スズキ「GSX1400」の解説
インジェクション+6速、怒濤のトルクで新境地を開く
GSX1400はネイキッドらしい外観を得るために、フレームはダブルクレードル、リアショックは2本という構成がまず決められ、開発段階では「バランス」がキーワードとして掲げられた。低回転からの太いトルクは魅力だが、シャシーにとっては悩みの種になる。
これに対抗するために剛性を高めるのも有効だが、やりすぎては安定指向が強まって軽い身のこなしや旋回性を失いかねない。充分な剛性を持たせつつも俊敏に動けるという要求をバランスさせることが開発目標となった。
その狙いは見事に現実となり、非常にコントローラブルな低速域でのパワーフィーリングを提供しながら、4000回転を超えると、状況は一変。
フロン卜タイヤを軽くリフトさせながら猛進して加速はレブリミッターの効く9200回転までよどみなく続き、3速で180km/hスケールのスピードメーターを振り切るほど。
マスが車体中心に集中しているので、フロントまわりの状況がハンドルを伝わって綿密に読みとれ、リアタイヤのグリップ力の管理もハイパワーの割には容易であるため、コーナーではサイズを感じさせないほどに旋回性は良好。豪快さと安定性のバランスに優れたビッグネイキッドに仕上がっていた。
スズキ「GSX1400」の各部解説
この記事は、月刊『オートバイ』2020年12月号別冊付録「RIDE」の特集を一部加筆修正したものです。