ノーマルをよく知ってからカスタム化に着手する
コーティング剤のCR-1によるバイクのコーティングを主業務にする、愛知のSD-BROS。ここと長い付き合いのあるお客さんのスズキGSX1100Sカスタムだ。
2019年は春の東京モーターサイクルショーでジーロットヘルメットなどを扱うゴッドブリンクブースに展示。同年秋、10月いっぱいはバイカーズパラダイス南箱根で展示されていたから、見たこともあるという人も多いのではないだろうか。
「オーナーさんは元々別の車両をもってらして、そちらをフルにいじってたんですけど“カタナに乗りたい”ってなったんです。それでファイナルエディションを買ってきたんですが“まずはノーマルに乗ってください”って2年くらい乗ってもらってました。そうすればカスタムした時の違いも分かるだろうし、その分、深みも増すんじゃないかと思って。私も昔カタナに乗ってましたし、ノーマルでこうだったからこうでしょ、とアドバイスも出来るかと」(SD-BROS/周藤さん)
手を付けたのはその2年が経ってから。それがおよそ5年前だ。
「手を付けようとフレームを見ると、裏もサビサビ。エンジンもどうする? となって、“どうせなら一生乗れるように手を入れましょう”と。そこで“カタナらしさはそのままにバージョンアップ。どこかが飛び抜けた性能を持つのでなく、全体でバランス良く高める”をコンセプトにして、手を入れ始めました。問題のフレームはきれいにした上でカーボンドライ・プロテック加工(表面にカーボンを張る)し、エンジンもカタナで手堅い1135cc仕様+ヨシムラST-1カムに、TSSスリッパークラッチを入れました。細かく挙げていくと数限りないんですが、全体はそうした各部の積み重ねで作ってます。
今後はコツコツオーバーホールや整備をしながら乗っていくことになると思いますけど、それに耐える、飽きない作りにもなっていると思います」と周藤さん。
まさにコンセプト通り。製作から5年経つと思えないくらいにこのカタナ、仕様もきれいさも維持されている。
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Detailed Description 詳細説明
ステアリングステムはこの車両用にフォークオフセット37mm(ノーマルは50mm)でワンオフされたもので、トップブリッジにはファイナルエディションのプレートが張り直されている。
ハンドルはサンセイレーシング・セパレート、フロントマスターはゲイルスピードでクラッチホルダー/レバーもゲイルスピード。メーターはモトガジェット製でアナログ回転計を外周に配し、下に多機能表示のデジタルメーターを配置。
シートはトゥーズカスタム製スプリーム。アッパーカウルとテールカウルはしゃぼん玉製カーボンでタンクはビーター・アルミを装着する。
ステップはアグラスのZRX1200用を加工流用した。フレーム表面に巻き付けるようにドライカーボンを張るカーボンドライ・プロテック加工も見えるだろう。
エンジンはヨシムラφ74mmピストンで1135cc化、カムはヨシムラST-1、カムチェーンもヨシムラDIDを使うほか、TSSスリッパークラッチも組む。
フレーム補強はレイダウン部と、シート下を左右に貫く形で入るバーとの計3カ所(ピボット上はファイナルエディションノーマルだ)。
キャブレターはTMRφ40mm-MJNデュアルスタックで、排気系はTNKエンジニアリング製エキパイ+マーベリック製サイレンサーを組み合わせる。点火はウオタニSP-2で制御。
フロントフォークはハイパープロφ43mm。6本スポークのホイールはPMCソード・マトリックスで前後3.00-18/4.50-18サイズをセットする。
スイングアームはウイリー5角目の字断面で、リヤサスは別注カラーのハイパープロ。ブレーキディスクはサンスターでフロントにφ310mm、リヤにはφ220mmを装着。