ヤマハMT-09・MT-07のモデルチェンジは2021年の大きなニュースだ。とくにMT-09シリーズは、全面的に生まれ変わっている。見た目や装備もさることながら、乗り味も大きく変わっていた!
文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:赤松孝、南孝幸、森浩輔
文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:赤松孝、南孝幸、森浩輔
ヤマハ「MT-09 ABS」「MT-09 SP ABS」インプレ・解説(宮崎敬一郎)
より強力なパワーを積極的に楽しめる!
初代、2代目とも、MT-09は個性的なバイクだった。スロットルを思い切り捻れば豪快にフロントをパワーリフトさせるし、初代にいたってはストロークの長い足回りが、タイヤがホップするような細かい凸凹や、大きな衝撃をキッカケに滑るシーンもあって、モタード的なキャラクターが見え隠れするヤンチャな暴れん坊スポーツだった。
だが、今回のモデルチェンジは偉大だ。元気のよさに磨きはかかったが、単なる暴れん坊ではなくなったのだ。紙一重のスリルにヒヤリとすることなく、本来の魅力である身軽さを楽しめる。これが最も輝く魅力だ。
先代同様、ハイグレードモデルとしてより滑らかに強力な減衰力を発揮する前後サスペンションを奢られた「SP」も用意されている。スタンダードに比べると乗り心地はいくらか硬く感じるものの、十分な快適さを持ったコシのある足回りで、大きな挙動でのピッチングが少なく、何より、スポーツライディングで圧倒的にスタビリティがいい。SPのこの足回りは、スポーツ専用というより全ての使い方において威力を発揮する。これは新型SPの魅力的なパートだ。
スタンダード、SPとも、新エンジンのパワーフィーリングも走りを変えている。4馬力アップもさることながら、6000〜8000回転の中域が太ってずっと扱いやすくなった。これが今回試乗した第一印象。この後じっくりと乗り込んでみたい。