ホンダ「BIG-1」シリーズ誕生の歴史
ホンダ「CB1000 SUPER FOUR」その志は現在でも不変
CBR1000Fの存在感あるエンジンを新作のパイプフレームに搭載したCB1000スーパーフォア。
1992年の発売当時、レーサーレプリカのような突出した動力性能やカミソリのようなコーナリング性能はないものの、CBR1100RやCB-Fシリーズを思わせるセクシー&ワイルドなスタイリングが醸し出すビッグバイクらしいオーラが評価され、BIG-1プロジェクトは上々のスタートダッシュを決めた。
いざ走り出してみると、その印象は「太く、強い」ビッグバイクそのもの。回せば高回転まで唸るエンジンは荒々しさの残るパワフルなもので、ハンドリングはけっして鈍重ではない節度と重量感のあるものだった。
前後18インチホイールにロングホイールベース、800㎜のシート高、装備重量260kgの巨体は、「手に余る」という批評もあったが、それこそがホンダが作りたかったBIG-1だった。
ホンダが世界に堂々と「ホンダらしさとは何か」という問いを発信したCB1000スーパーフォア。BIG-1プロジェクトのコンセプトも含めて、その後継機は現在でも唯一ラインアップされている。このことがホンダの問いの解答となっている
「ビッグバイクのホンダ」を復権させるプロジェクト
ゼファー人気は懐古主義が生み出したものではなかった。最新スペックを使いこなして初めて能力が発揮できるレーシー一辺倒なモデルではなく、誰でもが一体感を持って楽しめるオートバイを多くのライダーが欲していたのだ。
原点回帰を模索していたのはホンダも同様だった。威風堂々たる大きさ、カッコいいスタイリング、高性能エンジン…、初代CB750フォアがデビューしたときのインパクトを持つ、ホンダらしいビッグバイクを作る。
それは「プロジェクトBIG-1」として1989年にスタートし、車体の一部はクレイながら1991年秋の東京モーターショーでCB1000スーパーフォアがデビューする。
そのとき同時にお披露目されたCBR900RRを霞ませるほどの圧倒的支持を受けたCB1000スーパーフォアは1992年11月に市販開始。前後18インチタイヤを装着する装備重量260kgの巨体に図太い低速トルクと高回転まで回るエンジンを積み、フラッグシップに相応しい走りを見せ、「ビッグバイクのホンダ」を復権させた。