スズキは2021年4月7日に新型ハヤブサを発売した。この2021年モデルの高速道路でのクルージング性能と峠道でのスポーツ性能を中心にインプレッション。さらに気になる燃費、タンデムのしやすさ、各部装備の解説までまとめてお届け!
文:宮崎敬一郎、木川田ステラ、オートバイ編集部/写真:南 孝幸

スズキ「ハヤブサ」インプレ(宮崎敬一郎)

画像: SUZUKI Hayabusa 総排気量:1339cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 シート高:800mm 車両重量:264kg 発売日:2021年4月7日 税込価格 黒/金、白/青:215万6000円 銀/赤:216万7000円

SUZUKI Hayabusa

総排気量:1339cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:800mm
車両重量:264kg

発売日:2021年4月7日
税込価格
黒/金、白/青:215万6000円
銀/赤:216万7000円

街中でも素直で快適!歴代最高の扱いやすさ

初代ハヤブサは20年以上も前にバイク界最強最速のアルティメットスポーツとして世界中で大ヒットした。以来、スズキにとっては「力の象徴」。ハイパワーで高速性能に秀でた万能スポーツであり続けてきた。

そのハヤブサが今回大きくモデルチェンジ。ハヤブサはスズキにとってフラッグシップであり「顔」でもある。スズキにしてみれば、絶対に失敗できない「大看板」の塗り替えだ。なのに、スズキはそれをなかなか大胆な手法でやってみせた。

スタイリングは歴代ハヤブサの臭いを残してはいるが、エッジを効かせつつ一新。ハヤブサブランドの中ではかなり思い切ったイメージチェンジとなった。

ビックリしたのはデザインだけではない。ハイスピードモデルとして、その実力を表す重要なファクターになる最高出力表示を、先代から10馬力近くダウンした188馬力としてきた。つまり、バイクのキャラクターに関わる大きな変更を遂行したというわけだ。

画像1: スズキ「ハヤブサ」インプレ(宮崎敬一郎)

フレームやエンジンそのものは、基本レイアウトを変えていないが、その味付けを含めたセッティングには細かく手が入っている。それでも、伝統的な魅力である高速性能も全く切り捨てられていないという。

ならば、何がどう変わったのか?

今回初めて試乗したが、いまやモデルチェンジにあわせて更新されるのが当たり前になった電制ライディングアシスト機構群の進化に驚いたり、ハンドリングの違いにビックリしたり、乗り心地の良さにうっとりしたり…。新型ハヤブサは、最初の試乗にして、明確に先代との違いを訴えてきたのだ。

まず、走り出した瞬間に驚かされたのは、その乗り心地と素直なハンドリング。

首都高速で周りのクルマの流れに乗る。たいした速度レンジではないが、補修だらけの荒れた路面を高級ツアラーのような乗り心地で走ってみせた。

感覚的には、バネがソフトでサスも高速減衰の立ち上がり方が滑らか。ちょっとした凸凹を、人間に例えるなら、つま先だけで上手く吸収して乗り手に伝えない感覚だ。

画像2: スズキ「ハヤブサ」インプレ(宮崎敬一郎)

前モデルでは極低速から峠道を流すようなペースまでのライディングで、左右への切り返し時にゴロリとした、ちょっと立ちが強めのリーン特性があった。それがこれっぽちも感じられない。ハンドルに手を添えているだけで素直なリーンと自然なセルフステアを低中速でも実現している。

これだけ大きな車体で、強烈な過減速をいなせるよう前傾も強めにしたライポジだ。足まわりも高速に適応したもののはず。そんなバイクなのに、街中が非常に快適だった! ハンドルに節度があるのに軽く、素早い切り返しなどでもリニアに車体が追従する。ビッグネイキッドを操る感覚で街を走れるのだ。

峠道、高速道路、タンデムと、ステージが変わってもハンドリングは変わらず素直。歴代ハヤブサの中で、いい意味でもっともクセがなく、扱いやすいハンドリングになっていた。


画像3: スズキ「ハヤブサ」インプレ(宮崎敬一郎)

あらゆる場面で速さを引き出せる「正常進化」

試乗前、担当者から「ライディングモードは「C」から試して下さい。トラコンの1はある程度のスピンを許容するので…」と念を押されたので「C」モードでスタートしたが、交差点をひとつ越えてすぐ「B」モードに変更した。「C」モードはよほど滑りやすい状況以外では使う必要がない気がする。

ビッグバイクに乗ったことのあるライダーなら「B」で街中から峠道まで、ハヤブサらしいみなぎるトルクを堪能できるはずだ。これでもレスポンスは十分紳士的だし、大きく開けるとハヤブサらしい猛烈なパワーも楽しめる。トラコンレベルは「C」の10から5になるが、峠道や急激な加速を繰り返したいときには少し介入がおせっかいだ。

画像4: スズキ「ハヤブサ」インプレ(宮崎敬一郎)

続いて「A」モードも試す。こちらはトラコンのレベルは最小の1で、介入もぐっと少ない。ただ、今回の試乗ではリアが派手に滑るようなことは体感できなかった。1〜2速をフルに使うようなコーナリングでも、普通に操作していれば暴れることなく、力を削がれずに立ち上がれる。慣れたら「A」モードでどこでも普通にスロットル操作はできると思う。

基本的にエンジンは先代よりも滑らかで、振動も少なく音も静か。でもコシが強い。5000回転くらいで吹けに勢いが増し、7000から10000回転強までがパワーバンド。よく調教されている。素直なハンドリングで、この扱いやすいパワーだ。あらゆる速度レンジで、新型は先代よりコーナリングでの寝かし込みがコントロールしやすかった。

画像5: スズキ「ハヤブサ」インプレ(宮崎敬一郎)

新型ハヤブサはすべてがフレンドリーだ。誤解しないで欲しいのだが、決してツメを丸められたのではない。新型は扱いやすく、速さや強さを引き出しやすく進化したのだ。どこまでも走っていきたくなるほど乗りやすかった。

This article is a sponsored article by
''.