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第14回「メモを残してバッくれる」
「店に来るお客はストレスを出しに、毒を出しに来るけど、漫画を買う人は面白さを求めている。面白さとは、つまり夢です。
プロの漫画家になりたい。連載をしたい。人気を取りたい。頑張ることが即物的な考えに直結して、大事なことを見落としていました。
人気はAクラスに安定し、お金も入ってくる。四畳半から2DKのマンションに移り、専属のアシスタントも雇う。原稿は3日で上がる。もう朝から晩まで一週間、机にかじりつく必要もない。仕事における条件はほぼベスト。
なのに原稿をオトしました」。
時は1982年。空前のバイクブームが始まる年だ。

ヤマハ RZ250
82年のバイクブームは突然訪れたわけではない。中型免許がメインの若いライダーを惹き付けるニューマシンが、80年から続々と登場していた。その1台が2ストを復権させ、その後の250レプリカブームの嚆矢となったRZ250だ。そのデビューは、それまでバイクに興味のない者をライダーに誘うほどのインパクトを持っていた。
【RZ250主要諸元】●エンジン形式:水冷2スト・ピストンリードバルブ並列2気筒●総排気量:247cc●最高出力:35PS/8500rpm●最大トルク:3.0kg-m/8000rpm●乾燥重量:139kg●燃料タンク容量:16ℓ●タイヤサイズ前・後:3.00-18・3.50-18●発売年月:1980年8月●発売当時の新車価格:35万4000円

ホンダ CBX400F
中型クラス中心の81年、若いライダーの実質最大排気量となる400㏄モデルのナンバーワン人気となったのがCBX400F。専用設計のシャシーにクラス唯一のDOHC4バルブを搭載。中空カムシャフトやオイルリザーバータンク(オイルクーラー)など装備も充実。21世紀の今日、中古価格は凄まじい額となっている。
【CBX400F主要諸元】●エンジン形式:空冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒●総排気量:399cc●最高出力:48PS/11000rpm●最大トルク:3.4kg-m/9000rpm●乾燥重量:173kg●燃料タンク容量:17ℓ●タイヤサイズ前・後:3.60-18・4.10-18●発売年月:1981年11月●発売当時の新車価格:48万5000円(ツートン)
「アイデアが出なかった? いいえ、単に描くのが面倒くさくなったからです。夜中、誰もいない編集部に行き、副編(進行担当)の机に『今週は休みます』とメモを置き、逃げたのです」。
バイクブームにより、バイク漫画である「ララバイ」にも強力な追い風が吹いている、はずであった。しかし、24歳の楠先生は「バイクから気持ちが離れていく」自分を、なぜか醒めた目で見つめていた…。
(以下、第15回「バイクブームに背を向けて…」をお楽しみに!)
過去の回は、こちらからご覧いただけます。
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