ホンダ「CBR250RR」・カワサキ「Ninja ZX-25R」の街乗り&ツーリング性能
CBR250RRの軽さと力強さか、Ninja ZX-25Rの安定性と無振動か
ワインディング、サーキットが楽しい250ccスポーツだと言っても、やっぱりメインステージは街乗り! そうした意味で、ZX-25Rは、むしろストリートの方がメリットが大きい、って思えるほどの素性のよさを見せてくれた。
4気筒エンジンって、ご存知の通り高回転高出力というキャラクターがウリ。それと同時に回転のスムーズさも魅力のひとつだ。もちろん、低回転のトルクの強さはCBRの方が上なんだけれど、スムーズさ、振動のなさではZX-25Rが圧倒する。ドンと来るような力強さはないけれど、街中のストップ&ゴーではこのスムーズさがイイ。意識して低回転でクラッチをつないでもスーッと前に出る特性、これこそ20年前の250㏄4気筒にはなかったものだ。
対するCBR250RRは、よくぞこんなに低回転のトルクを出したなと思えるほどで、しかもトルクの出方にカドがある。パッとアクセルを開けた瞬間もドンとくる力強さがあって、キビキビ走れるのはCBR250RRの方。ついついアクセルのオンオフ回数が増えちゃうね。
高速道路のクルージングだって同じで、トップギア・100km/hの定速走行で見ると、CBR250RRが6800回転、ZX-25Rが9500回転あたりなんだけど、快適さではZX-25Rの「無振動フィーリング」に軍配が上がる。CBR250RRが力感のあるトトトトト、って回り方をしているのに対し、ZX-25Rはキュイーンという官能的なフィーリングが味わえる。これが4気筒のよさのひとつだ。
CBR250RRの軽さと力強さが街中でキビキビ生き、ZX-25Rの安定性と無振動感覚がクルージングで生きる…一言で両者を比べてみると、そんな対比だろうか。
もちろん、走り方の好みによっても好きキライは分かれるだろう。街中を駆けまわる楽しさならCBR250RR、長い距離を走る時の快適性ならNinja ZX-25Rを選びたい。
【比較】ホンダ「CBR250RR」・カワサキ「Ninja ZX-25R」街乗り
ホンダ「CBR250RR」
街中でのCBR250RRの武器は、車体の軽さと低回転からの力強いトルクだろう。クラッチミート付近の2000rpmあたりは一瞬の回転落ちがあるけれど、アクセルを開け増して行けば250ccスポーツ最強の低回転トルクがガツガツくる。
パワーアップした2020年モデルは、さらにこの低〜中回転の力強さが増していて、アクセルを開けたときの進み具合が楽しい。右手のわずかな動きで車体を自由自在にコントロールできる楽しさは、250cc歴代ナンバーワンかも!
カワサキ「Ninja ZX-25R SE KRT EDITION」
CBR250RRに対して車両重量が15kgほど重いZX-25Rは、良くも悪くもその重さが「らしさ」を生んでいる。スピードが出ていないとその質量を重いと感じるが、それは徐々に安定感に変わってくる。
特に乗っている両ひざの間=つまりエンジンまわりに質量を感じることになる。
けれど、この質量が上手にバランスされてまったく苦ではないのもZX-25Rの良さだ。むしろ「軽すぎない」安定性が上手く働いてフットワークが安心感にあふれているのだ。
【比較】ホンダ「CBR250RR」・カワサキ「Ninja ZX-25R」高速道路走行
ホンダ「CBR250RR」
CBR250RRがちょっと苦手そうに感じるのがこの高速クルージング。この「史上最強の250cc 2気筒」は加速こそ命で、アクセル一定のクルージングになると、速く走ろう、もっとアクセル開けよう、とずっと言ってくる感じなのだ。
さらに、ストリートやサーキットでは官能的にすら思えた吸気音演出も、クルージングでは耳疲れを起こしてしまう。ツーリングに行くなら、高速道路はちょいと我慢して、行った先のワインディングで楽しむ、そんなタイプだ。
カワサキ「Ninja ZX-25R SE KRT EDITION」
CBR250RRとは逆に、250cc4気筒のよさが生きるのがクルージング。超スムーズなパワー特性が徐々にパワフルに豹変していくのがこの回転域で、6速120km/hの11500rpmあたりからが、まさにパワーのいちばんおいしい領域!
街中では重く感じるが、このクルージングでは安定感として生きるので、前後タイヤの接地感やレーンチェンジの安定性はまるでビッグバイク。ZX-25Rの安定性やスムーズさがいちばん光っているのがこんなシーンなのだ。
文:中村浩史/写真:南 孝幸・森 浩輔