オーナーが譲り受けた車両の再構築も兼ねる
「この車両はホンダCB900Fで、元々関東在住のオーナーさんが知り合いから譲り受けたものです。全体的にぐだぐだな状態でしたので、きちんと走れるように再構築しているところです」
安田商会・安田さんがこう言うこのCB-F、FA青ノーマルの外観を持ちつつも前後足まわりの強化やスイングアームピボット上部ほかフレームまわりの補強等、確かに再構築されていると分かる作りだ。
「オーナーさんもサーキット修行中なので、きちんと作ることでその助けになればというのが基本コンセプト」(安田さん)というように、安田商会で提唱する快走仕様CB-Fとしての内容が各所にちりばめられている。
スイングアームはXJR1200改で旋回性向上とリヤからのライダーへのインフォメーションの向上を狙う。ショックユニットはオーリンズで、この改修時に新品が入れられた。
フロントはかつてCB-F系カスタムで人気だったSC30=CB1000SF用のφ43mm/クイックリリースシステム付きがジェイズ製ステムとともに装着されるが、ここは入庫時の仕様。
フロントまわりの動きを改善したいということで、同店に入ってからはフォーク内部へのカートリッジ組み込みが行われている。
エンジンまわりに目を移せば、サイドカバーにも書かれるように、900F定番とも言える985cc仕様(φ64.5→67.5mmワイセコピストンによる)。
「対策をしてきちんと組んでやれば、電装(ASウオタニ)とFCRキャブ、社外マフラーで900FのSTDスペック+1100Rカム組み込みまでだけで128ps出ます。それに乗り方も2ストロークみたいにエンジンブレーキがかかってこないような感じになれればエンジン負担も減っていいかなと思います」という言葉を意識した作りとなっている。
ショップオーナーがサーキットで、ストリートで自らも効果を体感したチューニング内容をベースに車体もエンジンも作り直し、それに合う走り方も提案する。オーナーにとってはいい見本が、ライダーとしてもバイクとしてもすぐ近くにあることになる。
そう考えると、今後のスキルアップも、車両の進化も楽しみに見えてきてしまう。そんな1台なのだ。