パイクスピーク・ヒルクライムを走る姿を想像

ヨーロッパヤマハが欧州各地のカスタムビルダーに車両を託してカスタムバイクを作り、その世界を広げる“ヤードビルトプロジェクト”。そこに2020年末に加わったのがこの車両。スペインのボットパワー(bottpower)製で“XR9カーボナ”と命名されている。

ベースはヤマハXSR900/MT-09(’17~)で、ボットパワーが’17年に総合4位を得たパイクスピーク・ヒルクライム用レーサー、XR1Rがイメージの元となっている。フラットトラックレーサーのゼッケンプレートにもヒントを得た形状のサイドカバー、そして前後オーバーハングを詰めたボディは視界がぐっと開けてくる山上のワインディングで身体を自在に動かして速く走るためのもの。

このデザインをスケッチで起こした上で3Dモデリング、3D CADデータによってXSRとのマッチングを図った上で、それぞれのパーツのフィット感と仕上がりの外観を確認する。

さらにこの完成データから各パーツを3Dプリントして改めて実機確認し、ボルトオン化もされたという現代的な作りも特徴となっている。このパーツ群=カーボン製のエアインテーク一体燃料タンクカバーやシングルシートに同じくテールライト/テールランプ。ラジエーターカバーに、LEDとYZF-R1タイプのコンビネーションヘッドライト、ナンバープレートホルダーやアンダーカウルなどは’21年に入って「BOTT XR9 Carbona kit」として販売されるに至った。現地価格は4975ユーロ、今なら65万円程度(見本車が履いているROTOBOXカーボンホイールやアクラピヴィッチEXは別)とのことで、これはちょっと食指が動きそうな感じもする。

基本的には外装変更のため、国ごとの灯火やサイズの規制が合えば公道走行可。XSR900にボルトオンで、MT-09は現状’17年型以降適合で’17年型以前用も適合化を進めているところだという。なお、燃料タンクがXSR+カバーとなるためタンクを付属するMT-09用は価格が上がる。

自由な発想を投影するというカスタムの基本に沿ったXR9 Carbona、XSRの雰囲気をレトロから近未来にしてみたいという向きには、大きな参考になるのではないだろうか。

画像: ▲このプロジェクト車両ではセラカーボン・フロントフォークにオーリンズTTX25カートリッジを組み、前後ホイールはROTOBOX製カーボンを履くなどしてXSR900ノーマルから約30kg軽量化を果たしている。タイヤはブリヂストンで、ディスプレイ用はスリックを履いた。

▲このプロジェクト車両ではセラカーボン・フロントフォークにオーリンズTTX25カートリッジを組み、前後ホイールはROTOBOX製カーボンを履くなどしてXSR900ノーマルから約30kg軽量化を果たしている。タイヤはブリヂストンで、ディスプレイ用はスリックを履いた。

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Detailed Description 詳細説明

画像1: Detailed Description 詳細説明

全体の印象を変えるXR9 Carbona kitの主要パーツは4つ。1.デイライトとして機能するLEDを左右に備えたフロントカバー、2.カーボン製タンクカバー(エアダクト込み)、3.左右にハイ/ローのヘッドライトを組み込んだラジエーターカバー、4.カーボン製シートがそれだ。

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エアダクト下のヘッドライトは、ラジエーターカバー上部にビルトインされる。ライトカバー左右がデイライト(ポジションランプ)だ。

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タンクカバーとシートカウルはカーボンで、シートカウルにはテールライト兼ウインカーのランプも備わる。シート本体はアルカンターラ表皮を採用した。

取材協力:ボットパワー

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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