スズキ「KATANA」誕生の歴史
世界中にファンを持つ伝説のDNAを持つ1台
1980年秋、西ドイツのケルンショーに突然展示されたGSX1100Sカタナは、オートバイのデザインの常識にとらわれない、日本刀をモチーフにしたという斬新なスタイルでセンセーションを巻き起こした。さらに翌年、ショーモデル同然の姿で市販されたことでさらなる衝撃を呼び、唯一無二の1台として20年あまり生産され、その虜になるライダーは後を絶たなかった。
生産終了後でもその人気は衰えなかったが、その源は今も新鮮さを失わないスタイルと存在感。復活を望む声は常に大きかったが、2018年、同じケルンショーで新時代のカタナがついに復活した。オリジナルである1100カタナのエッセンスを大切にしながらモダナイズされたスタイルと、最新の大排気量スポーツらしい、パワフルで洗練されたパフォーマンスの融合は魅力的なストリートファイターを生み出し、新たなカタナ・ファンの心を掴んでいる。
スズキ「KATANA」ショート・インプレッション(宮崎敬一郎)
KATANAはベースであるGSX-S1000の外観だけを変えたモデルなどではなく、走りでは違うキャラクターを備えている。極端にアップライトなライポジだが、これは暴れる車体を力で抑えこみ、強引に切り返したり寝かし込んだりできるカタチ。大きなハンドルで操作できるので、GSX-Sよりフットワークが軽快で、峠道でも街中でも元気よく走る。
エンジンはGSX-S譲りの148PS。パワーモードなどはないが、力の湧き出る中域以上ではすばらしく滑らかで、パワードライバビリティは良好。個性的なスタイリングだが、街中から峠道まで、使い勝手のいいオールマイティなネイキッドで、なかなかスポーティな走りまでこなせる実力がある。
KATANAの足つき性・ライディングポジション
シート高:825mm
ライダーの身長・体重:176cm・68kg
上体が起きているので車体が小さく見える。楽だが、快適さ優先というより、ハンドルを抑え込む戦闘的な使い方が狙い。ポジション自体の自由度は高いが、体格によっては数値より高めのシートに感じるかも。
スズキ「KATANA」ブランドヒストリー
世界を震撼させた孤高のマシン
1981年に発売されたGSX1100Sカタナは、カラーリング変更やホイールのデザイン変更程度で、スタイリングもメカも大きな変更を受けず生産されていた。例外は1982年にエンジンの仕様をレース向けに変えて限定生産されたGSX1000Sくらいで、1987年に一度生産を終了する。
しかし日本でのカタナ人気に応えて1990年を皮切りに生産を再開。当初は逆輸入車だったが、1994
年にそれまで750㏄までだった国内の排気量上限規制が無くなり、初めて国内向けモデルの1100が用意された。最終的には2000年のファイナルエディションまでその生産は続くことになる。
1981年 GSX1100S(SZ)
1982年 GSX1000S(SZ)
1983年 GSX1100S(SD)
1984年 GSX1100S(SE)
1990年 ANNIVERSARY(SL)
1994年 GSX1100S(SR)
2000年 FINAL(SY)