カワサキ「ZRX1100/1200/DAEG」の解説
「最速の水冷ネイキッド」ZRXのコンセプトは不変
カワサキの4気筒ネイキッドであることを示す車両コード「ZR」に、究極を意味する「X」。究極のネイキッドスポーツとなることを願って、カワサキが世に送り出したのがZRXシリーズだ。1994年にまず400が登場。名車・Z1000Rを彷彿とさせる迫力のスタイリングで高い人気を得る。
2年後のドイツ・ケルンショーでデビューを飾ったのが、フラッグシップのZRX1100。こちらも大人気モデルとなり、2001年には第2世代のZRX1200Rへと進化する。同時に、ハーフカウルを装備してツアラー適性を高めた、バリエーションモデルのZRX1200Sも登場。
細やかな改良を重ね、円熟の時を迎えたZRX1200だったが、2008年からの排ガス規制により、各メーカーのキャブ車が続々と生産中止に追い込まれて、ZRXもその波に飲み込まれ、一旦は生産終了。当時、欧州ではストリートファイターの人気が出始めた頃だったが、欧州と日本ではデザインの好みに違いが出ている時期でもあった。
両方のユーザーを満足させることが難しく、最終的には国内専用のモデルを造ることが決定。ZRXシリーズを愛してくれたライダーに送る、ZRX1200DAEG(ダエグ)の登場である。
ZRXの歴史
Z1000R(1982年)
※諸元の並び順:●エンジン形式●排気量●最高出力●最大トルク●乾燥重量●タイヤサイズ前・後●発売当時の新車価格(以下同じ)
1981年にエディ・ローソンがAMA スーパーバイクのチャンプに輝いたのを記念し、1100台限定生産。Z1000J2をベースにスペシャルな装備を奢ったZRXのルーツ。
ZRX1100(ZRT10C・1996年12月)
輸出仕様で147PSを発揮するZZR1100のエンジンからラムエア機構を取り外し、ダブルクレードルフレームに搭載。リッターマシンとは思えない軽快な走りを実現した。
ZRX1100Ⅱ(ZRT10C・1996年12月)
ZRX1100のカウルレスバージョンとして同時にデビュー。コンパクトなフレームやΦ43mmカートリッジフォーク、トラススイングアームなどの車体構成は同じだ。
ZRX1200R(ZRT20A・2001年1月)
新たに搭載された1164ccユニットはメッキシリンダーやK-TRIC付きのCVK36Φキャブを採用。8の字断面パイプ構造のスイングアームなどでスポーツ性能を格段にアップ。
ZRX1200S(ZRT20A・2001年1月)
ZRX1200Rをベースにデュアルヘッドのハーフカウルを装着したツアラーモデル。エンジンやシャシー構成はRと共通だが、メーターパネルは専用装備が与えられた。
ZRX1200R(ZRT20A・2004年2月)
2004年モデルからスペックを若干抑えたが、最大トルク発生回転数を3500rpmと大幅に下げて実用域の扱いやすさを向上。バフ仕上げのエキパイとフルスケールメーターを採用。