2020年の秋から冬に登場したニューモデルの中でも特に注目の1台、それが新型MT-09だ。従来から独創的なスタイルとハイパフォーマンスが大きな魅力だったが、3代目となる今度の新型はインパクトあるルックスと、エンジン、シャシーを一新した。2021年春以降、国内での販売が予定されている。ここでは先行発表された欧州仕様車を見ながら特徴を紹介しよう。

ヤマハ新型「MT-09」車両解説

画像: ヤマハ 新型「MT-09」 総排気量:890cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒 シート高:825mm 車両重量:189kg ※写真・スペックは欧州仕様車

ヤマハ 新型「MT-09」

総排気量:890cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒
シート高:825mm
車両重量:189kg

※写真・スペックは欧州仕様車

ひと目みたら忘れない鮮烈スタイリングで登場

「トルク&アジャイル」というテーマを掲げて2014年に登場したMT-09は、スポーツネイキッドの概念に大きな変革をもたらしたマシン。独自のクロスプレーンコンセプトを採用したCP3エンジンとCFダイキャストフレームを組み合わせ、まるでモタードのようなディメンションを与えることで、従来のスポーツネイキッドたちとは一味違う乗り味とパフォーマンスを実現、多くのファンを獲得した。2017年にはフェイスリフトを受け、よりアグレッシブなデザインに進化。ハイグレードなサスを装備したSPも登場した。

そんなMT-09が初のフルモデルチェンジを受けた。一番の特徴はLED単眼ヘッドライトを組み込んだ、インパクトのあるフロントマスクだろう。ボディ全体のフォルムは従来からのコンセプトの延長線上にあるが、その特徴的な顔つきは、従来モデル以上に個性と先進性を強調するものとなった。

画像: Hi-Lo一体のバイファンクションLEDヘッドライトを採用。合わせてフロントマスクもMTらしい凝縮感あふれる近未来的なデザインに一新。写真は新型MT-09 SP。

Hi-Lo一体のバイファンクションLEDヘッドライトを採用。合わせてフロントマスクもMTらしい凝縮感あふれる近未来的なデザインに一新。写真は新型MT-09 SP。

フレーム、エンジン、電子制御…あらゆる部分をアップデート

スタイリングだけでなく、新型MT-09はメカの変更点も多い。注目は3気筒CP3エンジン。今回、845ccから890ccに排気量を拡大してパワーアップを図り、同時にユーロ5にも対応。アルミダイキャストフレームも細身のものに新設計され、約2.3kgの軽量化を実現。軽量な新作ホイールなども合わせ、車体全体では4kg(STD)も軽くなった。

電子制御技術も進化。6軸IMUとスロットルバイワイヤを搭載。トラクションコントロールをはじめ、リフトコントロール、スライドコントロール、ブレーキコントロールなどライダーを助ける高度なデバイスも備えて、安全・快適にライディングを堪能できる。

また、オーリンズのリアサスと専用フォーク、クルーズコントロールなどを追加した上級モデルのSPも発表された。来春に予定されている国内発売が待ち遠しくなる内容だ。

画像: 新型 MT-09 SP

新型 MT-09 SP

ヤマハ新型「MT-09」の新フィーチャー

画像: ヤマハ新型「MT-09」の新フィーチャー

ヤマハ新型「MT-09」各部装備・ディテール解説

画像: 従来型のエンジンをベースに排気量を拡大。さらに軽量鍛造ピストンやFSコンロッド、オフセットシリンダーも採用してパワーアップしている。

従来型のエンジンをベースに排気量を拡大。さらに軽量鍛造ピストンやFSコンロッド、オフセットシリンダーも採用してパワーアップしている。

画像: 歯切れ良い排気音を実現する1.5段膨張室構造のサイレンサーを車体下部にマウント。左右の排気口はサイレンサー下面に設けられる。

歯切れ良い排気音を実現する1.5段膨張室構造のサイレンサーを車体下部にマウント。左右の排気口はサイレンサー下面に設けられる。

画像: エアクリーナーボックスの長さの異なる3つの吸気ダクトが共鳴、爽快な加速感を演出する心地よい吸気音が得られるようになっている。

エアクリーナーボックスの長さの異なる3つの吸気ダクトが共鳴、爽快な加速感を演出する心地よい吸気音が得られるようになっている。

画像: 新設計のフレームは製法の進化により3.5mmだった最低肉厚が1.7mmまで薄くすることが可能になったため、従来型と比べて大幅な軽量化が可能になった。

新設計のフレームは製法の進化により3.5mmだった最低肉厚が1.7mmまで薄くすることが可能になったため、従来型と比べて大幅な軽量化が可能になった。

画像: 車体の姿勢や加速を計測する精度の高い6軸IMUを搭載。その情報をもとに多彩な電子制御デバイスをコントロールしてライダーをサポート。

車体の姿勢や加速を計測する精度の高い6軸IMUを搭載。その情報をもとに多彩な電子制御デバイスをコントロールしてライダーをサポート。

画像: 鋳造だが鍛造に匹敵する強度というヤマハ独自のスピンフォージドホイール。従来モデルから前後合わせて700gの軽量化も達成。

鋳造だが鍛造に匹敵する強度というヤマハ独自のスピンフォージドホイール。従来モデルから前後合わせて700gの軽量化も達成。

画像: 動作性に優れるストロークの長い倒立フロントフォークも軽量化された。ブレーキキャリパーは対向4ピストンのラジアルマウント。

動作性に優れるストロークの長い倒立フロントフォークも軽量化された。ブレーキキャリパーは対向4ピストンのラジアルマウント。

画像: 新しいアルミ製スイングアームも軽量かつ高剛性なものだ。前後のアクスルシャフトも大径化されて剛性がアップ。

新しいアルミ製スイングアームも軽量かつ高剛性なものだ。前後のアクスルシャフトも大径化されて剛性がアップ。

画像: フル液晶メーターは、3.5インチパネルを使用したコンパクトなもの。多彩な機能を実現しながら視認性にも優れたものだ。

フル液晶メーターは、3.5インチパネルを使用したコンパクトなもの。多彩な機能を実現しながら視認性にも優れたものだ。

画像: 有機的な形状の燃料タンクは容量14L。従来型のタンク部分にも設けられていたエアダクトは、デザインを変えながらも受け継がれている。

有機的な形状の燃料タンクは容量14L。従来型のタンク部分にも設けられていたエアダクトは、デザインを変えながらも受け継がれている。

ヤマハ新型「MT-09」(2021年モデル・欧州仕様車)の主なスペック

全長×全幅×全高2090×795×1190mm
ホイールベース1430mm
最低地上高140mm
シート高825mm
車両重量189kg
エンジン形式水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒
総排気量890cc
ボア×ストローク78.0×62.1mm
圧縮比11.5
最高出力87.5kW(119PS)/10000rpm
最大トルク93N・m(9.5kgf・m)/7000rpm
燃料タンク容量14L
キャスター角25゜
トレール量108mm
タイヤサイズ(前・後)120/70ZR17M/C(58W)・180/55ZR17M/C(73W)
ブレーキ形式(前・後)298mmダブルディスク・245mmシングルディスク

まとめ:小松信夫、オートバイ編集部

This article is a sponsored article by
''.