今できうる限りの“最高”を駆使して完成させた1台
カワサキGPZ900R、そしてニンジャ系エンジンを積んだ車両がしっかり安全に走ること、そのために必要な確認と整備を行って好調を再構築しようという独自メニュー“ニンジャドック”を行う。また車両それぞれのオーナーが自分の車両を気に入って愛着を持てるようにと装着パーツを吟味し、仕上げの塗装にも個性を持たせる。さらに多くのオリジナル製品も用意して……とニンジャシリーズ専門ショップとして歩んできた、マーベラスエンジニアリングによる1台。
ここに紹介の1台は、“マーベラスパターン”のフレアをYFデザインで仕立てたという外装ペイントが目を引く一方で、パーツのセレクトやエンジンの仕立てなど、各パートは統一感を見せつつもある種独特の雰囲気を漂わせている。
「オーナーさんがカスタムニンジャを持ち込まれて“何もかも刷新して、まったく違うバイクにしてほしい”とオーダーされたんです。この時点でその車両に付いているものは使わなくていいということ、またフレームなどはどう作っていくかということもあったので、その車両は下取りにしてイチからコンプリートで作り直しましょうと進んだんです」と、マーベラスの折目さんは言う。
イチから組み上げるからには、新車のように仕上がる。そう考えた上でまずはショップでストックしていたノーマルフレームを用意する。その上で今までのノウハウを生かして15カ所の補強やリヤの190幅タイヤ対応加工を行う。エンジンは系列最終型(言い換えれば、対策等も進んだ最新型だ)のZRX1200DAEGをベースにして内部チェックから行い、新しい仕様やパーツも採り入れてフルチューンし搭載。
「次は何年か後のオーバーホールで開けるくらいという感じで細心の注意を払って作り上げていきました。その他の部分も同様で、パーツによっての互換性やバランスも考えて取捨選択していき、作業を進めています。消耗品はオール新品です。
ハイグレード・コンプリートカスタム車の製作はずっとやりたかったことでしたが、いざやってみると各パーツのバランスやそれぞれの位置関係、機能のバランスを図る部分も多く、パッケージにしていくことが大変でした。そうしたバランスをオーナーさんと相談して方向性を決めつつ、最終的に2年ほどかかりました」
マーベラス・折目さんをしてこう言わせるほどの難しさ。それでも、多くのパーツを知り、エンジンも車体も組み、ケツ上げキットなど外装のバランスも考えたパーツも用意。さらに冒頭のニンジャドックも行うなどして、これまでニンジャに取り組んだ経験は、そんな難しさをひとつひとつクリアさせていく。
細部まで追えばいくらでも説明できるほどだが、そうした作業の集合(単なるパーツの寄せ集めでない)によって、独特の雰囲気が作られていることははっきり分かる。
組み上がり後にはオーナーと3日つきっきりでツーリング等を行い、乗り方もしっかり確かめた上でそこに合わせたセットアップを施して完成へ。そんなエピソードも、まさに“ハイグレード”なのだ。
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Detailed Description 詳細説明
YFデザインでマーベラスフレアをペイント(通常は自店ペイントも行うが、ここでは最高を目指して依頼)。スクリーンはマーベラス×ゼログラビティ・ダブルバブルで、サイドカバーもタンク(ビーター製アルミ)のラインに合わせて形状補正しバランスを取った。
ミラーはカーボンモノコックボディのマジカルレーシングNK-1、ハンドルはバー仕様とした上でパワービルダー製バーをセット。メーター部にはヨシムラ・プログレスメーターやギヤポジションインジケーターも備わる。左右マスターシリンダーはブレンボRCSだ。
シートはマーベラス・スプリームSP。パーツは全部乗せと言うよりは、必要で高質なものがしっかりと組まれるという印象だ。
電気系もオール新品で点火はウオタニSP-2、バッテリーはSHORAIリチウムイオン。バッテリーボックスはマーベラスのオリジナルパーツ。
ストックしていたGPZ900Rノーマルフレームをベースに15カ所を補強、ナイトロレーシングのコンビネーションキット(ダウンチューブと、これに連結できるステップで、ニンジャにZRX系エンジンを積む際のマウント位置や強度のネガを解消)をセットしてある。
エンジンは系列最終型のZRX1200DAEGがベース。燃料供給はDAEGノーマルのFIからキャブレターに変更。オーナー指定によるヨシムラFCR-MJNキャブレターのデュアルスタックファンネル仕様をセットした。
そのDAEGエンジンは全バラチェックして、JAM×ヴォスナーφ81mmピストン(リング/ピンにWPC処理追加)&シリンダーキット(1164→1224㏄)にH断面コンロッドやKENTカム、TSSスリッパークラッチを組み込み、外観もガンコート仕上げした上で搭載。マーベラス×ウイリーのクラッチカバー(RXコート仕上げ)やウイリー製ビレットシリンダーヘッドカバー、アクティブ製スライダーも組まれる。
排気系はマーベラス×ノジマエンジニアリングのTYPE-SC(スパイラルコレクター)、コニカルゴルディ・チタンを装着した。
フロントフォークはオーリンズ倒立FG324で、これをクランプするウイリー製ステムはこのフォーク専用品のウイングバージョン。フロントブレーキはブレンボGP4 RXキャリパー/ウイリー製サポート/サンスターディスクの組み合わせで、ホースはアレーグリ・ショルトシステムを使う。
リヤショックはオーリンズ。別体タンクはこのように同店オリジナルの「GPZ900R用オーリンズ タンクステー」ですっきりマウントされる。
スイングアームはウイリーのニンジャ用ハイトコントロールタイプ。前後ホイールはO・ZレーシングGASS RS-Aで、サイズは3.50-17/6.00-17。リヤブレーキはブレンボCNCキャリパー+サンスターディスク。ボルト類も100本を優に超える数がβチタニウム製64チタンに置換済み。
ステップキットはナイトロレーシング。スプロケットカバーはウイリー。ウォーターラインにはチタンパイプも使われているのだ。