反射材への意識が低い日本。海外はもっと進んでいる。

反射材は事故抑止や事故時の2次災害抑止力として自分の身を守るという意味では結構大事なパーツ。それぐらいは誰でもなんとなく知っているだろう。でも、ここではもう少し掘り下げてみたい。

まず下の写真をご覧いただきたい。

これは海外で撮影したもので、①はライトを当てないで写したもの。②はライトを当てた写真。とても同じものと思えないほど、ナンバープレートの反射処理で被視認性(見えやすさ)の差が生まれるということだ。

これは再帰性反射とか回帰性反射と言われるもので、反射材は前方へ届く光の強さで反射の度合いが変わるので一般的なテールランプよりも、だんだん近寄っているとか、だんだん離れているなどの前車との距離感がつかみやすい特性を持つため、適正な車間距離を保持しやすいメリットがある。

こんなメリットがあるため海外では150カ国以上がクルマやバイクのナンバープレートに反射材を使っているが残念ながら日本は今でも導入していない。

上の写真は国内で撮影した原付バイクのナンバープレート。日本でも例外は125ccまでの原付バイクは各市町村の自由裁量で反射材を使ったナンバープレートが使われている

反射効率のよさはダントツで白。以降、黄、黒、オレンジ、赤、緑、青といった順になる。意外にも赤は白や黄色に及ばない。

また、ナンバープレートそのものが大きな面積を持つし、車体の中央下部にあるため後続のヘッドライトの光軸にちょうど当たりやすいから、後続車からよく見えるというメリットが生まれる。なので本当はクルマやバイクにも使うべきこととも言える。

画像1: 反射材への意識が低い日本。海外はもっと進んでいる。

上のバイクの場合は、ホイールのサイドに白の反射材をセットすることで夜間の安全性だけではなく自分なりの個性を演出した。この他にエンジンガードには黒の反射材をセット。

マット調の黒いエンジンガードに黒色の反射材だから日中は反射材を貼っていることがほとんど分からず夜間やトンネル内でちゃんと見えるという算段。実はサイドスタンドにも黒の反射材を貼っている。これ以外にはナックルガード、タンク斜め上面にTIGERの切り抜き黒地の反射材は光が当たるとこのような反射をする。

センタースタンドにも貼ってある。サイドスタンドを上げた時は車体の裏側。なので転倒時にこそよく見える。反射材といっても実は反射輝度も耐久性もグレードによって異なるが、それでもまずは効果的な色と効果的な面積を使ってオシャレに使うことが大事とも言えるね。

規則ではバイクの前方か後方の両サイドにリフレクターを装備するようになっている。1970年代に採用されたこの反射材、一度使われなくなったが近年再び導入されたという経緯がある。前側両サイドなら黄色。後方両サイドなら赤色。

事故時は横倒しで車体が回転するのは当たり前。ポイントは後方だけに反射材を貼るのではなくタンクやフェンダー上面、スイングアームの裏側やリアのトップケースやサイドのパニアケースを含めた車体の上面や裏側まで反射材を貼っておくことだ。

これでクルマやトラックなど、あるいは一緒に走るバイク仲間同士からの追突が避けられるかもしれない。コンマ1秒でもいい。少しでも早く、周囲から認知され、ブレーキをかけてもらう。安全安心のために、反射材をかように有効利用したいものだ。

ウエアやヘルメットなどもできるだけ明るい色を選択し、反射材を有効にセットしておきたい。ちなみにフランスはヘルメットの4方向に反射材を貼っていなければならない

私のヘルメットはフランスの方式に沿って貼っている。転倒時はおそらくほとんどは地面の高さにヘルメットがあり、後続車のヘッドライトの光軸が下を向いているために転倒者を早く発見しやすいからだ。

米軍基地のアメリカ人ライダー達はこぞって反射材付きのベストを羽織って走っている。どうも規則になっているようだ。

転倒してバイクから離れた場合、あるいは転倒した仲間を救助するときも、やはり反射材は大きく役立ってくれるからね。

画像2: 反射材への意識が低い日本。海外はもっと進んでいる。

ハイエースのボディサイド下部(サイドシル)にも黒の反射材を貼っている。

ボディがシルバーだから大きく目立たないが、これがもしも黒いボディとしたらどうだろうか。夜間や暗いトンネル内でスピンしてしまった場合、車体が真横に向いたら後続車からほとんど見えないはず。想像するだけに怖くなってしまうし、誰でもその可能性はある。

その昔、土砂降りの高速道路でスピンして真横に向いて止まっていたクルマを発見。運良くギリギリでかわすことができたけれど、本来ならスリップしたクルマはハザードランプを点灯していて欲しかったし、車体サイドに反射材が貼ってあればもっと早くからブレーキ入力ができて余裕で危険回避できたと思う。

車内には人が乗っていた。土砂降りの雨だから仕方がない? もしもぶつけていたら、と思うとゾッとする。加害者にも被害者にもなりにくい可能性が高くなる反射材。

たかが反射材。されど反射材だ。

文・写真:柏 秀樹

KRS(柏 秀樹のライディングスクール)公式サイト

公式YouTube「KASHIWA CHANNEL」

柏秀樹流 グリップの握り方パート1

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柏 秀樹 プロフィール

大学院生(商学研究課博士課程)の時代に、作家片岡義男氏とバイクサウンドを収録した「W1ツーリング~風を切り裂きバイクは走る~」を共同製作。大学院修了後にフリーのジャーナリストとして独立。以降、ダカールラリーを始めとする世界中のラリーを楽しみながら、バイク専門誌の執筆活動や全国各地でトークショー出演などを行っている。

バイク遍歴60台以上、総走行距離100万キロ以上、そして日本中の主要ワインディングロード、林道のほか世界の道を走ってきた経験をもとに2003年に始めたライディング・アート・スクールをリニューアルして2009年から新たにKRSこと柏 秀樹ライディング・スクールを開校。バイクやクルマの安全と楽しさを一人でも多くの人に熱く伝えることを生き甲斐にしている。

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