カワサキ「ZRX1200R」から「ZRX1200DAEG」へ
スポーツ性能と万能さを高次元でバランスするダエグ
ZRX1200Rの後期モデルは規制対応のためキャブレーションが薄くパンチ不足感が拭えなかったが、ZRX1200ダエグはプラス15PSとなる110PSを発生。中回転域では力強いトルクに素直なレスポンスを見せ、レッドゾーンの9500回転まで一気に回る。回せば回しただけ勢いを増す「熱い」マシンに仕上がっていた。
従来型は輸出も行われていたため高い速度レンジに対応する必要があったが、国内専用となったダエグは市街地や日本の峠道に合わせたベストのセッティングをチョイス。リアはショックユニットの取り付け位置を20mm下げてレイダウンし、不等ピッチスプリングを採用。
これにより常用速度域での乗り心地向上と軽快なハンドリングを両立。歴代ZRXの中で最も旋回性が強力となり、急な動きにも足まわりが格段に早く落ち着き、機敏かつシャープフットワークを実現した。
さらに高速コーナリング中の大荷重に耐えるスタビリティも発揮し、どんな使い方でも不満はなく、速いのに乗りやすいという美点により人気を獲得。2009年の登場以来、国内販売台数401cc以上のクラスで、常にトップ10入りし、絶版となった現在では、高額な中古価格で推移している。
カワサキ「ZRX1200DAEG」の各部解説
この記事は、月刊『オートバイ』2020年12月号別冊付録「RIDE」の特集を一部加筆修正したものです。