投入したが、中でもイタリア車を想わせる洗練されたルックスで人気を得たのが89年デビューのバンディット。

初代は低めのセパレートハンドルを採用していたが、写真の試乗車はセミアップのパイプハンドルを装着していて、95年型から採用された可変バルブタイミング機構は付いていないスタンダードモデル。

スチールパイプ製のダイヤモンドフレームをデザインの一部として見せ、メッキパーツでアクセントを付けた車体は25年前のモデルとは思えないほど艶っぽく、これが最新モデルだと言われれば素直に納得してしまうほどだ。

やや女性的なデザインだけにストリートユースに特化した性格に思えるが、実際の乗り味は意外にスパルタン。前後サスやスイングアーム、フレームの剛性が高めで、ダイレクトに反応するハンドリングと、GSX-Rベースの高回転型エンジンで、レプリカ勢と一緒に走っても遜色のない速さを見せ付ける。

可変バルブタイミング機構を採用した95年型以降は低中回転域での力強さが増しているが、規制によって40馬力までダウンしているから、回し込んでの走りでは初期型のほうが速く、爽快感もある。

ただし初期型でワインディングやサーキットを走るときに、有効パワーバンドをキープするにはそれなりの経験とテクニックが必要。中古車を買う時は気軽に街乗りしたいのか、キャンキャンに回して楽しむのかをよく考えて決めたほうがいい。初期型は結構なジャジャ馬なのだ。

画像1: Impression スタイリッシュ&スポーティな元祖250ネイキッド

【BANDIT250】 1997年2月 specifications
エンジン型式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量:248cc
内径×行程:49.0×33.0mm
圧縮比:12.5
最高出力:40PS/14000rpm
最大トルク:2.5kg-m/10000rpm
燃料供給方式:キャブレター[BST29]
変速機型式:常噛6段リターン
全長×全幅×全高:2050×730×1055mm
軸間距離:1415mm
シート高:745mm
乾燥重量:144kg
燃料タンク容量:15L
タイヤサイズ(前・後):110/70R17・150/60R17
当時価格:49万9000円

画像2: Impression スタイリッシュ&スポーティな元祖250ネイキッド
画像3: Impression スタイリッシュ&スポーティな元祖250ネイキッド
画像4: Impression スタイリッシュ&スポーティな元祖250ネイキッド
画像5: Impression スタイリッシュ&スポーティな元祖250ネイキッド
画像: スチールパイプで構成された、独特なダイヤモンドフレームを中核とするモダンなスタイリング。流麗な曲線で構成された存在感の強い造形は、基本的に兄貴分の400と共通したイメージ。一見するだけで両車を区別するのは難しいほど。

スチールパイプで構成された、独特なダイヤモンドフレームを中核とするモダンなスタイリング。流麗な曲線で構成された存在感の強い造形は、基本的に兄貴分の400と共通したイメージ。一見するだけで両車を区別するのは難しいほど。

画像: GSX-R250用水冷エンジンがベースだが、ネイキッドに搭載されることを意識しシリンダーにはフィンが追加されている。写真のスタンダード仕様も、可変バルタイ機構付きの250Vも、当時の自主規制により最高出力自体は同じ。

GSX-R250用水冷エンジンがベースだが、ネイキッドに搭載されることを意識しシリンダーにはフィンが追加されている。写真のスタンダード仕様も、可変バルタイ機構付きの250Vも、当時の自主規制により最高出力自体は同じ。

画像: 初代モデルではスイングアームはスチール製だったが、2代目ではアルミ化されて軽量化された。メッキ仕上げのサイレンサーなど各部の仕上げはレプリカとは異なる、洗練されたスタイルに合わせ落ち着いたイメージとされている。

初代モデルではスイングアームはスチール製だったが、2代目ではアルミ化されて軽量化された。メッキ仕上げのサイレンサーなど各部の仕上げはレプリカとは異なる、洗練されたスタイルに合わせ落ち着いたイメージとされている。

画像: ステップはレプリカモデルほどではないが、やや後退した位置とされていて、スポーティな走りに対応。フレームと別体にされたステップホルダーまわりの造りなども、古典的なネイキッドモデルとは異なる部分。

ステップはレプリカモデルほどではないが、やや後退した位置とされていて、スポーティな走りに対応。フレームと別体にされたステップホルダーまわりの造りなども、古典的なネイキッドモデルとは異なる部分。

画像: フロントフォークはGSX-R250やコブラと同じく、インナーチューブ径Φ41mmの正立タイプ。Φ300mmのブレーキローターに片押し2ピストンキャリパーを組み合わせで、400のダブルディスクに対して250はシングルディスク。

フロントフォークはGSX-R250やコブラと同じく、インナーチューブ径Φ41mmの正立タイプ。Φ300mmのブレーキローターに片押し2ピストンキャリパーを組み合わせで、400のダブルディスクに対して250はシングルディスク。

画像: 跳ね上がったテールカウルに備わるシートは、タンデムシートまで一体化されたデザイン。全体にクッションが効いた造りに加え、表皮の処理や、座面の形状の工夫によってホールド性や快適性が充分確保されている。

跳ね上がったテールカウルに備わるシートは、タンデムシートまで一体化されたデザイン。全体にクッションが効いた造りに加え、表皮の処理や、座面の形状の工夫によってホールド性や快適性が充分確保されている。

画像: オーソドックスなデザインのアナログ2連メーター。スピードメーターは180km/hスケール、タコメーターは1万6000回転スケールだ。センターに独立したアナログ燃料計が付いているのは2代目モデルのみ。

オーソドックスなデザインのアナログ2連メーター。スピードメーターは180km/hスケール、タコメーターは1万6000回転スケールだ。センターに独立したアナログ燃料計が付いているのは2代目モデルのみ。

画像: スチールパイプで構成されるフレームだが、オーソドックスなダブルクレードル式ではなく、独特なダイヤモンド式。初代と2代目で基本的な構成やデザインは似ているが、フレーム自体は全くの別物だ。

スチールパイプで構成されるフレームだが、オーソドックスなダブルクレードル式ではなく、独特なダイヤモンド式。初代と2代目で基本的な構成やデザインは似ているが、フレーム自体は全くの別物だ。

画像: 2代目バンディット250の初期型はタンクのロゴが「SUZUKI」のプリントだったが、後期型では「Bandit」表記の立体ロゴに変更されている。写真のスタンダードモデルにはないが、250Vではセパハンの逃げとなる窪みが設けられる。

2代目バンディット250の初期型はタンクのロゴが「SUZUKI」のプリントだったが、後期型では「Bandit」表記の立体ロゴに変更されている。写真のスタンダードモデルにはないが、250Vではセパハンの逃げとなる窪みが設けられる。

文:太田安治

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