カワサキ「Z1000」誕生の歴史
ワイルドなスタイルと豪快な走りが身上!
最初のZ1000は1970年代後半にZ1の後継として登場した空冷モデルだが、現行Z1000の直接のルーツは2003年にデビューしている。当時カワサキにはスーパースポーツのZX-9R、ネイキッドのZRX1200Rが存在していたが、Z1000は最小限のボディパーツをまとった、アグレッシブなストリートファイターとして誕生した。
専用スチール製ダイヤモンドフレームによるコンパクトな車体で軽快なハンドリングを実現、エンジンはZX-9R系の4気筒を排気量アップして低中速トルクを増強したものをチョイス。スタイリングはカウルを備えないが、アグレッシブなフロントマスク、4本出しマフラーなど非常に先鋭的で、あらゆる部分で他のモデルとは一味違う雰囲気が魅力だった。
ストリートに割り切った大胆なコンセプトが支持されたZ1000は、その後排気量を拡大した新エンジンを採用、攻めたスタイリングも「Sugomi」コンセプトとして今も発展し続けている。
カワサキ「Z1000」ショート・インプレッション(太田安治)
ニンジャ1000とは兄弟車の関係にある現行のZ1000は想像以上に切れ味鋭い走りが特徴。兄弟とはいえ性格はまるで違う。エンジンも車体ディメンションもほぼ同じだが、小さなヘッドライトカウルのみを備えるZはフロント回りの慣性力が少なく、ロール方向に対する反応がクイックだ。サスペンションはソリッドなフィーリング。ロック寸前のブレーキングや一気に切り返した際の車体姿勢の変化がSSに近いレベルで抑えられている。
エンジン特性や各ギアのレシオはニンジャと共通だが、Zは加速型の減速比を採用し、強烈な加速が持ち味。繊細なコントロールは必要だが、ソリッドで豪快な走りを楽しみたいならいいチョイスだと思う。
Z1000の足つき性・ライディングポジション
シート高:815mm
ライダーの身長・体重:176cm・62kg
ハンドルは開き目だが、やや絞られていて手首の落ち着きはいい。ただ、その分ハンドルの切れ角はや少なめだ。シートはニンジャより薄くて硬いが、足着き性は良好。前傾度は非常に自然なものだ。
カワサキ「Z1000」ブランドヒストリー
空冷から水冷へ継承されたZの旗艦
もともとZ1000という車名は1977年、Z1から発展したZ900の改良版として、排気量を拡大したモデルに与えられたもの。この空冷Z1000も、1980年代初頭まで改良を繰り返しつつ生産されたが、水冷モデルに道を譲って姿を消す。
その車名が復活したのは2003年、ZX-9Rベースの水冷1000㏄エンジンを積んだ、新コンセプトのストリートファイターモデルとしてだ。新鮮で個性的なルックス、スーパースポーツ以上に豪快な走りを実現した水冷Z1000は好評をもって迎えられ、現行モデルに至るまでモデルチェンジを重ねながら完成度を高め、ストリートファイターの定番となった。
1977年 Z1000A
1979年 Z1000MKⅡ
1980年 Z1000H
1981年 Z1000J
2003年 Z1000
2007年 Z1000
2010年 Z1000
2014年 Z1000
まとめ:オートバイ編集部、太田安治/写真:南 孝幸