パッケージとしての高いバランスを基礎から構築
ブルドックのコンプリートカスタム、GT-M(Genuine Tuning Machine)の近作となる、カワサキZ1-R。すっきりしたライトブルーのカラーリングや低く構えたスタイルからは、同店デモ車のGT-M 1230Rがすぐに連想される。ブルドック・和久井さんに聞くとその通りで、そのデモ車のレプリカとして作った車両とのこと。エンジンは今のGT-Mで定番の1197cc仕様に、同じく定番、かつ人気の高いブルドックオリジナル5速クロスミッションをセットしている。
一方で車体まわりはというと、フレームは前後17インチに最適化して各部補強を行っている。
「それだけでなくて、マウントを変更してエンジン搭載位置を10mmアップしています。サーキット走行をされるということでしたのでバンク角を稼ぐことが目的で、少し重心も上がることでバンクもさせやすくなります」と和久井さん。
言葉にすると簡単だが、これにはエンジン位置を正確に出し、その位置に正しく積むなど、相応のノウハウも必要だ。それについては「当社にはそれができるデータも、作業を正確に行えるフレーム治具もありますし、フレーム単体状態から加工が行えます。この車両の場合、エンジン位置を上げたことでのピボット下げ効果も織り込んでます」と和久井さん。
実作業はクランクを基準にし、そこからすべてを正しい位置に配置する。フレームも確たる基準があるから、クランクを基準にして何mmというような位置変更もできる。自社作業による完全管理は内燃機加工を含めたエンジンだけでなく、このようにフレームにも適用されているのだ。
その効果は実際、車両を取り回そうと起こした段階からはっきりした軽さと、動きの精度として感じ取れる。それが往年の空冷Zシリーズという車両で体感できるのが、GT-Mの大きな価値のひとつと言える。
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Detailed Description 詳細説明
ビキニカウルやシートカウルはオリジナルのマッコイ・ブランドで、カーボンミラーはマジカルレーシングのNK-1。燃料タンクもマッコイのアルミ製だ。
カーボンパネルには中央にSTACK回転計、下左側にモトガジェット速度計、同右にヨシムラ・プログレスメーターを配する。ハンドルバーはセパレートで、17インチ化に合わせたステムもマッコイ。ステム直上にコンパクトなハイパープロ・ステアリングダンパーを装備する。
オイルクーラーを追加した上で、その左右にフロントウインカーをスタイリッシュにレイアウトする。ウインカーは別体としていて、耐振性も持たせてある。
しっかりと上質な乗り心地を提供するシングルシート本体はマッコイ・スプリーム。シートカウル部の前半はあえてカーボンパターンを露出させた。
エンジンはピスタルレーシング鍛造ピストンによって[純正値:1015cc→]1197㏄化する、このところのGT-Mの定番排気量。これにJ系ヘッド/ヨシムラST-L1カム、マッコイ5速クロスミッションを組み合わせ、電気系も一新。このエンジンは10mm位置を上げて積めるようにフレームもマウント部を新作、ほか前後17インチ化に合わせてオフセット加工や各部補強も行われる。ステップキットも削り出しのマッコイだ。
キャブレターはヨシムラTMR-MJNφ36mmをファンネル仕様で装着。シリンダーヘッドカバーが結晶塗装されているのもこの写真で分かるだろう。
フロントフォークはφ[純正値36mm→]43mmのナイトロンをスペシャルチューニング、アウターチューブもシルバー仕上げとしている。フロントブレーキまわりはブレンボGP4 RXラジアルマウント4ピストンキャリパー+Mccoy×サンスターコラボレートディスクの組み合わせ。
リヤショックもナイトロンでスプリングはボディカラーに合わせたブルー。スイングアームは7N01アルミ5角目の字断面材製のオリジナルMccoy。ホイールはマグネシウム合金鍛造のMAGTAN JB3で[前後2.15-18→]3.50-17/6.00-17インチを履く。チェーンはRKの520サイズをチョイスした。
リヤブレーキはブレンボCNC2ピストンキャリパー+サンスターディスクを組み合わせた。排気系はフルチタン4-1のWinMccoyNeoショートだ。